街の小さな印刷屋さん

アール

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⑦ウレンサの住み込み

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「ねえ起きて。起きてよ。」

という声が聞こえると同時にお腹の辺りでピエータがピョンピョンはねています。

ウレンサは驚いて飛び起きました。

 「君は、えーと、ウリサ?」

 「そうだよ。忘れた?」

 「いや。ピエータたちの形が似ていてわからなかったんだ。」

 「えーー。僕たち全然違うじゃん。まあいいや。とにかく起きて。ハウネルから伝言を預かってるの。」

 「伝言?」

 「そう。君が今日から何をやるかについてだよ。ハウネルはもう街の書店に行っちゃったからね。」

 「早速だけど・・・君、名前は?」

 「ウレンサだよ。」

 「へえ。いい名前だね。僕の名前と似てるし。」

 「ありがとう。」

 「でね。今日は印刷物をどんどん分けて木箱に詰めて欲しいんだ。」

 「うん。わかった。」

 「あ。その前に色々準備しなくちゃね。」

そうしてウレンサは朝ごはんを食べ、服を着替え、準備しました。

 「よし。早速やろう。」

こうして、ウレンサの住み込みが始まりました。

三日間とハウネルは言っていましたが、一度帰った後、また何回も来る予定でした。

そして、ウレンサは自分の持ち場につき、梱包作業を始めました。

その際、ウリサのようにとても好意的に接してくれるピエータもいましたが、敵対心のあるピエータもいました。

 「これこれこれ。早く詰めて!」

人間同士であれば普通の言葉ですが、ピエータ同士でこんなに口調が強くなることはありません。

本来ピエータという種族はとても優しい生き物なのです。

ウレンサは自分の仕事をしている間にもピエータたちの仕事が気になって仕方ありませんでした。

ピエータたちは目に見えない速度で紙にどんどん描いていきます。

文字であったり、絵であったり、難しい記号までスラスラスラスラ描いていきます。

まるで描くことを使命とし、生まれ持った天性を最大限に活用しているようでした。

そして、ウレンサは休憩時間になりました。

ウリサのもとへ行き、ピエータたちの様子をみていました。

ピエータたちは何か色々な植物を食べています。

赤色だったり、青色だったり、黄色だったり色々な植物を口にしていました。

ウレンサは気になって、

「何を食べてるの?」

「うん。それは・・・」

色々質問しましたが、あまり、気分良く返してくれません。

そんな中ウリサが

 「ごめんね。あんまり答えるなってハウネルから言われてるの。でも、今いないから教えてあげるね。これは檳榔樹という草だよ。これはあんまり美味しくないけど、健康にいいからってハウネルがいうから食べてるの。でね・・・」

どんどん喋っていたウリサは周りのピエータから睨まれてしまいました。

 「あ・・・ごめんウレンサこれ以上は喋れないや。」と言って、食事に戻りました。

ウレンサは悲しい気持ちでしたが、なんとかピエータたちと馴染もうとしました。

そして、午後もウレンサは仕事についていると、ふと思いました。

 「ウリサ達は退屈じゃないのかな。ずっとこの小屋で書き続けるなんて。」

そう言ったウリサたちを心配する気持ちがどんどん強まってきました。

午後の仕事終了後、ウレンサはウリサに

 「ウリサ達は苦しくないの?ずっと同じ日々を過ごしていて。」

ウリサはにっこり笑って

 「全然。だって描くことができてるんだもん。」

そう言って戻って行きました。

ウレンサは部屋に戻ると、
「どうもおかしい。そう思いました。ウリサ達はあのハウネルというおじいさんに利用されているんじゃないか。この小屋に閉じ込めて、あんな食事を取らせて、できた印刷物の儲けを独り占めしているんじゃないか。」

そう言った気持ちが強くなってきました。

そう思っている時、ガラガラとドアの開く音が聞こえました。

ハウネルが帰ってきたようです。

ウレンサはハウネルを出迎え、少し話をした後、自分の部屋に戻りました。

そこではピエータたちのことについては聞きませんでした。

もし、そのことが事実なら、ここにはいられなくなるし、今度は本当に危険だと悟りました。

もし、これが思い過ごしだったとしてもウリサたちを傷つけてしまうことになります。

なのでウレンサはそのことについて触れることができませんでした。

そして、その夜、ウレンサのドアの向こう側から話し声が聞こえてきました。
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