【完結】距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado

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39 殿下と愉快な仲間達

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 「相変わらず派手な馬車だ」


 呆れ顔で眉根を寄せた前侯爵は溜息する。


「あんなに派手では襲ってくれと言ってるようなもんだと常々言って聞かせておったのに。王家の馬車は未だにギンギラギンか・・・」


 白塗りに大振りの金飾りが装飾された王家の馬車は2人乗りの小ぶりなもので、王子旗を靡かせている。


 因みに襲うというのは他国からの襲撃などではなく魔獣の事で、飛竜種や鳥竜種がキンキラキンの装飾を好むせいだ。

 空を飛ぶ魔獣はキラキラ光るモノを集める習性があるらしく、辺境区では鎧だってわざと光らないように煙で燻したり、土で汚したりするのが当たり前。

 因みに二人乗りの小ぶりの馬車など飛竜種に襲われたらあっという間にエサごと連れ去られるし、鳥竜種だと金の装飾だけ毟り取られるのがオチである。


「平和ボケだのう・・・」


 後ろに続く黒塗りの箱馬車2台は恐らく側近のものだろう。

 あっちが幾分マシだな、とか呟きながら目視で距離を確認する。

 
「ふむ、あの辺りが30メートル地点だな」


 目を細め腕を組み、エントランスで待ち構える前侯爵の前に白塗りの馬車がガラガラと音を立てながらやって来て、彼の目の前で止まった。


「?」


 しかしあとの2台はロイド前侯爵が30メートルとアタリをつけた辺りで止まってしまい、御者が馬車を降りてドアを叩いているのが見える。


「?」


 そうこうしているうちに、王家の馬車の御者台に座るフットマンが降りてきてドアを優雅に開けた。

 が。

 そこには誰も居らず、


「殿下?! 何処ですか!?」


 と。

 取り乱したフットマンが馬車に頭を突っ込んでいる・・・


「ほほお。魔力波探知型の転移機能付きか? フラメア家の坊主はなかなかの腕前の魔法士ようだな」


 焦る王家の御者とフットマンを見ながら、実に嬉しそうに顎を擦るロイド前侯爵閣下であった。



 ×××



 その頃伯爵家の馬車内は大騒ぎ。


「ちょッ、ちょっと、殿下やめてくださいぃ! なに私の×××を刺激してるんですかッ! あっやめてッ」

「うわぁ~ 生B◯・・・ ゲホッ」

「うるさいッ 俺だってお前の股間に俺の×××を押し付けたくないわッ!」

「腰ッ! 腰を動かさないッ! 殿下やめてあげてーーー」

「・・・・・・」


 もう、現場はてんやわんやの大騒ぎである。

 そこにやってきたのは前の馬車に乗っていた侯爵家の令息2人。


「さっき殿下が俺たちの馬車に一瞬現われて消えたんだけどッ?! おい?」

「うわ?! え、殿下?! どうしたんです? リアーヌ様に振られそうだからヨハンに乗り換え?」

「こらぁあああああ!! 助けろぉおッ」


 殿下の悲痛な声が狭い馬車内に響いた。



××××



 一方公爵邸の扉内のリアーヌと祖母キャサリンは


「誰も来ないですわねぇ」

「そうねえ。でも馬車が止まった音はしたわよ?」

「お祖母様、私は外に出なくても良いのでしょうか?」

「お祖父様に呼ばれるまでお待ちなさい。淑女はいつ何時も優雅さと余裕を持たねばなりません」

「そうですわね」


 とノンビリ会話をしていたらしい。



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