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2章
氷海の城
しおりを挟む光が消え新たに着いた場所は室内にも関わらず部屋全体が雪で覆われていて天井からは氷柱がのびている…。
「寒いな…、
どうしたヴィーリオ?」
部屋全体を見て表情を歪めるヴィーリオに声をかけると何も答えず走って部屋を出た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
部屋を出ると街一面が雪と氷で埋め尽くされていた…。
「ヴィーリオ?」
「ここは海底の国【竜宮】、
水の魔族がおさめる地だがやつらは寒さに弱い、
だから国が氷で覆われる事はありえない。」
街を見回るが誰もいない…、
最後に城に向かうと城の前に誰かが倒れていた。
「急いで部屋に連れていくぞ。」
「わかった、
後で薪を探してくる。」
二人がかりで倒れていた人物を部屋に運びライルが薪を探しある程度部屋が暖まるとヴィーリオと二人で城の中を散策する…。
「誰もいないな…。」
「奴の事だ、
他のやつらを先に逃がして逃げ遅れがいないか確認して力尽きたのだろう。」
「知り合いなのか?」
「手下だ、ラム・ロゥと同じ地位にある。」
一階に降りる、
水で満たされていたであろう場所と廊下は凍りついていて気を付けなければ簡単に転んでしまう…。
「おい遅いぞ。」
「いや、
床がすべって…うまく歩けない。」
鉄のグリーブを履いているせいで余計に滑りやすくヴィーリオより数歩遅れてしまう…。
「……押してやろうか?」
「やめてくれ!!」
かなり意地悪い笑みを浮かべながら歩いてくるヴィーリオに身構える。
「ほら早く歩け、ほらほら。」
「おい引っ張らないでくれ!!」
腕をぐいぐい引っ張られ何度も倒れそうになるが体制を立て直すことができない、
そして靴が床の小さな窪みに引っ掛かり躓き…。
ヴィーリオを巻き込んで倒れた。
「お、お前が無理矢理引っ張るから…!!」
「わかったから早く退け!
重い。」
「おも…!?」
かなりショックだがこの体制はまずい、
ヴィーリオが仰向けで倒れていてその上にライルが跨がっているという誰かが見たら間違いなく勘違い確定の体制なのだ。
「まったく、
羽が折れたらどうしてくれる。」
「飛べるのか?」
「当たり前だ、
そうでなければ何のための羽だ。」
ライルがまじまじとヴィーリオの羽を見る、
広げるとかなり大きいであろうそれは傷ついている様子はない。
「何だ?」
「いや、
魔族とは不思議なものだなと…。」
「……どこかぶつけたのか?」
「ん?
ああ膝をちょっとぶつけたな。」
真剣な顔でバカにしたが普通に返されふと何かの気配を感じて視線を向けると先程運んだ人物がこちらを見て固まっていた…。
「も、申し訳ありません!!」
「おいこら待ておかしな誤解をするな。」
逃げようとする巨体に魔力の糸を伸ばし捕らえるが重さと力の差があるせいかヴィーリオが引きずられる。
結局誤解が解けたのは寒さに負けて倒れた人物を再び運びヴィーリオがいきさつを説明した…、
ざっと2時間後だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「で、何があった?」
「それが私にもわからないのです、
二日ほど前に突然吹雪が襲ってきて一瞬でこのような状態に…、
民は逃がしたのですがクラーケンだけどこにも見当たらないのです。
魔王様はなぜこちらに?」
「ラム・ロゥが謀反を起こした。」
ヴィーリオの言葉に巨体が怒りに震える。
「あの恩知らずめ!!
また魔王様に刃を向けたのか!?」
大きな怒号に部屋全体が揺れる…、
ヴィーリオが頭を押さえて止める。
「やつなら処罰した、
だがどうやら裏で糸を引いているやつが居るらしい。」
「魔界に魔王様に楯突く輩は排除した筈ですが…。」
「城から大臣どもが消えたのはやはりお前が原因か。」
どうやら裏で消された重鎮が居たらしい。
「氷の魔族は?」
「数日前に城で騒ぎがあったようですが何の情報も…。」
「そうか、玉手箱は?」
「一階奥の封印の間に保管してあります、
あそこは常に水で満たされているため侵入はできないでしょう…。」
と、ライルが首をかしげた。
「一階の奥の入り口なら見えていたぞ?」
「「は?」」
「水路の奥にある入り口のことだろう?
普通に開いていたが?」
ライルが二人に引っ張られ一階の奥に連れていかれた…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おい…、
これはどういうことだザズィール?」
「わ、私にも何が何だか…。」
ザズィールと呼ばれた半魚人の男も驚いている…。
「行くぞ、相手が誰であれ目的は玉手箱のはずだ。」
三人は封印の間へと足を進める
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