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6章
恐怖
しおりを挟む宿に戻ると二人を叩き起こす、
デインはともかく虚はヴィーリオの状態と腕のなかでぐったりしているライルを見て事の重大性を察したようですぐにベッドから降りそこにライルを横たわらせた。
「何があった?」
「天空族の襲撃を受けたときに【王殺しの矢】を使われ俺を庇ってこいつが討たれた。」
「【王殺しの矢】?
それって相手が魔族なら最悪魔王でも殺せるっていう天空族の宝じゃねぇか。」
「魔族以外が当たればどうなるんだ?」
「前例がない、
が、まずいな…。」
ヴィーリオがライルの口元に手を翳すと先程より呼吸が薄くなっている…。
「なら直接天空族の偉いやつに聞いてみたら良いだろ?」
デインが斧を担ぐがヴィーリオがそれを制す。
「奴等が天空国に居るとは考えられん、
居るとしたら制圧中の魔界だろう。」
「だとすれば俺たちは残っていた方が良さそうだな。」
「だな、よく考えたら三人とも出てったら嬢ちゃんだけになっちまう。」
二人が武器を降ろしライルの側に腰かける、とデインが座る直前思い出したように声を出す。
「なぁ、
お前どうやって魔界に帰るんだ?」
確かに、
それが一番の問題だが当てはあるらしく平然と部屋を出る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「居るのなら出てこい。」
暗がりに声をかけると炎の魔物、アヴィヨンが降り立った。
「奴等が【魔神の剣】を手に入れて本格的に魔界の乗っ取りが始まったわ、
根城は貴方の城、貴方の部下たちは今のところ無事よ。」
「そうか…、
それより【王殺しの矢】に当たった魔族以外の者はどうなる?」
アヴィヨンが目を閉じて考え込む、
そしてため息をつき口を開いた。
「 死 ぬ わ 、
一瞬じゃないけど緩やかに。」
「回避する方法は?」
「人間なら転化させるしかない、
それ以外はわからないわ。」
差し出した手を取ると体が炎に包まれる、その時アヴィヨンがヴィーリオに囁く。
「転化させてしまえばその瞬間貴方は魔族としての全てを失いあの子もあの子では無くなるわよ。」
アヴィヨンの目は真剣そのもので、それは転化した者を知っているのかあるいは…。
「 貴方は魔族よりもあの子を選ぶの…?」
あの時前魔王に自分が言った言葉、
それを知っているのは自分と前魔王と…。
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