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50 アリアの寿命
しおりを挟む帰ってきた早々だったが、あまりの衣装の破損具合に驚いた伯爵夫人とマーサは、騒ぎに気が付きやって来た辺境伯夫人と共にアリアを入浴させ休ませる事を即決し、彼女を引っ張るようにする伯爵夫人がマーサを伴い慌てて邸へ戻っていく。
「城に行った主人にも連絡を入れますわ」
残った辺境伯夫人は近くの侍従を手招きして、厄介者を連れて邸を出た辺境伯にアリアの帰還を知らせるように馬を走らせ、その後の采配をするために辺境伯の騎士団を呼び戻すために侍女に指示をしていた。
一方アリアを連れて帰ってきたキアンはその間シルフィールド伯爵と共に立ち話をしていた様で、彼が驚いて目を見開き
「そうなんですかッ?!」
と驚いて彼のがっしりとした手を思わず握っている。
「ああ。20歳の誕生日が来て瞳を元に戻しても、その後16年は確定だろう。酷い病気や怪我などがなければ30年位は人としてアリアは生きていける。上手く行けば50歳って所か? 今の人間の寿命はどの位なんだ?」
「上手く生きられたとしても70歳位ですね、ですから少し早い寿命と言えばそうなのですが、もっと早くに亡くなる方は大勢います」
「俺と婚姻を結ぶかどうかは以前言った通りアリアに任せる。それでいいか?」
「はい」
伯爵は強く頷いたが、気の強い娘がどう決断するかは何となく予測がついく。
彼は少し寂し気な顔をするキアンを微笑ましく思いながら、眉を下げたのだった。
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