ひみつの推しごと!~親の再婚で推しと兄妹になりました~

麻路なぎ

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11 お土産をわたしに

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 どうしよう。私の心臓、壊れちゃいそうだよ。
 ドキドキする私に、藤兄は超アイドルスマイルで言った。

「カードゲームも返し行くでしょ? そのついでに渡してこようよ」

「え? あ……うん」

 確かに私、蒼兄にカードゲーム返さないといけないんだけど……
 あぁ、もう、私まだ心の準備、できてないよ。
 落ち着け私。
 自分に言い聞かせて、私は大きく息を吸って、大きく息を吐いた。

「大丈夫? 妹ちゃん」

 藤兄が不思議そうに私を見つめてくる。
 大丈夫じゃない。でも、大丈夫にならないと。
 蒼兄はお兄ちゃん……蒼兄はお兄ちゃん……
 頭の中で唱えるけれど、動画の蒼が邪魔してきちゃう。
 違うの、蒼だけど蒼じゃないの!
 私はぶるぶる、と首を振って、

「行こう、藤兄!」

 って、震える声で言って、藤兄の腕をがしって掴んだ。

「う、うん」

 私の勢いに驚いたのか、藤兄のほうが今度は戸惑ってるみたい。

「あぁ、それならすぐお夕飯の準備出来るから、蒼にも伝えて」

 ってお義母さんが言うから、私たちは、うん、って頷いてリビングを出た。
 二階に上る階段の前に立ち、私はじっと、上を見つめる。

「大丈夫? 妹ちゃん、様子変じゃない?」

「え? あ、だ、大丈夫だから!」

 って全然大丈夫じゃない声で言い、私は藤兄に言った。

「藤兄、先に行って!」

「あ、うん」

 藤兄は首を傾げた後、私の前に立って階段を上っていく。私はそのあとについていきつつ、落ち着こうとした。
 いや、むり。
 心臓が痛い。
 だって、私、これから推しにお土産渡すんだよ?
 落ち着いてなんていらんないよ。
 心臓が痛いよ。指も身体も震えてて、階段から落ちそうで怖いから、私はぎゅって手すりを掴んだ。
 階段を上って、藤兄が蒼兄の部屋の扉の前に立つ。
 私の心の準備なんてできる前に、藤兄はその扉をトントン、って叩いた。

「兄貴、入るよ」

「あぁ」

 ってなかから蒼兄の声が聞こえる。
 どうしよう……本当に私、蒼にお土産、渡しちゃうの?
 って思って、私は首を振った。
 蒼兄であって、蒼とは違う。そう言い聞かせていると、藤兄が扉を開いた。

「兄貴、夕飯だって」

「うん」

「あと、ほら、妹ちゃん」

 って言って、藤兄が私を手招く。
 あぁ、もう、なるようになれ。
 私はカタカタと震えながら、藤兄の横に立つ。
 すると、制服から着替えて部屋着になった蒼兄が目の前に立っていた。
 ひゃぁ! 蒼が目の前にいる。
 じゃない、今ここにいるのはメビウスの蒼じゃなくって私のお兄ちゃんの蒼兄だ。
 私は、ばっとお土産と両手で持っているカードゲームを前に出して、下を向いて言った。

「こ、これ、お土産とカードゲームありがとう!」

 出た声はすごく震えていて、自分でもわけわかんなくなっちゃう。
 私のもつお土産の袋と、カードゲームに手が触れたのがわかって、私はゆっくりと顔を上げた。
 お土産の袋とカードゲームを、蒼兄の白い手が持っているのが見えて、私はばっと手を離す。
 
「あぁ、うん、ありがとう」

 っていうちょっと恥ずかしそうな声がして、私はおそるおそる顔を上げた。
 蒼兄が笑ってる? 小さく首を傾げて、笑ってこっちを見ている。
 その顔を見て、私は顔が真っ赤になるのを感じた。
 推しが……推しが目の前で私からプレゼント貰って笑ってる。
 もう私、幸せすぎて倒れちゃいそうだよ。

「俺やお母さんにも買ってきてくれたんだよ。お母さん、超喜んでた」

 って藤兄が報告する。
 そんな事言わなくてもいいのに。私、すっごく恥ずかしい。
 もうどんな顔したらいいのかわかんなくなって、オロオロしていると、頭にそっと手が触れた。指先がかるく、髪に触れている感じがする。ってえ?

「そうなんだ。ありがとう、楓花ちゃん」

 その手が蒼兄のものだって気が付いて、私の顔から、ぼん、て火が出る音がした。
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