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17番目の姫君と盗人
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しおりを挟むさて、17番目の姫君の失われた祖国に関して、長い間砂漠を挟んだ王国と帝国の2国がどちらも譲らなかったのだが各国の見解は王国の領地であろうということでほぼ一致していた。
何時までも正当性を主張して啀み合う両国に対して、いい加減に和解せよという各国の王族たちからの非難の声も上がり始めた。ましてや帝国は、秘密裏に本来の国の主たる姫君を拉致した上に孕ませ死なせてしまっている。之には声にせずとも各国も眉をひそめていた。
元小国は自治区として王国の中に存在はしていたものの、王国民との混血も進み始めた為もう王国の属州で良いではないかという各国の声が帝国に届き始める。
また、17年続いた小競合いで互いの国民も疲弊していた。
帝国は皇帝の子沢山のせいで国費も怪しくなっていた為、側近や大臣たちも皇帝の説得を試みた。
そしてとうとう彼らは後宮で子育てに追われる皇后を引っ張り出すことに決めた。
この忙しい大事なときに何をさせるという憤懣やる方ない想いはあれども、国の一大事と言われ渋々本宮にやってきた皇后は徐に口を開いた。
「過去は変えられませんが先のことは何とでもなりましょう。17番目の姫は正当なあの小国の王家の血を引く跡継ぎです。あの子に国を返すつもりであると宣言されれば良いのでは?」
「しかしそれでは・・・」
「それ以上の事はワタクシには解りかねます。これ以上国を疲弊させないよう取り計らうのは殿方のお仕事でしょう」
そう言い切ると皇后陛下はサッサと後宮に踵を返すと帰って行ってしまったのである。
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