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57 後始末
しおりを挟むバザールに紛れ込み商人を装ってアリアを拐った男達の正体は盗賊の集団で、船乗り達の事情聴取によりあの事件の後で騎士団の手により直ぐに捕まったらしい。
売っていた品物も襲ったキャラバンからくすねたものらしく、余罪が有り余るほどで暫くは騎士団の取り調べが続く事が決定した。
キアンの愛馬マハに捕まり海中に落とされた乗組員達は、雇われて海の向こうの大陸から彼らを運んできただけであって犯罪には直接関係がない事が分かったので、情状酌量の余地があるとされて水夫達は罰される事は無くなった。
船長に関しては、アリアが運び込まれた時に拒否しなかった事と、酔って彼女を襲おうとした事が理由で罪に問われたが、商人達を疑っていて、どうやらアリアを逃がす意志があったという供述があった事と、水夫達が酒を飲まなければ良識がある船長なのだと嘆願書を提出したため、生涯飲酒をしないという誓約をする事と、鞭打ちの刑を受ける事で収まったのであった。
貴族令嬢であるアリアが拉致監禁という不名誉な目に合わされ醜聞が広がるかと思いきや、大陸の実業家の美青年とその愛馬が美しい令嬢を命がけで助け出し、2人の間に愛が芽生えたという如何にも大衆受けするラブロマンスを新聞社が大々的に新聞に掲載した為、この2人の愛の行く末の方に世間は大注目だ。
その、世にも美しいと言われた美男美女のカップルを、ラブロマンス好きの王妃が更に全力でバックアップしたお陰なのかは判らないが、アリアの誘拐に関する醜聞は全くと言って良いくらい取り沙汰されることなく皆が自然と忘れて行った。
これはアリアの金の髪に埋もれるように飾られている女神の祝福を受けた簪が関係しているのだろうとキアンは内心納得している――
余りにも皆、綺麗さっぱり忘れていくからである。
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