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58 カフェテリアにて
しおりを挟む1ヶ月後――
「誘拐されたのが出会いの切っ掛けのエッセンスとして扱われてるのが笑えちゃうわ」
そう言ってアリアは大衆紙が今だに自分達の事を記事にして紙面を埋めているのを確認し、ウンザリした顔でソレを折り畳むとカフェのテーブルの上にそっと置いた。
「まあ、いいんじゃないか?」
とクツクツと笑うキアン。
2人は王都の貴族街にあるホテル内の有名なカフェテリアで、お茶をしている真っ最中である――
「フィリップ第2王子が辺境伯の騎士団員になったらしいわよ」
「えええ~、残念ね。王都であの顔を見られなくなるのは損失よ。美形だもの」
直ぐ近くのテーブルで貴族子女達がクスクス笑いながら、最近辺境伯領に送られたらしい第2王子殿下の噂に興じているようだ。
「なんでも国王両陛下が直々にお願いしたらしいわよ。このままじゃ王家の庶子が出来そうで困るからってね」
「うわ~、有り得そうで怖いわねえ。フィリップ殿下だものやーだ」
少女達はクスクスと笑いながらケーキを頬張る。
「例の【真実の愛で結ばれた】ご令嬢にも園遊会で自分の侍女になれって命令したんですって」
「んまぁ! 図々しいわねぇ!」
「ホントよね。いくらイケメンでもそれはないわぁ~」
「あら、アタシは愛妾になれって言ったって聞いたわよ?」
「えええ~! いくらなんでもそれは無いでしょ?」
「わっかんないわよ、無類の女好きって噂でしょう?」
誰か1人がコホンと咳払いをすると全員が唇に人差し指を当てた。
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