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56 王子様出口はアチラでございます

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 「何を言ってるのか分からんが、部屋に鏡くらいはあるよ。当たり前だろう?」


 不思議そうな顔をするフィリップ。


 ――そうじゃねえよ、ツラ見て出直せってことだよッ! オメーの顔は好みじゃねって言ってんだってばッ((汗))


 周りの心の声は残念ながらナルッちゃってる王子には届かない・・・


ワタクシとっても、と――――っても面食いですのよ?」


 にっこりと艶やかな笑顔を披露しながら、キアンの腕に自分の腕を絡めて身体を密着させるアリア。

 すかさず、その細腰に手を回すキアン。

 因みに彼の顔は・・・神がかった美貌って怒るとメッチャ怖いんよなぁ、である。


「どういう意味かぁ・・・」


 王子が口を開きかけたが声は遮られる。


『スッパァアアーンッ!』


 一部の人々に非常にお馴染みの音をさせて、王子の身体がホール中央から部屋の隅っこに向けて吹っ飛んでいった・・・






「すまない、重ね重ね失礼をしたッ!! まさか貴族牢を抜け出すとは思わなかったッ!」


 お馴染みのガタイのいいナイスミドルが頭を下げる。

 その手には、見事な装飾をされた本物のツヴァイヘンダー・・・

 こんなモンでぶん殴られたのか、と皆の顔色が悪くなる。


 そして貴族牢って・・・?


 周りが一瞬固まったが、聞かなかった事にしたようで全員が一斉に指を耳に突っ込んだ。


「ご両親が知らせに来てくれて良かった。今度こそ根性をたたき直す為に早急に辺境伯領に連れて行くので許してくれ」


「大丈夫です。助けて頂いてありがとうございました辺境伯様。我々は気にしておりませんので」


 アリアと共にシルフィールド伯爵夫妻が頭を下げる彼に向かってこれまた同じく頭を下げる。

 因みにキアンも渋々一緒になって頭を下げる――


「これからも宜しくお願いします。私共シルフィールド領は辺境伯様が居てこそなのですから」


 シルフィールド伯爵と王弟でもある辺境伯が笑顔でガッチリ握手を交わした。






 因みに隅に飛んでいった第2王子フィリップは、近衛騎士達がよっこらしょと、担架に乗せて、ホールから連れ去って行った・・・


 行き先は不明である。


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