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27 45度のお辞儀
しおりを挟む「おっはようございますッ!」
いつもの元気な声が聞こえた。
4年ぶりに休んだ筈が、余計な問題を抱えることになった俺は妙に落ち着かなくなり誰もいない会社に1番乗りでやって来て、机の上の書類を片付けていた。
「あれ、誰かいるのかな?」
相変わらずのでかい声で却って安心する。
「おはようサーシャ君。相変わらず元気だね」
「わわ、会長! おはようございますッ!」
深々と45度に腰を折ったお辞儀をされて面食らう。
「どうしたの?」
「いや、会長があまりにも偉大すぎて。尊敬しかありません」
「?」
「たった1人で海外にまで行って新規事業を立ち上げて、今まで無かった広告という方法で自社を周知させ、あちこちの商人や代理店や職人達に呼びかけて組織化して組合を作って、自社で真っ先に女性の正社員雇用を取り入れて補償制度と従業員組合という目新しい事を始め・・・・」
「待って、サーシャ君。ストップ。全部言ってたらきりが無いから簡潔にね」
「あ~ つまり、凄い人に雇って貰えて感謝しか無いって事ですね」
「・・・うん。ありがとう。所で、仕事に慣れたかい?」
「皆さんには慣れましたが、仕事はまぁまぁです。未だに計算のやり直しをマネージャーにほぼ毎日、1度は申し付けられてます。随分減りましたが」
「1ヶ月でそこまで慣れたのなら大丈夫だ」
そう言うと、またあの笑顔を見せてくれた。
ホッとした――
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