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11 魔女の妹と会った
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ザラの一撃は、ひざ枕をしていた2人を両断するように空中から振り下ろされた。
ところが、一撃は途中で完全に止った。
眠っていたアーサーが瞬間的に目覚め、剣を抜き、完全に受け止めていた。
「レディ。このような2人に、剣を振るうのは良くないですね。」
「英雄様。そんなカッコをなさっているから剣を振るったのですよ。ほんとうの英雄ならば超感覚をもっていて、眠っていても殺気に気がついて反応すると思ったからです。」
「ザラ、いきなりこのようなことをするのはやめてください。私はあなたと絶対に戦いたくないし、戦わない。覚えておいてください。」
「そうですかお姉様。我が主に言われたことは、美しき心を映す世界に力を与えている者を確認すること。もう確認したから帰るわ。最後に英雄様、一つ質問させてください。」
「どうぞ。」
「私とお姉様は同じ母親から生まれた美しい姉妹なのです。だから、とても似ているでしょう。見分けがつきますか? 」
「はい。とても難しいですね。でも、青い瞳の奥をのぞけば、なんとか見分けられます。」
「…………理由は聞きません。私にとってそれが一番つらいから。私は「ねたみのザラ」、闇落ちした魔女、暗黒騎士です。後はお姉様の方から説明しておいてください。」
ザラは美しき心を映す世界の天に向かって、腕を上げ指さした。
そして、あっという間に登って行き空に浮かぶ黒い手のような影に吸い込まれた。
その後、黒い手のような影は消えて、小高い丘の上を再び温あたたかい太陽の光りが照らし始めた。
「アーサー王子様。私の妹をとんでもないシチュエーションで会わせてしまいました。申し訳ありません。でも、あの子は悪い子ではないのです。」
「失礼ですが、お二人のお母様は魔女なのですか? 」
「はい。私達の母親は魔女の世界の女王クリスタ。『真実に至る魔女』と呼ばれています。最強の魔女で、二つの世界の均衡が保たれるよう監視をするのが役目です。」
「二つの世界とは、この『美しき心を映す世界』と『悪しき心を映す世界』のことですか? 」
「そうです。はるか昔の世にはそのような区分は全くなかったのですが、人間という生物が生まれ、この世いっぱいにあふれてから、対ついになって二つの世界が生まれました。」
「人間の美しき心と悪しき心、2つが存在しまうことはしかたがないと思います。ただ、なんなく悪しき心の方が強くなりやすいような気がします。」
「そうですね。魔女の世界で生まれた私の妹ザラも、母親がいつもそばにいない私のことばかりほめ、恋しがるので、私をひどくねたみ闇落ちした魔女になってしまいました。」
「妹のザラさんがさっき『我が主』と言っていましたが? 」
「悪しき心をエネルギーにしている魔族の王、魔王アスモデウスです。自分の勢力を拡大するため、人間の中で強い力をもつ者を闇落ちさせ、自分の軍団の幹部としています。」
「妹さんも魔王にねらわれてしまったのですね。――――――重要な話の途中で恐縮ですが、クラリスさん、もう少しひざ枕で眠らせていただきたいのですが。」
「いいですよ。ゆっくりとお休みください。」
夕方になり、アーサーとクラリスはランカスター公爵の城に帰った。
城門の前では騎士のメイナードが直立して2人を出迎えた。
「アーサー王子様、クラリスお嬢様、ご無事で安心しました。さあ、城の中に。」
2人がいなくなったのに、城の中はいたって平穏だった。
大広間のテーブルの椅子に3人でこしかけた。
「王子様がいなくなって直ぐにランカスター公爵様に御相談したのですが、笑いながら『全く問題ありません。あの2人なら襲ってきた者を簡単に全部退けます。』と言われました。」
「お父様は私のこと少しも心配してくれないのですよ。」
「同じように、私も一応王子なのですが、心配してくれたことがないのです。先の戦場で御一緒したのですが、公爵の目の前でたびたび無茶なことをしましたから。」
そのうち、ランカスター公爵が姿を現わした。
「王子様。お疲れはとれましたか。」
「ええ。とても楽しいピクニックになりました。クラリスさんのサンドウィッチは最高においしかったです。ランチをしたのがとても素敵な場所でした。」
「クラリス。特別な場所にお連れしたのか。」
「はい。美しき心が映す世界の中でも、最も素敵な場所にお連れしました。」
「そうか。最高の場所にお連れしたのだな。」
「ランカスター公爵も行かれたことがあるのですか。」
「はい。実はクラリスの母親に連れて行ってもらったことがあります。ただ、半分は眠ってしまいましたが。」
「お父様。まさか、お母様にひざ枕をしてもらったのですか。」
「そうだけど、何か。」
クラリスとアーサーは一瞬目が合って微笑んだ。
「お父様。一つだけハプニングがありました。ザラに出会ったのです。」
「クリスタが魔女の国で生んだクラリスの妹! 私の娘! 」
「魔王の指示で、美しき心を映す世界に神聖な力が注がれた理由を調べに来たのです。」
「そうか、クリスタは双子の姉妹のうちクラリスをこの城で産んだ後、すぐに転移魔法で魔女の世界に移ってザラを産んだ魔法で伝信してくれた。」
「ザラは完全に暗黒騎士になっていました。」
「クリスタが魔女の世界から手紙を送ってきて、ザラを闇落ちさせてしまったことを心からお詫びしてきた。もし会うことができたのなら救ってあげたい。」
「もともとザラさんは美しい心をもった人だったに違いありません。それを魔王は、わずかに悪しき心が芽生えた瞬間をねらったのですね。」
アーサーはザラの青い瞳が深海のように暗かったことを想い出した。
ところが、一撃は途中で完全に止った。
眠っていたアーサーが瞬間的に目覚め、剣を抜き、完全に受け止めていた。
「レディ。このような2人に、剣を振るうのは良くないですね。」
「英雄様。そんなカッコをなさっているから剣を振るったのですよ。ほんとうの英雄ならば超感覚をもっていて、眠っていても殺気に気がついて反応すると思ったからです。」
「ザラ、いきなりこのようなことをするのはやめてください。私はあなたと絶対に戦いたくないし、戦わない。覚えておいてください。」
「そうですかお姉様。我が主に言われたことは、美しき心を映す世界に力を与えている者を確認すること。もう確認したから帰るわ。最後に英雄様、一つ質問させてください。」
「どうぞ。」
「私とお姉様は同じ母親から生まれた美しい姉妹なのです。だから、とても似ているでしょう。見分けがつきますか? 」
「はい。とても難しいですね。でも、青い瞳の奥をのぞけば、なんとか見分けられます。」
「…………理由は聞きません。私にとってそれが一番つらいから。私は「ねたみのザラ」、闇落ちした魔女、暗黒騎士です。後はお姉様の方から説明しておいてください。」
ザラは美しき心を映す世界の天に向かって、腕を上げ指さした。
そして、あっという間に登って行き空に浮かぶ黒い手のような影に吸い込まれた。
その後、黒い手のような影は消えて、小高い丘の上を再び温あたたかい太陽の光りが照らし始めた。
「アーサー王子様。私の妹をとんでもないシチュエーションで会わせてしまいました。申し訳ありません。でも、あの子は悪い子ではないのです。」
「失礼ですが、お二人のお母様は魔女なのですか? 」
「はい。私達の母親は魔女の世界の女王クリスタ。『真実に至る魔女』と呼ばれています。最強の魔女で、二つの世界の均衡が保たれるよう監視をするのが役目です。」
「二つの世界とは、この『美しき心を映す世界』と『悪しき心を映す世界』のことですか? 」
「そうです。はるか昔の世にはそのような区分は全くなかったのですが、人間という生物が生まれ、この世いっぱいにあふれてから、対ついになって二つの世界が生まれました。」
「人間の美しき心と悪しき心、2つが存在しまうことはしかたがないと思います。ただ、なんなく悪しき心の方が強くなりやすいような気がします。」
「そうですね。魔女の世界で生まれた私の妹ザラも、母親がいつもそばにいない私のことばかりほめ、恋しがるので、私をひどくねたみ闇落ちした魔女になってしまいました。」
「妹のザラさんがさっき『我が主』と言っていましたが? 」
「悪しき心をエネルギーにしている魔族の王、魔王アスモデウスです。自分の勢力を拡大するため、人間の中で強い力をもつ者を闇落ちさせ、自分の軍団の幹部としています。」
「妹さんも魔王にねらわれてしまったのですね。――――――重要な話の途中で恐縮ですが、クラリスさん、もう少しひざ枕で眠らせていただきたいのですが。」
「いいですよ。ゆっくりとお休みください。」
夕方になり、アーサーとクラリスはランカスター公爵の城に帰った。
城門の前では騎士のメイナードが直立して2人を出迎えた。
「アーサー王子様、クラリスお嬢様、ご無事で安心しました。さあ、城の中に。」
2人がいなくなったのに、城の中はいたって平穏だった。
大広間のテーブルの椅子に3人でこしかけた。
「王子様がいなくなって直ぐにランカスター公爵様に御相談したのですが、笑いながら『全く問題ありません。あの2人なら襲ってきた者を簡単に全部退けます。』と言われました。」
「お父様は私のこと少しも心配してくれないのですよ。」
「同じように、私も一応王子なのですが、心配してくれたことがないのです。先の戦場で御一緒したのですが、公爵の目の前でたびたび無茶なことをしましたから。」
そのうち、ランカスター公爵が姿を現わした。
「王子様。お疲れはとれましたか。」
「ええ。とても楽しいピクニックになりました。クラリスさんのサンドウィッチは最高においしかったです。ランチをしたのがとても素敵な場所でした。」
「クラリス。特別な場所にお連れしたのか。」
「はい。美しき心が映す世界の中でも、最も素敵な場所にお連れしました。」
「そうか。最高の場所にお連れしたのだな。」
「ランカスター公爵も行かれたことがあるのですか。」
「はい。実はクラリスの母親に連れて行ってもらったことがあります。ただ、半分は眠ってしまいましたが。」
「お父様。まさか、お母様にひざ枕をしてもらったのですか。」
「そうだけど、何か。」
クラリスとアーサーは一瞬目が合って微笑んだ。
「お父様。一つだけハプニングがありました。ザラに出会ったのです。」
「クリスタが魔女の国で生んだクラリスの妹! 私の娘! 」
「魔王の指示で、美しき心を映す世界に神聖な力が注がれた理由を調べに来たのです。」
「そうか、クリスタは双子の姉妹のうちクラリスをこの城で産んだ後、すぐに転移魔法で魔女の世界に移ってザラを産んだ魔法で伝信してくれた。」
「ザラは完全に暗黒騎士になっていました。」
「クリスタが魔女の世界から手紙を送ってきて、ザラを闇落ちさせてしまったことを心からお詫びしてきた。もし会うことができたのなら救ってあげたい。」
「もともとザラさんは美しい心をもった人だったに違いありません。それを魔王は、わずかに悪しき心が芽生えた瞬間をねらったのですね。」
アーサーはザラの青い瞳が深海のように暗かったことを想い出した。
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