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真実の愛を知ったんだ!
悪役令嬢のお父様
しおりを挟む「ロザリア・フォンド公爵令嬢! この場をもってそなたに対して私、レオハルト・モーデンは婚約の破棄を申し渡す!」
綺羅びやかなパーティー会場でこれまた綺羅びやかな貴族服を身に纏うこの国の第三王子が自身の幼馴染でもある婚約者の公爵令嬢に禁断とも言えるそのセリフを彼女に向かって言い放った――
その瞬間。
この世界は乙女ゲームを再現した世界であり、私は自分が紛れもなく転生者なのだということを思い出したのである・・・
××××
ありふれた設定のありふれた18R系の乙女ゲームだった。
主役のヒロインは男爵家の庶子で、プレイヤーは攻略対象の好感度を上げて好みのイケメンとのスチルを手に入れるというシンプルなヤツだ。
恋愛ゲームの障害としては攻略対象の婚約者や恋人がお定まりコースで、彼女達は悪役令嬢と呼ばれ婚約破棄をされたり恋人にあっさり捨てられるという実に捻りのない結末を迎える。
×××
今まさに婚約破棄を申し渡されたロザリア・フォンド公爵令嬢はこの国の第三王子の幼馴染であり婚約者でもあるのだが、ヒロインが王子ルートを選んだ場合は彼女が悪役令嬢としてヒロインの前に壁のように? 立ちはだかるご令嬢である。
『婚約者のいる男性とみだりに接触しないように』
とか
『密室で男性と2人きりになってはいけません』
とか
『暑いからと言ってスカートの裾を持ち上げて中庭の噴水に入ってはいけません』
とか
『口の中に食べ物がある間は他人に話しかけるのはお止めなさい』
とかとか。
まあ―お察しの通りのテンプレ展開のお説教とも言えないような注意を繰り返すのである。
――ソレのどこが壁のように立ちはだかっているのか切実に誰かに教えを請いたい所ではあるが・・・――
×××
フォンド公爵家はこの国の筆頭公爵家で、遡れば王家からの降嫁も度々ある由緒正しいお家柄であり、ぶちゃけ王家とは縁戚にあたる貴族家である。
ロザリアは幼い頃から高位の貴族としてのマナーを叩き込まれて育ったため自由奔放なヒロインの行動に一番頭を悩ます苦労性な立ち位置の存在でもあり、彼女だけは他の攻略対象者をヒロインが選んだとしてもお小言という教育的指導をしたり、他の悪役令嬢の泣き言を聞く役目としてチョイチョイ現れるのでプレイヤー側としては一番お馴染みのキャラなのである。
それは彼女が王立学園に在学する生徒の中でレオハルト王子の次に高貴な家の嫡女であり貴族子息子女達のお手本として行動しなければいけない存在だからだ。
王子の婚約者という立場も手伝って生徒を指導する立場でもあるが、彼ら生徒を守るという役目を担っている苦労人。それが彼女である。
高位貴族しかも公爵家筆頭の家に生まれた彼女の宿命でもあると言っても過言ではないのかも知れないが現代社会を知ってしまっている今の自分としては同情を禁じ得ない。
貴族面倒くせえ。
一方彼女の婚約者でもあるレオハルト王子は王立学園の卒業後は王族としての公務は控えめになり同時に公爵家当主としての教育が始まる事が決定していて、その教育過程が無事に修了した暁には婿養子としてロザリアとの婚姻式を迎える予定の美青年だ。
王子ルートをヒロインが選んだ場合彼の性格は惚れっぽくなってしまうが、選ばれなかった場合はロザリアと一緒になってヒロインの行動に眉をしかめるという姿がみられるようになる――この惚れっぽくなるという行動自体は他の攻略対象者にも共通するゲーム上での仕様らしいが。
王子ルートを選んだ場合は学園在学中に懇意になった男爵家の庶子であるヒロインの言いなりになってしまい、彼はロザリアを蔑ろにし始める。
そしてヒロインの訴えを真に受けて卒業記念に行われる王宮での夜会で己の婚約者であるロザリアに婚約破棄を突きつけ、自分の愛する男爵令嬢を虐めたと言い張り彼女を断罪し国外追放を言い渡す。
まあ、ある意味テンプレで捻りもクソもない展開だが――当に今この場がその舞台そのものであり、王子はロザリアを断罪しようとしている所なのだが・・・
私はコメカミをグリグリと親指で揉みながら溜息をついた。
先程から彼の言い分を聞いていると、異性との過剰接触を注意されたのが嫌だったとか、食事のマナーを指摘されただとか云々かんぬんが続くのだがあまりにもお約束すぎて頭痛を起こしたからである。
マジでそんな理由を聞く機会がくるなんて・・・
いくら異世界転生を果たしたとはいえ、あり得ないだろうと思ったからだ。
なんでその程度で王命で決まっている婚約を陛下の許可もなく破棄出来ると思ってるんだよッ!
一般常識の範疇の注意じゃん!
―――――――
続く✧(~~▿~)~
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