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10 キアン
しおりを挟むキアンもエクネも大昔はこの辺りの土着の神だったと言う。
この国が異国の神を信仰をし始め役目を果たしたと感じて長い眠りに付いている間に、土着の神々は皆人の世では【悪魔】にされたという。
「まあ、嫌がった奴らもいたみたいだが、俺はどうでも良かったんでそのまま役目を放棄して寝ちまったから今の世は知らん上に【悪魔】らしいことは何一つ判らん」
魔法陣から出てきた青年はカラカラと笑った。
「俺達は、元々【神】と呼ばれる種族に過ぎん。このババアも俺と同類だが、コイツは知ることが趣味だから人の世界でひっそり生きてたみたいだな」
「ババア言うな」
杖で白い賢者がキアンを小突いた。
「まあ、釣れたのがキアンで良かった。他の【悪魔】になりきった悪戯モンだと、面倒くさいからな」
伯爵はその面倒な【悪魔】達を、知りたいとは思わなかった。
「あの、アリアが20歳になったら、キアン殿の妻になるのでしょうか?」
その言葉にウ~ンと考える素振りをするキアン。
「あ~、そこなぁ。いや別に俺の妻じゃ無くてもいいんじゃないか?」
「は?」
「別に見た目が全く変わらんでも良いっていう奴が居ればソイツと結婚すりゃあ良いし、俺の妻になりたいんならソレでも良いぞ」
「・・・?」
伯爵は思わずエクネを振り返る。
「キアン。お前、さては面倒になったな?」
渋顔になった賢者の言葉にケラケラと笑う褐色の美丈夫。
「妻って要するに嫁だろ? 女は嫉妬するから面倒なんだよ。そうさなぁ当分はこの辺りで適当に暮らす許可をくれたらソレでいい」
「そのような事で良いのですか?」
伯爵はガバっとキアンに向かって身を乗り出す。
「だって、俺は人の世に関わりが長い間無かったんだぞ? 訳が判らん世界になってる筈だ。その間色々と教えてもらわんとな」
ヘラリと笑う褐色の美丈夫。
「「・・・」」
かなりお人好しな悪魔? だと、伯爵は、思ったが
「どっちにせよ、お前の娘を生かしておくには俺が又眠っちまう訳にもいかんのだ。お前の娘が20歳になる迄は人の世で俺も過ごさんとな」
彼はそう言って真面目な顔をした。
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