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17番目の姫君と盗人
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しおりを挟む姫に自治区の権利を与える事は両国共に納得だが、要は姫が帝国から出るか出ないかという部分で揉めているのだと皇后陛下は判断した。
帝国は男性主権の国である為、女性が領主はおかしいと主張するが王国は正当な権利がある以上は女性であっても関係ないと主張している・・・
「では、両国の言い分の間をとって姫が嫁げば良いであろう?」
之には、大臣達も驚いたが成程両国の意見の折衝案ではないかと思い至る。
「但し、姫の婿は後宮の母達の眼鏡に叶い尚且姫が気に入るものでないとならぬ。両国気合を入れて探すようにのう。妾の大切な娘ゆえ粗忽者など以ての外じゃ。各々腹に力を入れて探されるようにのう」
ホホホと高笑いをしながら後宮に踵を返す皇后陛下に、残された大臣達は更に頭が痛くなったのである。
多分だが、之は若い頃の短慮過ぎる皇帝陛下への嫌味であろうとは分かっている。
更には他国を滅して美姫を手に入れるなどという傍若無人の振る舞いを諌められなかった大臣や側近達に対する皇后陛下からの誣言でもあるのだろういう事を、この場の全員がヒシヒシと感じ取り項垂れるのであった。
あの時皇帝の我儘を何としてでも諌めていれば今頃こんな事で苦労はしていない筈だった。
後悔先に立たずとはこの事である・・・
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