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40 その頃の両親達
しおりを挟む少しばかり時間は巻き戻る――
娘を見失ったシルフィールド伯爵一家は大慌てでその辺りにいた人々に娘を見なかったかと聞いて回った。
丁度通りかかった巡回中の騎士に誰かが知らせてくれたようで、彼らは直ぐに騎士団員達に娘の捜索を願い出たのだが、園遊会の期間中は外国人が王都に増えるため質の悪い連中が紛れ込み、人攫いが稀に起こると説明を受けて一家は真っ青になった。
異国のキャラバンが開くバザールの前の道で忽然と消えたという事を伝えると騎士達は一層苦い顔をした。
「お願いです娘を探して下さい」
伯爵夫妻と召使いの2人は騎士団員達にスライディングする勢いで土下座する。
流石にどう見ても貴族でしかない彼らにいつまでも土下座をさせる訳にも行かないので慌てて騎士達が散らばって行った。
残った騎士団付きの事務官が、
「何か進展があり次第お知らせしますので連絡の付く場所で待機して下さい」
と、彼らを馬車に乗せて辺境伯のタウンハウスまで無理矢理送り返した。
騎士団から連絡を受けた辺境伯夫妻が慌てて屋敷に戻ってきて、辺境伯の騎士達まで捜索に駆り出され屋敷中が大騒ぎになる中、アリアは一晩経っても戻らず夫妻は一睡もできないまま朝を迎えたのだった。
「お嬢様、一体何処へ・・・」
「あの時目を離したのがいけなかったのだ・・・」
「私が手を繋いでおけば・・・」
「私が最後尾に付けばこんなことには・・・」
愛するアリアを心配するあまり、部屋の隅に皆が集まりブツブツと呟いているのを、辺境伯のタウンハウス付きのメイドが悲痛そうな顔をして見ていたが、ドアのノックに気づき慌てて返事をする。
ハッとして全員が立ち上がりドアを見つめると、そこに立っていたのは第2王子フィリップであった。
――何故、今ここに王子様?
そしてその後ろにおずおずと隠れる様に立っているのは辺境伯嫡男デニスであった。
――またコイツかよ!
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