【完結】美貌の男はお好きですか?それが例え悪魔でも?〜悪魔のお嫁様〜

hazuki.mikado

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14 嵐の前触れ

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 夕刻前になり屋敷を去るキアンを見送るために揃ってエントランスに並ぶアリア達伯爵一家。

 彼はシルフィールド家親子に手を振ると乗ってきていた馬に跨ったが、その斑駒がアリアに向かって勝ち誇ったようにいなないた気がして、彼女はムッとする。


「じゃあ、用事が終わり次第帰ってくるからな」


 そう云うなり、馬と一緒に隣国へ向かって彼は出発した。






 彼の去った庭は少し色褪せてしまったようにアリアは感じた。


「アリア、戻りましょう」


 母に声を掛けられて、見えなくなった後姿を追う様に視線を彷徨わせたが、黒髪の美丈夫の背中はもう見えなかった。

 しょんぼりとした顔で母と腕を組み、侍女が開けて待つドアをくぐる。

 厨房から夕食のいい匂いが漂ってきたが、アリアの気持ちは萎んだままだった。








 伯爵一家が屋敷の中に戻っていく姿を門柱近くの茂みから覗く者達がいた。


「凄いな、本当に妖精のように美しいな」


 ブロンズのように輝く髪とサファイアブルーの瞳を瞬かせる彼は、連れの従兄弟に向かって小声で囁いた。それに対して


「おい、もう帰ろうぜ城から迎えが来る前に屋敷に戻らないと俺が父上にしごかれる!」


 辺境伯嫡男デニスは、父の強面が笑顔になり片手に大きな模擬刀を抱える姿を思い描き背筋が寒くなった。

 彼に文句を言われた従兄弟、この国の第2王子であるフィリップは不承不承デニスの勧めに従って伯爵邸の門の外にある茂みから望遠鏡を手に、やっと這い出てきた。


「今迄大した噂にならなかったのが不思議だな」

「シルフィールド卿が彼女を一切外に出さなかったからな。幼い頃の流行り病で長い事身体が弱かったって噂だ」


 2人は小声で話しながら角の向こうに待たせてあったお忍び用の黒い箱馬車に乗り込んだ。

 御者は馬車を引く馬に鞭を振るい、護衛と共に第2王子達は静かに辺境伯の館へと戻って行った。

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