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1章
騎士国家ハイン
しおりを挟む祠から出て暫く進むと小さな町を見つけた。
「この姿では目立つからな、
面倒だが人間の姿になってやる。」
と、完全に人間の姿に変身し町に入る…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
すぐに目に入った光景は燃える家や木々、
だが人の気配が無い。
「侵略はしないんじゃなかったのか!?」
「ああしない、
だがそれを快く思わないやつらも居る。」
忌々し気に言うと魔王が気を集中させ大きな屋敷を睨む。
「一人逃げ遅れたやつが居るようだ。」
「なら行くぞ。」
幸いにも火の手は道を塞ぐほどては無かったため道を駆け抜け屋敷の入り口に来た、
だが肝心のドアが開かない。
「任せろ。」
と、あろうことか勇者がドアを蹴り壊した…。
「よし、開いたぞ!」
「昔から人の家屋敷のタンスやクローゼットを漁ったり物を壊す勇者は聞いたことあるが…。」
魔王の中で勇者と盗賊の境界線が揺らぐが今はそれどころではない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「居た!!」
視線の先で一人の青年が炎の魔物と戦っていた、戦況は青年が押されている様子。
「一人でフレイムも倒せんのか…。」
魔王が呆れて呟く、
確かにフレイムと言えばランクはかなり低い…。
「だが群れで動くはず無いだろう?」
「ふむ…、
誰かが指示しているようだな。」
二人が武器を構えて青年に襲いかかろうとした魔物を倒す。
「あんたらは…?」
「話は後だ、来るぞ。」
炎の中から魔物が次々出てくるが魔王の放つ魔へ法で大半が倒されそれを逃れても勇者と青年がなぎ倒す。
「ここも長くもたん、引くぞ。」
来た道を引き返すが既に火の手が回っていた…。
「こっちだ。」
青年の後に続くと行き止まりにつくが側の柱時計を調べると壁が動き通路が現れる。
「なるほど隠し通路か。」
通路の奥に火は回っておらず奥の階段から町の外に出た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「で?
これからどうするつもりだ?」
「まず城に行く、
そこでなら情報が手に入る。」
青年の言葉に魔王が微かに舌打ちをするが他に道はないからなのか意見はしない…。
「よし、
じゃあ来てくれ!!」
元気よく走り出した青年を見て魔王が今度は盛大に舌打ちをした。
「行くのか?」
「他に道はない、
それにあんな鬱陶しいやつについてこられても面倒だ、
城についたら撒くぞ……。」
遠くから青年が呼ぶ声がしたので歩を進める、
道中魔物が出たが魔王と勇者が倒す、この辺りにはあまり厄介なのは居ないようだ。
「あんたら強いんだな?
どこから来たんだ?」
青年の言葉に返答に詰まるが機転を利かせて「遠くから」と答えるとなぜか納得された。
「でもあんたら物好きだな、
今は世界各地で魔物が暴れてるのに旅なんて。」
その言葉に魔王が立ち止まる。
「世界中で?」
「ああ、
二年ぐらい前からかな…?
噂だと魔王が復活したとか言われてるけどな。」
「ほぉぉぉぉう。」
魔王の体からドス黒いオーラが漏れ出ている…、
かなりまずい。
「あ、見えた。」
臨戦態勢の魔王の横を駆け抜けて青年が城に走る…。
「……城に行く前に落ち着いてくれ。」
「わかっている。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
門を潜ると忙しなく行ったり来たりを繰り返している人物が居てそれを見つけた青年が駆け寄る。
「マグ!」
「ヴェルツ!無事だったか!」
「父さんは?」
「町が襲撃されたって聞いて行こうとしたけどなんとか止めた…、
だがそれより不味いことが起きてる。
防衛ラインが突破されそうだ。」
二人が難しい顔をしているがよくわからない…、と、
こちらに気付いた青年、マグに二人を紹介する。
「この二人に助けられたんだ。」
「そうか…、
世話になったな。」
「なあ、その防衛ラインがどうというのは?」
「ああ…、
山を挟んで奥にある【土の塔】から魔物が押し寄せて山道を防衛ラインにしているんだが殆どの兵が退却してきて今は隊長と傭兵二人が押さえている状態だ…。」
兵士はすぐに動ける状態ではなく残った兵士が出てしまうと城の防衛が手薄になってしまう…。
「傭兵を募集しているが皆行方を眩ませたり倒されてしまうばかりで…。」
「……なら私たちが行けば良いのではないか?」
横から射殺さんばかりの視線がとんでくる。
「どのみち土の塔に行くのだろう?
なら確実に山道は通るし相手と衝突はするぞ?」
「だからといって勝手に面倒事を引き受けるな。」
「ここまで話を聞いてしまえば面倒も何も無いじゃあないか、往生際が悪いぞ。」
強烈な睨みが向けられるが返す言葉の無い魔王の敗けである、
ゼンが二人に城に行く旨を伝え三人をつれていくが城に入ってすぐに兵士が走ってきた。
「マグ様!王子!!
王様を止めてください!!」
半泣きでその場に倒れた兵士を見て青年二人が階段をかけ上がっていった…。
「聞き間違えでなければ【王子】と聞こえたんだが?」
「安心しろ、
俺も自分の耳を疑っているから聞き間違いではない。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「もういい私が行く!!」
「王様に何かあっては民が困るのです!
落ち着いてください!」
階段を上がってすぐに聞こえたのは怒鳴り合う声…。
「話し合うどころではないな、
落ち着くまで下で待つぞ。」
「そう…だな。」
ひとまず一階に待避すると30分後にマグが呼びに来た。
「終わったのか?」
「ああ、
すまないな…。」
かなりボロボロで声も掠れているが大丈夫らしい、ひとまず玉座の間に戻り話をつける…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「で、
結局俺ら二人か。」
「仕方ないだろう、
マグは王子の護衛だし兵士も殆どが動けないのだから。」
「ひ弱なやつばかりだな。」
魔王が鼻で笑う。
「ところで本当に心当たりは無いのか?」
「命令しているやつか?
それともここで暴れているやつか?」
「両方だ。」
「全体的に命令しているやつは知らん、が、
ここで暴れているのは確実に【ラム・ロゥ】だ。」
「誰だそれは?」
「俺の手下の一人だ。」
「……なぁそれって大問題じゃないか?」
「まぁ元々やつは侵略停止法令に反対していたからいつかやらかすだろうと思ってはいた。」
要するに魔王の思った通りになったわけだが一つ大きな不服がある。
「問題を起こす前にどうにかできないのか?」
「魔界にも面倒な派閥があって法令に反対していた連中の規模が大きすぎるせいで確証もないのに動けばやつらの思うつぼだ、
ニンゲンどもには悪いが実害が出てからでなければ俺も動けんのだ。」
「……魔王という役職も大変なんだな?」
「ああ、ニンゲンの王と違ってやることが現在進行形で山積みだ。」
樹をへし折るぐらいストレスが溜まっているらしい、これで45本目だ。
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