【完結】ずっと君を愛してる〜心惹かれる想いを君へ〜

１１ 奔走

　結婚式を終えて、夫婦になったけれど今度は妻の実家の経営する商会の運営に着手して、業績を上げるために国中を奔走した。

　国内に居るなら社交も大事にしなければ不味いと言われて、度々夫婦で夜会や茶会にも精力的に出席した。

　彼女はとても美しく社交的かつ、友人も多かったので我が家の扱うジュエリーの広告塔として一役買ってくれた。

　商用ポスターのモデルも努めてくれた。

　同様に彼女の実家の商会で扱うドレスや小物の広告塔でもあった。

　彼女のお陰で我が家だけでは無く彼女の実家も潤い、弟の学費の心配が無くなったと感謝された。

　一方で俺は、目が回るように忙しくて身体が仕事用と睡眠用の２つあれば楽だな、と毎日思いながら仕事をしていた。


　夜会や茶会の後も会社にとんぼ返りだ。


　何でこれ程無理をするかって？　それは５年で商会の実権を握るためだ。


　気がつけば卒業後４年が経ち、あと半年で目標の５年という所まで来た。


　社交界では俺達夫婦はおしどり夫婦みたいに噂されていたが、実際はそんな事は無かった。


　本当は――


　あの夜、初夜を迎える為に煽情的な夜着を着て夫婦の寝室で待っていた彼女に告げた言葉。

　それは、


　「君を抱く気はない」


　だったから――