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17番目の姫君と盗人

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「皇后陛下、親書が届きました」


 宰相が王国から送られてきた親書を携えて執務部屋にやってきた。


「ご苦労。してあの穀潰しはどうなった」

「はあ、北の塔で終身蟄居と聞いて暴れておりましたが、陛下が3日飯を抜けと命令され、実行後は大人しくなりました」


 帝国は、結局皇后陛下が治めることとなった。


 17番目の姫を嫁がす事を邪魔した罪で大臣たちも将軍も皇帝を奉るのは諦めた。

 たった一人の色狂いのために全てをパアにして、下手をすれば軍も内部抗争になり帝国自体が瓦解する寸前だったのだ。


 皇后の産んだ皇太子が成人するまでは女帝に頑張って貰おうということで大臣達が地に頭をすり付けて頼むと2つ返事で了解を得た。

 蓋を開けてみれば後宮は自治区のように自分達で財を成しており、子らは皆次代の皇帝を支えられる優秀かつ謙虚な者ばかりであった。

 愚かな先代に我慢をせず、賢い皇后陛下に相談すればよかったと今更ながらに悔やまれたが、もう過ぎた話しである。


 王国からの親書を開き皇后陛下はニコリと笑う。

 我が子のように育てた17番目の姫君と自分の甥との間に無事珠のような姫君が生まれたという知らせが入っていたからだ。


 自治区となった元王国は若く美しい夫婦が領主となってから更に栄えるようになったという。


「皆がやっと幸せになりましたよ」


 皇后陛下は執務机の引き出しに大切にしまっておいた、古びたリュートの弦に向いて長い間微笑んでいたそうである。








了ー

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お読み頂きありがとうございました(_ _)


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