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19 女神の祠 side-k
しおりを挟む「おう、ここが祠か」
洞窟をくり抜いたような祠の岩肌に見上げるような大きなサイズの女神の像が彫られている。
「でっか・・・」
若干呆れ顔になるキアン。
「ま、信仰の度合いによってこんなモンはサイズが変わるからなぁ」
感心しながら顎に手を置くが、さてどうしたものかと首を傾げた。
呼び出しを受けた時は金色に光る小鳥がやってきて彼に手紙を落として消えた。
書かれていた文字は現存しない古代文字で暗号のようにしか見えない線と線の組み合わせだったので、信憑性はあったのだが・・・
「ここまで来たのはいいがどうやったら会えるんだ?」
ここに来て頭を捻る羽目になった。
「うん?」
ふと、視線を女神像の足元に向けると見慣れた神の姿がいくつか主神の女神の高さの4分の1程度のサイズで同じ岩に彫られている。
「何だ? 俺もいるじゃねえか・・・」
昔の自分の姿の像に手を伸ばそうとして・・・
世界が暗転した――
「あれ? さっきまで男の人がいなかったかい?」
女神に花を捧げて御祈りをしていた女性が顔を上げて、隣の娘に声を掛けた。
「? あら、誰かいた気がするんだけどいなくなっちゃったね。帰ったんじゃない?」
「まぁ、いいか。そうそう、女神様の足元の像にもお祈りしなくちゃねえ」
母親らしき女性がサイズの小さい像の足元に、花を置く。
「ねえ、母さんこの神様どんな神様なの?」
娘が母親が花を置いた像を不思議そうに見る。
「ああ。家畜達の守り神だよ。うちは乳牛がいっぱいだからお祈りしとかなきゃね」
「へー、だからこの神様角が生えてるんだね。足も山羊みたいで笛を吹いてる」
岩肌に彫られた像をジッと見つめる少女の肩に手を置いて
「音楽と踊り神でもあるからさ」
母親はニコリと笑ってから丁寧に手を合わせ頭を下げた。
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