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6章
宝具の本質
しおりを挟む魔界に降り立ったヴィーリオはアヴィヨンを見る、
彼女は前魔王と長い知り合いだと言っていた、知り合いなのは彼の配下・聖王・ハイン王、そして…。
「アヴィー、
アヴィー・レイヨンか…?」
「あたしも【王殺しの矢】に当たったの、
でも転化したお陰で生きてるわ。」
「人間としての生は捨てたけどね」と、大きくため息をつく彼女にはかつての面影は無い…。
「あたしは氷漬けにされてたから進行は止まってたけどゆっくりしていたらあの子は死ぬわ。」
それだけ言うとアヴィヨンは空へ飛び去った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
城に入り地下に行くと見覚えのある二匹が牢を見張っていて額に青筋を浮かべ音もなく二匹の背後に立ち背骨を引き抜くとガラガラと崩れた。
「ザズィール達がそう簡単に捕まるとはおかしいと思っていたがまさか裏切り者が居たとはな…。」
奪い取った鍵で牢を開けると一つの牢に一人ずつ詰められていた。
「申し訳ありません魔王様、
私が居ながらこのような事態に…。」
「構わん、お前とメノスだけか?」
「いえ、
あちらの牢にもう一人。」
「その二匹を詰めておけ、城ごと潰されても文句は言えん立場だ。」
ザズィールとメノスが二匹を牢に放り込んでいる間にもう一つの牢を開けると戦国で再会した男、ジズが居た。
「やはりお前か…。」
「かなりまずい状態になった、
今一番厄介な魔神器が彼女の手に渡ってしまってね…。」
「剣だろう、
もはや魔神器と元凶を破壊するしか無い。」
困ったように首を振るジズにヴィーリオは鼻で笑いザズィールとメノスが聞いていないことを確認すると声を潜める。
「ライルが【王殺しの矢】に当たった。」
「それは…かなりまずいね、
大昔あの矢で射られた大天使が死んでしまって以来魔族にしか効かないって嘘の噂を流すようになっただけで魔族にしか効かないわけでは無いんだ。」
「転化以外で治す方法は?」
「あるには有るけど外部の助けが要るんだ、
うまくいけば進行は止まってその間治療すれば治る。」
「どうする?」聞かれると考えるそぶりも見せず「やれ。」と返した。
「わかった、
ただ向こうの事だから後で何かしらの要求はあるかもね~。」
「構わん、
出せるものは出す。」
ザズィールとメノスの元に行き話をするヴィーリオを微笑まし気に見る。
「随分変わったね、
これなら僕らも安心かな…?」
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