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ニ章.転生聖女と転生聖王
ストレリチア将軍閣下
しおりを挟む王城の南の外れに騎士団訓練施設はあり、ミリアンヌとダニエルはその内の第一騎士団の訓練場へと足を運ぶ。
この国の王都の騎士団は、大きく分けて三つある。第一騎士団が国王一家の近くでの警護を任される、近衛を含む精鋭である。
近衛は容姿も重要視されるが、腕次第なので人数の確保が難しい。
その為第一は爵位は関係なく第二第三の各騎士団長から推薦を受けた者が編入試験を受け合格した者で編成される剣のエリート集団だ。
第二騎士団は貴族の子弟子息の集まりで、第三は殆どが平民出身者で構成されている。
余談だが第一騎士団に入団した時点で下位貴族や平民の場合、騎士伯という一代限りの中位貴族の爵位を国王陛下から賜るため建前上は全員貴族になる。
他に魔法師団もあるが、こちらは騎士団とは違う扱いとなり爵位は全員が魔法伯という爵位を賜る。
魔法師団は宿舎も練習場も騎士団とは別で、噂では爆発や感電などで危ないため結界の張られた建物内が訓練施設らしい・・・
「いいお天気で良かったわね」
「ホントだね姉上」
輝く黄金と薄っすらストロベリーピンクを帯びたプラチナブロンドの小柄な天使が二人仲良く、会話しながら手を繋いで騎士団の訓練場に続く渡り廊下を進んでいく。
少し後ろを、黒いお仕着せを着た侍女らしきお付きと侍従が歩いて行くのも見える。
春らしい花の香りを感じさせる風に晒され、二人の美しい髪の毛が後ろに柔らかく流れ、陽光に当たりキラキラと反射する。
髪の毛の乱れで少し薄目になり、前髪をそっと払う指の爪は桜色。それが伝う頬は薄っすらとした薔薇色、柔らかく笑顔を湛える唇は初夏のサクランボの様に艷やかである。
身長がほぼ同じな為、色違いの双子の天使と言っても過言ではない姿。
渡り廊下ですれ違い際にお辞儀をする城勤めのメイドや侍従はもちろんの事、練習中の騎士達もギョッとして思わず動きを止めると顔を赤らめながらそっと二度見する位、そこだけ花が舞い散る別世界のようである。
それ位この姉弟、目立つ上に親譲りの美貌なのだ・・・が、片や超絶脳筋。片や超剣オタク。
知らないって幸せよね~
と心の中で一人呟くマーサである。
××××××××××
第一騎士団の訓練施設の受付でマーサが手続きを済ませていると、姉弟の前方から濃紺の騎士服を着た男性が現れた。
若干白髪交じりではあるがよく日焼けをした顔は若々しく、マッチ箱のような筋肉質な身体に房飾りの付いた制服がぎちぎちで悲鳴を上げそうである。
「やや、そちらに居られるのはアークライド侯爵家のご息女とご子息ではありませんかな? 」
快活な声はやたらデカいが、親しげで妙に楽しそうである。
「はい。アークライド侯爵家当主ウィリアムが娘、ミリアンヌで御座います」
「私は、嫡男のダニエルと申します」
二人は貴族の礼をした後、首を傾げる。
「ああ、スマン私は、この通りの無作法者でな。あなた方のご両親とは旧知の仲で、エヴァンス・ストレリチアと云う。お二人共子供の頃のご両親に良く似ておられるな。いや、瓜二つと言っても過言では無いかもしれん」
ダニエルがキラキラとした目で男性を見つめ
「ひょっとしてエヴァンス将軍閣下でしょうか? 」
「おお、この爺の事をご存知か? 」
にこやかに笑いながら白い歯を見せるエヴァンス。
「はい! 父様に何度も将軍のお話を聞かせて頂きました! 」
ダニエル、目からハートが飛び出しそうな勢いである。
ちぎれそうな勢いで振られている犬の尻尾の幻覚が見えたミリアンヌであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ダニエルも登場で~す。
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