ひみつの推しごと!~親の再婚で推しと兄妹になりました~

麻路なぎ

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10 お土産を渡したい

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 私は、リビングでスーツケースをひろげて洗濯物を片付ける。
 ごみを捨てたり、部屋に持っていくものをリュックに詰めたりしていると、足音が聞こえた。

「ただいまー」
 
 これはお義母さんの声だ。
 ちょっとドキッとして、私はリュックからお義母さんに買ってきたお土産が入った袋を出す。
 やだ、すごいドキドキする。

「おかえりー」

 と、藤兄が言った。
 あれ、蒼兄の声がしない。
 いつの間にか蒼兄の姿がない。
 部屋に行ったのかな。全然気が付かなかった。

「楓花ちゃん、おかえり」

 リビングに入ってきたお義母さんは、ニコニコって笑って言った。

「た、た、ただいま」

 帰ってきたのはお義母さんなのに。でもただいまでいいのか考えちゃってかんじゃった。ちょっと恥ずかしい。

「修学旅行どうだった?」

 言いながら、お義母さんはキッチンの方に向かう。

「えーと、楽しかった。あの……江ノ電乗ったし、あとシャチ、すごかった」

 必死に思い出して私が言うと、お義母さんは笑って頷く。

「よかった。夕飯すぐ用意するからね」

 って言って、お義母さんは買ってきたコロッケの包みを開けた。
 
「あ、あの、お義母さん……」

 ドキドキしながら私はお土産が入った小さな袋を持って、お義母さんに近づく。
 
「なに、楓花ちゃん」

 笑うお義母さんがじっと、私を見てくる。
 これ、大丈夫かな、喜んでくれるかな。
 私はもじもじとして、目を閉じてばっと、お義母さんに小さな袋を差し出した。

「これ!」

 って大声で言って、まっすぐに腕を伸ばす。
 
「……お、お土産?」

 と、ちょっと驚いた声でお義母さんが言うのが聞こえた。

「う、うん……これは、あの、お義母さんにって」

「まじ? よかったじゃん」
 
 って、藤兄の嬉しそうな声が後ろから聞こえてくる。
 私の手からそっと、袋が離れていく。
 まだ私、ドキドキしてて顔、上げられない。

「ありがとう、楓花ちゃん」

 あれ、お義母さんの声、なんか……変。
 私は目を開けてゆっくりと顔を上げる。
 あれ、お義母さん、泣いてる?
 目の所を手で抑えてるみたいだけど。
 どうしよう。
 オドオドしてると、お義母さんは涙目で言った。

「開けていい?」

「う、うん」

 こくり、ってしながら言うと、お義母さんは袋の封をていねいに開けた。
 お義母さんに買ってきたのは、ピンク色のタオルハンカチでシャチのイラストが描かれている。
 お義母さんはそれをみて嬉しそうな顔になって、ハンカチを胸にあてて私の方を見た。

「ありがとう」

「あ、うん」

 喜んでくれた、のかな。
 ならよかった。
 私はくるって振り返って、ダイニングテーブルの所に座ってる藤兄の方を見る。

「藤兄」

 声をかけると、ばっと目を開いて、

「何?」

 って言った。
 お義母さんよりも緊張しない。
 私はもうひとつ、持っていた小さな袋を藤兄の前に差し出して言った。

「これ、藤兄に」

「え、うそ、まじ?」

 すっごい大きい声で言いながら、藤兄は私から袋を受け取った。

「うん……えーとね、私と色違いなんだけど、いいかな」

 って聞くと、藤兄はうんうんって頷いて言った。

「超嬉しい、ありがとう!」

 ほんとうに嬉しそうな笑顔で言って、藤兄は袋を開けた。

「あー、紫のストラップだ。かわいいー」

 言いながら、藤兄は目の高さのところでストラップを見つめる。
 紫色のイルカは、照明を浴びてキラキラって光って見える。

「楓花ちゃんのは何色?」

「わ、私は赤」

 言いながら私は荷物の所に戻って、自分の分をリュックから取り出して藤兄に見せた。

「へえ、ほんとに色違いなんだ。じゃあ兄貴にも買ってきたの?」

 そう言われて私はドキン、てした。

「う、うん……」

「へえ、じゃあわたしにいこうよ!」

 言いながら藤兄は立ち上がった。

「あら、よかったわね。蒼も喜ぶわよ」

 ってお義母さんが言ってくるけど、私、それどころじゃない。

「え? あ……え?」

 ドキドキしすぎて、私、心臓壊れちゃいそうだよ。
 藤兄は、オロオロする私の方を超笑顔で見て、

「行こう!」

 って言った。
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