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3章
月夜の城
しおりを挟む二人を抱えた虚は難なく屋根を飛び移り城の最上階に降り立った。
「足元がふわふわする…。」
「云百年生きてきたがあんな細身の男に担がれるなんて…。」
ライルは足元の感覚を戻すため立ったりしゃがんだりを繰り返しヴィーリオはショックだったのか頭を抱えている。
「なぁ、向こうだけ霧が晴れていないか?」
ライルが廊下の先を指す、
今は夜らしく月明かりが漏れている。
「そのようだ。」
三人が走っていくとこちらに背を向けている人物が魔物を切り裂いた。
「あれは…。」
ヴィーリオが呟くと背を向けている人物が少し振り向きバカにしたように鼻を鳴らしまた背を向けて足を進め宙に浮いている紫の球を真っ二つに切った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
強烈な光に目を庇い光がおさまるとそこは障気が晴れ外には青空が広がっていた…。
「さっきまで夜だったはずなのに。」
「恐らく強すぎる障気のせいで空間が歪んでいたんだろう、
何にせよこれで先に進める。」
三人が城を出ようとするがすぐに走る音がこちらに向かってきて一人の男がけたたましい音を立てて襖を開いた…。
「観念しやがれ悪鬼ども!!」
ビシっと効果音を出して真ん中にいた虚を指差す、何か大きな勘違いをされているらしくライルが隣のヴィーリオをちらりと見ると何かを悟り諦めたような表情…、
尚も何かわめいている男にずっと指をさされている虚はイラっとしているらしく緩やかな殺気を垂れ流す、が、男は気付かない。
「そろそろ止めて良いか?
奴の息の根を。」
クナイを構える虚の手をライルがおさえる、
ここで流血沙汰を起こしてしまえばあとが厄介だが今回は止める役のヴィーリオが諦めモードだ。
「お、おとなしくしていよう虚!」
「大丈夫だライル、
一瞬で消して堀に投げ捨ててくる。」
「大丈夫じゃない!!」
二人が騒いでいても男はずっと何かわめいている、
これには流石に鈍いライルでも男が異常だと気づく。
「なぁ、
あの男おかしくないか…?」
「あぁ、
こっちが武器を構えても騒いでも変化なしだ…。」
じっと男を見ていたライルがいきなり小さく悲鳴をあげてヴィーリオの袖を握りしめる。
「う…、ヴィーリオ…!!
やつの体から黒いもやが!手が…!!」
「靄?
何も見えないが?」
虚も男を見るが何の変化もない、
ヴィーリオにも見えていないらしく眉をひそめている。
「勇者だから見えたのだろう、
恐らく何か入っているな…。」
やっとわめき終わったのであろう男が人を呼ぶと同じく様子のおかしい男たちがぞろぞろと出てきてもはやライルはヴィーリオと虚の背後に隠れている。
「三人であれを相手にするのは流石に無理があるな…。」
「三人?
一人はもう使い物にならんから二人だろう?
ここはおとなしくついていくぞ。」
大勢の男に囲まれて3人は地下牢に連れていかれた…。
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