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18 キアン隣国へ side-k

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 丁度その頃、キアンは隣国の王都の真ん中にある女神の神殿にやって来ていた。


「こりゃ又、御大層な神殿だな」


 王都のメインストリートに面した神殿の入り口は広い階段とその横のスロープの2つの方法で登ることができるような作りで、白い太い柱が立ち並ぶ奥に豊穣と火の女神であるブリーイットの祠があるらしい。


「はぁ・・・遠いなこりゃ」


 馬から降りて階段を登るか斑駒に乗ったまま登るか迷ったが、横を通り過ぎる老人がロバを引きながらスロープを歩いて行くのを見て、其れに倣うことにした。


「騒ぎを起こすと後でうるせえしな」


 口笛を吹くと、彼の愛馬が後ろを付いてくる。


「マハ、あの上まで行かんと会えんらしい・・・って別に会いたい訳じゃねえがな。しゃーねー行くか」


 馬の鼻面をポンポンと叩くと、緩い傾斜を登り始める。


 スロープになっている道幅は、馬がすれ違っても十分な余裕がある広さで偶に下に降りてくる信者に頭を下げられ、慌ててこちらも会釈をする。


「ウ~ン。メンドクセエな」

「ブルルッ」


 馬と会話をしながらユックリ登る。

 理由は先行のロバと老人がのんびりだからというだけだが・・・


 横の階段を登り降りする信者も数が多い。


「この国は新しい神は関係ないのかねえ・・・」


 首を捻りながらキアンは愛馬と連れ立ってノンビリ歩きながら周りを見回した。


「まぁ、元々あの女神は俺と違って人に近い役割があったし、春の女神だから人からの信仰が強かったんだろうなぁ」


 鼻歌を口ずさみながら進むキアン自身は元々人寄りの神という訳ではなかった為眠る事には躊躇しなかったが、ブリーイットはそうではなかったのだろう。


「ま、俺と違って責任感強かったんだろな」


 呑気に挨拶しながら登っていく様はまるきり御上りさん。

 あまり見かけない浅黒い肌に驚く人も偶にいるが、やたらと顔のいい割に人懐こい笑顔を浮かべる彼に皆嫌悪感は無さそうである。


「今はあいつの支配下の季節だからお参りが多いんかね」


 ぶつくさ言いながら足を動かした。


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