【完結】距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado

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46 青天の霹靂②

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 「殿下はともかく、私や側近候補の方々はコンフォート嬢に会おうと思えば会えるはずです! どうかお願いします。彼女に会わせてください!!」


 頭を地面に擦り付け見事な土下座をかましたフロイラインに、流石の前侯爵もちょっと引いてしまう。

 だってヒロインは庇護欲を唆るような可憐で儚げな見た目に出来ているモノだ。

 そんな子が目の前でウルウルしながら土下座したらねぇ・・・


「お、おぉ・・・ 確かに殿下以外は会えるだろうな。弾かれんだろうから。しかし会ってどうするんだ?」

「殿下の代わりに謝りますッ! 私もコンフォート嬢に謝らなくちゃいけないんですッ!!」


 頭を地面に擦り付けんばかりの彼女の懇願に、意識を取り戻したハロルド王子が焦って


「ふ、フラウ、君がそこまでしなくても・・・」


 この台詞。


 この場で殿下が口にするのは悪手であった・・・


『ブチッ!』


 フロイラインのナニかがキレた音がその場の全員に聞こえた気がした。


「アンタがソレをいうなぁあああああ!」


 怒声と共に


『バッシャーーーーーーーン!』


 という音がした・・・


 今や日本の伝統芸能品に格上げされそうだが、元々はお笑い芸人のグループの1人が考案したという『ハリセン』が殿下の頭にクリティカルヒットした音であった。

 音は結構すごいものがあるが正しい角度で叩く分には痛くないのが特徴だが、精神攻撃は凄い―― 特に他人に叩かれ慣れない身分の人間には精神的に『クル』モノがある。

 当然王子という尊い身分であるハロルド王子はそんなもの見たことも聞いたことも無ければ、女性に頭を『はたかれた』事など1度もない訳で・・・


「ふ、フ、フラウ一体何を・・・」


 愕然とした表情のまま白い紙製の扇を凝視する。


「おおッ! 懐かしいな! ハリセンじゃないか~~!」


 何故か、異世界産お茶目アイテムに破顔する人物が1人・・・


「妻にあんまり鉄扇で殴られると危ないからと言って、昔リアーヌがプレゼントしてくれたヤツとよく似てるなぁ」


 ビルエナ前侯爵、ロイドだ。


「ええ? ハリセンご存知で?」


 驚愕のフロイライン。


「おう。リアーヌが4歳くらいの時に画用紙で作ってくれてなあ~。妻の誕生日にプレゼントしてくれたぞ。『これでお祖父様を殴ってください』ってなぁ~。いや懐かしい」


 微笑ましいモノを見る様にウンウンと頷く前侯爵閣下。


「妻が使いすぎて、1週間くらいしか保たなかったがな」


 どんだけ叩かれてるんだろ? と思わず半目になったフロイライン。
 
 しかし、しかしである。


『ハリセンを知ってるという事は? ひょっとしたらリアーヌって転生者?!』


 彼女の中で一つの仮説が持ち上がったのであった。




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