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8 対価
しおりを挟む悪魔とエクネに言われた青年は、自分の事をキアンと名乗った。
「キアン、この男の娘の命が尽きかけとるんじゃよ、ちょいとお前さんのソレを分けてやっとくれよ」
エクネの言葉にギョッとしたのは伯爵だけでは無かったようで、キアンの目も大きくなったが、其れはすぐにおさまり首を傾げた。
「そんな事して、俺にどんな得があるんだよ」
仏頂面で魔法陣と呼ばれた図形の上に座り込み、胡座をかいて腕組みをしたまま此方を見る青年。
見れば見るほど整った顔をしてはいるものの、褐色の肌はこの国では滅多に見られず海の向こうの大陸に多いと聞いているので不思議では無い。
人間離れをしたその美しい顔が異様に神々しい意外は取り立てて変わったところがなく、寧ろ彼を閉じ込めている賢者のほうが悪魔なんじゃないかと思えて仕方がなかったが、下手なことは言うまいと伯爵は固く口を噤んでいた。
「そうさねえ、此れと言って得はないねぇ。でもアンタどうせ暇なんじゃろ?」
「まあな、やることがなくて眠ってたくらいだからな」
「じゃあ、暇つぶしに助ける娘を嫁に貰え。それが対価じゃなぁ」
「「え?」」
賢者はそう言ってまたヒヒヒと笑うが、男2人は難色を示した。
「ウチの娘はまだ4歳ですっ!」
「俺はロリコンじゃねえっ!」
「阿呆、4歳ならベビコンじゃろうが」
「「・・・」」
ヒャッヒャッヒャと笑う白い賢者エクネ。
因みにもう一度言うが、彼女は口調こそ年寄りめいているが見た目は10代の少女に見える・・・
――多分ロリババアである。
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