私の勇者ならワンチャンあれば十分です!全く問題ありません!!

ゆきちゃん

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7 剣術大会

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 士官学校の入学者を選抜するために剣術大会開催が、ゴード王国全域に知らされた。

 全ての町のメインストリートに大きな看板が立てられ、その前には常に人だかりができた。



「それにしても、不公平だな。」

「入学を許可する条件がひどい。」



「王族、貴族の子供は参加すること。大金持ちの平民の子供は、国にできる限りの寄付をして参加すること。それらに比べて、寄付ができない貧困の平民の子供は、剣術大会に優勝することだとは……ほとんどチャンスがないということだな。」



 大人達の話を真剣に聞いている子供がいた。

 ランスロだった。

 彼は出場して優勝することで、士官学校に入りたかった。



 自信はあったが、それ以上に大きな不安が彼の心に芽生えていた。

 剣術大会は、ゴード王国最大のイベントになるに違いなかった。

 派手な場所で負けてしまい、両親を大いに失望させることを恐れていた。



 決心が定まらないまま、彼は町の外に続く道を歩き、森の中の家まで帰ろうとした。

 下を向きながら歩いていたランスロの背中を、誰かがポンとたたいた。



「ランスロ! もう決心した! 」

 グネビア王女だった。

 王女だということを隠すかのように、フードをかぶって目立たない姿をしていた。



「王女様。何のことをおっしゃっているのでしょうか。」

「剣術大会のことよ。今、そのことを考えながら歩いていたでしょ――」

「正直いうと、参加しようかどうか大変迷っています。」

「自信がないの。」

「負けてしまい、両親を失望させることが恐いのです。」



「自信を持ちなさい! 絶対大丈夫だから! 」

「‥‥‥‥」



「ゴード王国中で、あなたに勝てる子供はいません。毎日毎日真剣に木の棒を振って、何百年間も育った大木たいぼくを切り倒すことができたあなたには、特別な力が宿っているのです。」

「‥‥‥‥」



「あなたを愛している御両親は、例えあなたが負けたとしても決して失望しないわ。あなたの未来にある成功を絶対に疑わないでしょう。」

「‥‥‥‥」」



 そう言った後で、王女はランスロの顔をじっと見つめて目を合わせた。

 王女の大きな美しい青い瞳に、彼の姿が映っていた。

 王女は決心して強い口調でランスロに言った。



「ゴード王国のグネビア王女が騎士ランスロに命ずる。あなたは勇者ランスロとなって、魔族からこの国を救わなければならない宿命があるのです。だから、わずかなチャンスしかなくても必ず未来を切り開きなさい。」



「王女様、わかりました。剣術大会に出場して優勝し、士官学校に入学します。入学して何倍も何倍も自分を高めて、ゴード王国の騎士、勇者になってみせます。」



 彼は王女にために、なにがなんでも優勝したいと思った。







 剣術大会が開催される日になった。

 国中から、その年に7歳になる数百人の子供達が集まった。



 予想どおり、ほとんどが王族、貴族の子供、その他は大金持ちの平民の子供が数人、貧困の平民の子供はランスロ1人だけだった。

 彼をばかにして嘲笑ちょうしょうする声が、あちこちから上がっていた。



「おい見ろよ。汚い姿だな甲冑も着ていない。剣術をばかにしているな。」

「そうだ。そうだ。今日使う木剣もあんなに不格好なものを持っているぞ。」

「身分の高い我々は、良い先生に剣術を長い間学んでいる。勝てるわけない。」



 大会に参加する不安を紛らわすために、みんなひたすらランスロを徴収していた。

 そのような時だった。

 嘲笑する声がピタリと止り、雰囲気ががらりと変わった。



 黒い甲冑をつけた全身黒ずくめの騎士が、子供達の集団に分け入ってきた。

 背は高く周囲に不思議なオーラをまとった格好いい騎士だった。

 その騎士がランスロに近づいて、その前に止った。



「きみはランスロだね。」

 騎士は面を外したので、その顔を見ることができた。

 目は小さいがとても鋭く、髪をオールバックにしていた。



「ホーク様! ナイトグランドクロス! 」



 子供達から歓声が上がった。

 ゴード王国最強の騎士、その名前は国外にも鳴り響いていた。

 ホークは木剣を取り出し、ランスロに渡した。



「今日は木剣での戦いだが、良い木剣を使うことも必要です。さあ、持ってみて――」

 ランスロは驚いたが、丁寧におじぎをして木剣を受け取った。

「構えてみて、戦うつもりでだよ――」



 ホークにそう指示されたので、ランスロはもらった木剣を持って構えた。

 その姿を見て、最強の騎士ホークは全てを悟った。



「全身の気を一瞬で、人間の限界を超えて最大限に集中させている。その年でそこまでできるとは、神のギフトを受けている。その木剣は私が自分の練習用に作ったものだ。君に献上するよ。」



「え―――――っ!!! 」

 見ていた子供達が大変驚いた。



 ホークが言った。

「君達、今日ランスロ君と戦う時は、攻撃しない方がいいよ。彼は攻撃には容赦なく反撃するはずだ。大けがをしないように十分に注意したまえ。」



 高い所に設置されている観覧席にホークは戻った。

 王女の席の前に行き、ひざまずきながらホークは報告した。



「王女様。確かに確認しました。ランスロ君は神のギフトを受けた人間です。努力を重ねれば必ずこの国を救う勇者になるでしょう。」



「ナイトグランドクロス、ホーク様。ランスロは戦うために神のギフトを受けているかも知れませんが、チャンスは1回しかない与えられていないのです。もっとも、1回のチャンスを必ず生かすことができますが。」
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