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97 英雄と魔女の故郷は侵略された3
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数日前の出来事を考えていたランカスター公爵は、自分の城の軍議室に座っていた。
(副王イブリースの能力は、仮想を現実化すること。さらに、王都イスタンの王宮は悪しき心を映す世界と連結し、実質的に魔界の出城のようになってしまった。)
彼が何回考えても、イブリースに勝つための良い考えを巡らせることはできなかった。
そのうちに、突然、軍議室のドアがノックされた。
家宰のヴォルフが慌ててやってきたのだった。
「旦那様。クラリスお嬢様がお帰りになりました。アーサー王子様も一緒に、この城にお帰りです。それと、侍女のメイと従者の騎士メイナードも無事なようです。」
アーサーの名前を聞いて、ランカスターの胸は少し締め付けられたが、すぐに返事をした。
「応接室にお通ししてください。」
ランカスターは2年ぶりに自分の娘に再会したが、喜びの感情は心の奥深く隠していた。
彼は副王イブリースとの戦いについて、包み欠かさず話した。
「アーサー王子様。誠に申し訳ありません。あの時点でイブリースに敗北を宣言し、戦いを休止した。そして父上や兄上様達を人質にとられたことには、申し開きの言葉もありません。」
ランカスターの言葉を聞いた後、アーサーは恐縮した顔でランカスターにおじぎをした。
「公爵。何も気になされることは全くありません。そのような困難な状況で、見事ゴード王国の領地を取り戻していただいたことに、心から感謝致します。父上や兄上達のことも大丈夫ですから。」
アーサーは、ランカスターのことを心の底から思いやった。
そして、言った。
「公爵。御令嬢のクラリスさんもお帰りになっています。美しき心を映す世界の守護者として見事な働きでした。既に8か国で災厄を防ぐことができました。」
「そうですか。心配していましたが‥‥」
遠慮していたランカスターとクラリスはようやく目を合わせた。
「クラリス。御苦労様でした。8か国で起ころうとしていた災厄はどれもこれも大変なものだったのでしょう。災厄を防ぎ、多くの人々の未来を救ったことを父親として誇りに思います。」
「父様。ありがとうございます。なんとかやりとげました。ただ、後2か国残っています。――その1つが私の国であるゴード王国とは思ってもみませんでしたが。」
「王都イスタンは完全に魔族に支配されてしまった。たぶん王宮は悪しき心を映す世界と連結され、行き来が容易く、いざとなれば魔物の大軍を呼び寄せることができるはずです。」
ランカスターにアーサーが聞いた。
「そうすると、まず重要なことは王宮に作られた、悪しき心を映す世界との連結点を防ぐということですね。連結点の場所はわかるでしょうか。」
アーサーの疑問にクラリスが答えた。
「私は美しき心を映す世界の守護者。悪しき心を映す世界から流れ込むエネルギ-の場所を特定することができます。王宮に忍び込み、連結点を破壊しましょう。」
ランカスターが言った。
「ゴード王国を侵略しているのは、副王の称号を与えられている暗黒騎士イブリースです。私はもう1回戦いましたが、相当な戦略家です。連結点の警備も厳しいに違いありません。」
「父様。連結点を破壊しなければ、副王イブリースに勝つことができないとすれば、危険が待受けていたとしてもやらざるを得ません。」
「そうか‥‥ あまり危険なことはやらしたくないのだが。」
「公爵。私もクラリスさんと一緒に王宮に向います。だいぶ変わっているかもしれませんが、子供の頃からよく知っている場所ですから。」
「わかりました。それでは、私は副王イブリースと約束している仮想空間での戦争ゲームに挑むことにします。イブリースの注意を少しでもそらさなければなりません。」
「父様。あまり無理はなさらないでください。さきほどお話いただいたとおり、その戦争ゲームの仮想空間で行われた結果は現実化されるのですね。戦う父様のプレッシャーは計り知れないと思います。」
「ありがとう。でも私は、ゴード王家をお支えしてきたランカスター公爵家の者だ。そして、愛する人と愛する娘は、重い重い宿命を背負っているクリスタとクラリスだ。私だけ逃げるのは恥ずかしい。」
アーサーが真剣な表情で言った。
「我が国が世界に誇る将軍、ランカスター公爵に副王イブリースとの戦いをお任せします。そして、私とクラリスさんは王宮に入り、悪しき心を映す世界との連結点を必ず破壊します。」
メイナードが申し出た。
「私もアーサー王子様とクラリスさんを警護するためにお供します。」
「メイナード。あなたが警護につけばどんなに安心なことか。今回は、副王イブリースと仮想空間で戦うランカスター公爵のそばにいて警護してください。」
クラリスもメイに言った。
「メイも父様のそばにいて、心や体の疲労から父様を守ってください。そしていざとなったら、素早く安全な場所に連れ出してください。」
「わかりました。お嬢様。お任せを。」
王都イステンまで、ランカスター公爵軍を主力とするゴード王国国軍は前進した。
その数は20万人にも及んだ。
そして慎重に王都の回りを取り囲んだ。
幸いにイスタンの市街地の状況はほとんど変わっていなかった。
ゴード王国国軍は、王都イスタンを囲む高くて厚い城壁をそのまま包囲網とした。
城壁の上に立ち、ランカスターは大声でイブリースに叫んだ。
「副王イブリース様。戦争ゲームを再開するためにやって来ました。兵力は前回の4倍の20万人です。戦っていただけますでしょうか。」
すると、はるかかなたに見える王宮の建物から声が返ってきた。
「ランカスター公爵様。ようこそ、私との再戦にいらっしゃった。そこに転移魔法陣を飛ばしますから、その中にお入りください。」
「わかりました。副王様、2人の従者を連れて行きたいのですが。」
「いいですよ。私の回りにはたくさんの魔物が控えていますので平等とはいえませんが、たった2人の従者でよろしいのであればお連れください。」
イブリースの声が消えた後、城壁の先の空中に転移魔法陣が現われた。
ランカスター、メイナード、メイの3人がその中に入るとすぐに姿が消えて転移した。
(副王イブリースの能力は、仮想を現実化すること。さらに、王都イスタンの王宮は悪しき心を映す世界と連結し、実質的に魔界の出城のようになってしまった。)
彼が何回考えても、イブリースに勝つための良い考えを巡らせることはできなかった。
そのうちに、突然、軍議室のドアがノックされた。
家宰のヴォルフが慌ててやってきたのだった。
「旦那様。クラリスお嬢様がお帰りになりました。アーサー王子様も一緒に、この城にお帰りです。それと、侍女のメイと従者の騎士メイナードも無事なようです。」
アーサーの名前を聞いて、ランカスターの胸は少し締め付けられたが、すぐに返事をした。
「応接室にお通ししてください。」
ランカスターは2年ぶりに自分の娘に再会したが、喜びの感情は心の奥深く隠していた。
彼は副王イブリースとの戦いについて、包み欠かさず話した。
「アーサー王子様。誠に申し訳ありません。あの時点でイブリースに敗北を宣言し、戦いを休止した。そして父上や兄上様達を人質にとられたことには、申し開きの言葉もありません。」
ランカスターの言葉を聞いた後、アーサーは恐縮した顔でランカスターにおじぎをした。
「公爵。何も気になされることは全くありません。そのような困難な状況で、見事ゴード王国の領地を取り戻していただいたことに、心から感謝致します。父上や兄上達のことも大丈夫ですから。」
アーサーは、ランカスターのことを心の底から思いやった。
そして、言った。
「公爵。御令嬢のクラリスさんもお帰りになっています。美しき心を映す世界の守護者として見事な働きでした。既に8か国で災厄を防ぐことができました。」
「そうですか。心配していましたが‥‥」
遠慮していたランカスターとクラリスはようやく目を合わせた。
「クラリス。御苦労様でした。8か国で起ころうとしていた災厄はどれもこれも大変なものだったのでしょう。災厄を防ぎ、多くの人々の未来を救ったことを父親として誇りに思います。」
「父様。ありがとうございます。なんとかやりとげました。ただ、後2か国残っています。――その1つが私の国であるゴード王国とは思ってもみませんでしたが。」
「王都イスタンは完全に魔族に支配されてしまった。たぶん王宮は悪しき心を映す世界と連結され、行き来が容易く、いざとなれば魔物の大軍を呼び寄せることができるはずです。」
ランカスターにアーサーが聞いた。
「そうすると、まず重要なことは王宮に作られた、悪しき心を映す世界との連結点を防ぐということですね。連結点の場所はわかるでしょうか。」
アーサーの疑問にクラリスが答えた。
「私は美しき心を映す世界の守護者。悪しき心を映す世界から流れ込むエネルギ-の場所を特定することができます。王宮に忍び込み、連結点を破壊しましょう。」
ランカスターが言った。
「ゴード王国を侵略しているのは、副王の称号を与えられている暗黒騎士イブリースです。私はもう1回戦いましたが、相当な戦略家です。連結点の警備も厳しいに違いありません。」
「父様。連結点を破壊しなければ、副王イブリースに勝つことができないとすれば、危険が待受けていたとしてもやらざるを得ません。」
「そうか‥‥ あまり危険なことはやらしたくないのだが。」
「公爵。私もクラリスさんと一緒に王宮に向います。だいぶ変わっているかもしれませんが、子供の頃からよく知っている場所ですから。」
「わかりました。それでは、私は副王イブリースと約束している仮想空間での戦争ゲームに挑むことにします。イブリースの注意を少しでもそらさなければなりません。」
「父様。あまり無理はなさらないでください。さきほどお話いただいたとおり、その戦争ゲームの仮想空間で行われた結果は現実化されるのですね。戦う父様のプレッシャーは計り知れないと思います。」
「ありがとう。でも私は、ゴード王家をお支えしてきたランカスター公爵家の者だ。そして、愛する人と愛する娘は、重い重い宿命を背負っているクリスタとクラリスだ。私だけ逃げるのは恥ずかしい。」
アーサーが真剣な表情で言った。
「我が国が世界に誇る将軍、ランカスター公爵に副王イブリースとの戦いをお任せします。そして、私とクラリスさんは王宮に入り、悪しき心を映す世界との連結点を必ず破壊します。」
メイナードが申し出た。
「私もアーサー王子様とクラリスさんを警護するためにお供します。」
「メイナード。あなたが警護につけばどんなに安心なことか。今回は、副王イブリースと仮想空間で戦うランカスター公爵のそばにいて警護してください。」
クラリスもメイに言った。
「メイも父様のそばにいて、心や体の疲労から父様を守ってください。そしていざとなったら、素早く安全な場所に連れ出してください。」
「わかりました。お嬢様。お任せを。」
王都イステンまで、ランカスター公爵軍を主力とするゴード王国国軍は前進した。
その数は20万人にも及んだ。
そして慎重に王都の回りを取り囲んだ。
幸いにイスタンの市街地の状況はほとんど変わっていなかった。
ゴード王国国軍は、王都イスタンを囲む高くて厚い城壁をそのまま包囲網とした。
城壁の上に立ち、ランカスターは大声でイブリースに叫んだ。
「副王イブリース様。戦争ゲームを再開するためにやって来ました。兵力は前回の4倍の20万人です。戦っていただけますでしょうか。」
すると、はるかかなたに見える王宮の建物から声が返ってきた。
「ランカスター公爵様。ようこそ、私との再戦にいらっしゃった。そこに転移魔法陣を飛ばしますから、その中にお入りください。」
「わかりました。副王様、2人の従者を連れて行きたいのですが。」
「いいですよ。私の回りにはたくさんの魔物が控えていますので平等とはいえませんが、たった2人の従者でよろしいのであればお連れください。」
イブリースの声が消えた後、城壁の先の空中に転移魔法陣が現われた。
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