5 / 58
1章
森の静寂に
しおりを挟むライルは寝苦しさに目を覚ました、
辺りは暗く虫の囁きが聞こえてくることから夜だとわかる。
辺りを見回しても誰も居ない…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
外に出ると涼しい風が体を通り抜ける、
寝苦しいく汗をかいていたため少し肌寒くも感じたが泉の側に知った人物を見つけ重い体を引きずって行く。
「ヴィー…リオ。」
「起きたか…。」
「すまない、
足を引っ張ったな…。」
まだ立っているのも辛いのか微笑む顔にも力がない。
「そう思うのならば無茶はしないことだな。」
ライルは力なく頷くが少しふらつきヴィーリオに支えられる。
「夜が明けたら出る、
それまで眠れ。」
ライルの額に手をかざし呪文を呟くと深い眠りに誘われその場に崩れ落ちヴィーリオが抱き上げて部屋に運ぶ。
「軽いな…。」
今ここで少しでも力を入れてしまえば簡単に絞め殺すことさえ容易いとさえ思える、
視線をライルに移すとそんなヴィーリオの物騒な心情も知らずに穏やかな寝息をたてている…。
「勇者が魔王に隙を見せてどうする…。」
眠らせたのは自分だがそれを差し置いても些か無防備かつお人好しすぎる…、いつか簡単に騙されると想像に易い。
少し苛立ちを覚え気持ち良さそうに眠るライルの鼻をつまんでみると眉間に皺をよせて唸る。
「ふむ、なかなか面白いな。」
暫くそうやってライルで遊んでいたが満足して部屋を出る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
自分に当てられた部屋に戻り窓から外を見ると高くそびえ立つ塔が見える。
「やつに大規模な暴動はできんだろうがそれは後で良い、
それよりラム・ロゥの阿呆め…。」
部屋にある花瓶の花が魔王の障気に当てられ瞬時に枯れた。
「俺の手を煩わせた事を後悔させてやる。」
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる