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しおりを挟むそれまでずっと黙っていた美奈が手元を見ないまま器用にチョコレートケーキをフォークでカットしながら視線を天井に向ける。
「何が気になるのよ?」
娘が何やら大人しくしているのも珍しいなと、訝しみながら目を向けるアイーシャ。
「さっきの祐一さんの格好」
「格好?」
「忍者の格好よー」
ケーキを口に運びながらウ~ン、と首を捻る美奈。
「あの黒ずくめかい?」
会長が上品に紅茶のカップを口に運ぶ。
「うん、それ。
どっかで見た事があるのよね~。
何処だったのかなあ」
「えー、そもそも美奈は祐一君に会ったのも今日が初めてでしょ?」
「そうなんだけど、私個人的によく会ってた様な気がするのよね」
「「?」」
「こう、何ていうか。
あの姿を見た途端にさぁ、
『待ってました!』
っていう気分になってさぁ、
『キャーキャー』
言いたくなるっていうか・・・」
「「はあ?」」
「それからぁ『やっちまえー!』
みたいな気分になってさー、
『行け~、GO! GO!』
みたいになっちゃって・・・」
会長が首を傾げ、女神がジト目になった。
「なんだかアイドルの追っかけみたいだね?」
辰夫が珈琲を一口飲むと首を捻り
「でも、
『やっちまえ!』
はアイドルの追っかけとは違うわねえ」
辰夫が
「それだと、どっちかって言うと
『ヒーロー』
かな?」
ポツンというと
ガタッ!
っと急に椅子から立ち上がる美奈。
「ああああ!」
「「どうしたの?」」
「Ninjaグリーン様ッ!
正義の味方のお兄さん!
ヒーローだわっ!」
「「はぁ?」」
立ち上がって興奮する美奈を目が点になって見上げる2人。
「小学校高学年の頃にやってたテレビ番組に戦隊モノがあってさ、その中の忍者の戦隊モノに出てた俳優さんに祐一さんが凄く似てるのよ!!」
「忍者の戦隊モノ・・・」
「そうなの!!
番組名を忘れちゃったけどさ。
うーんググってみようか」
そう言いながら肩からかけてあった黒いサコッシュからスマートフォンを取り出してすごい勢いで調べ始める美奈。
「え~、祐一君が俳優って事?」
「会社にファイリングしてある履歴書見たら分かるんじゃないの?」
会長と女神様が首を傾げた。
「あった!!
やっぱりそうだ。
メッチャ似てる!」
「「えーっ?」」
思わずといった感じで美奈のスマホを覗き込む二人。
「ピンボケで判りにくいわねえ~」
「だって10年くらい前の番組なのよ!」
3人で小さな画面を覗き込むと、そこには5人の色とりどりの衣装とフルフェイスを被った戦隊モノのヒーローの写真がデデンと載っていた。
その周りにコラージュのように小さなサムネイル画像があり、その中の1人が確かに祐一によく似ていたのである。
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