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9 繋ぐ命
しおりを挟む「兎に角、今回は釣り上げた儂の勝ちじゃ。この男の娘の命を、繋げ」
ほぼ無い胸を張る賢者エクネの言葉にチッと舌打ちをして褐色の肌の青年は立ち上がると伯爵の方を向いて
「お前の娘の生まれ年と名前を教えろ」
と言い、手の平を差し出した。
見る見るうちに彼の掌の上に光が生まれる。
慌てて娘の生まれ年と名前を言うと、その光は丸い玉になって突然消えてしまった。
それを呆然と見ていた伯爵に向かい、白い賢者が
「お前の娘の瞳はアメジスト色か?」
そう言いながらキアン青年の顔を下から覗き込んでいる。
確かに彼の娘の瞳の色はアメジストのような澄んだ紫色だ。
「ええ、アリアの瞳は紫色です」
「フム。上手くいったようじゃないか流石じゃな」
伯爵が仏頂面の青年の顔を見ると、先ほどまで蒼翠だった瞳の色が娘によく似た紫色に変わっていた。
「瞳の色は交換だ。お前の娘のアリアの瞳は俺の色になっているが、他は何も変わっていない。20歳になれば瞳の色は返してやる」
腕組みをしたまま彼が続けた。
「但し20歳までは普通の人間と変わらず成長するが、その後は歳を取らなくなってしまう」
「何故ですか?!」
キアンの言葉に驚いて飛び上がる伯爵。
「俺の命を分け与える方法しか無かったのでな。元からアリアは生きていないんだ。仕方がない」
「そんな・・・」
伯爵はガクリと項垂れたが、
「シルフィールド卿、元々4歳で死ぬ運命だった娘なのだ。20歳まで人の子として生きながらえるのなら上等ぞ? しかもこの男は並み居る名もなき神の中では比較的人に近い為、卿の家族とも仲良くやっていける奴じゃ」
その言葉にふと気が付き顔を上げる伯爵。
「名もなき神?」
「そうじゃ。打ち捨てられた古い神々じゃなあ。元を正せば賢者と言われてはいるが儂も同族ぞ?」
ヒヒヒと笑う白い賢者エクネ。
「お前たちの崇める神はお前の祈りに答えたか?」
確かに、彼は娘と妻のために神に祈ったがその恩恵は感じなかったと言っても過言では無かった為、伯爵は無言になった。
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