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11 学生生活
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ランスロは選抜試験として行われた剣術大会に優勝して、貧困な平民層出身として初めて、士官学校への入学を国から許可された。
問題となったのは、士官学校は2人部屋の寄宿制であったため、寄宿舎でランスロと相部屋にするのは誰かということだった。
ところが、その問題は簡単に解決していた。
新入生は入学式の1週間前までには寄宿舎に入る必要があり、ランスロは指示された部屋に自分のわずかな荷物とともに初めて入ろうとした。
すると、先に誰かが中にいた。
「新入生のランスロです。入ります。」
ランスロはノックした。
「どうぞ。」
ドアを開けて入ると、部屋の中で椅子に座っていたのはグロスター公爵家の息子フィリップだった。
「あなたは確か。」
「そうだよ、1回戦で君に負けたフィリップさ。これからよろしくお願いします。」
「あなたのような最上級の貴族が、僕なんかと一緒でいいのですか。」
「全く問題ないよ。僕はむしろ君と一緒の部屋になりたくて、強く希望したんだ。」
「どうしてですか。僕は貧困層の平民だし、ましてや剣術大会で君に勝ってしまった……」
「君の身分や僕に勝ったことは問題ではない。むしろ僕は君を尊敬しているんだ。その年であれほどの剣の技を身につけるなんて、常人では絶対にできない。たぶん、もともとの素質もあったのだろうけど、血のにじむような努力をしてきたんじゃないか? 」
「毎日できる限り、がんばってきたんだけど、そんなにつらくなるような努力ではなかったです。」
「我が師、名高き剣士ザガンが言っていたよ――君は必ずそう答えるって。やはり、君は人並み外れた人物だ。だから是非是非、一生の友達になってほしい。」
「もちろんです。よろしくお願いします。」
その後、フリップはランスロが持っていたわずかな荷物をじっと見始めた。
「これですか! 公爵家の物と違ってとてもみずぼらしいから、あまり見ないでください。」
「いやいや、そういう意味じゃなくて。君の荷物はもう運び込まれているよ。しかも、ものすごく豪華な物ばかりだ。」
そういわれて、ランスロが部屋の片隅を見ると、確かに豪華そうな荷物が摘まれていた。
中には最上級の甲冑もあった。
「これらは僕の物ではありません。誰か別の方の荷物が間違って運び込まれたのではないでしょうか。今、寄宿舎の管理人さんに確かめてきます。」
ランスロは急いで部屋を出て、管理人室に行きたずねた。
「新入生のランスロですが。僕が寄宿する部屋に既に荷物が運び込まれています。あんなに豪華な荷物は僕の物ではありませんが。」
彼のその言葉を聞くと、管理人は満面の笑顔で事情を話した。
「ランスロさん。あの荷物はあなたの物ですよ。昨日、大金持ちのロスチャイルド家から届きました。手紙も預かっています。そうそう、あのお嬢さんの美しい顔を傷つけないようにしたあなたは、国中の女性の尊敬を集めているのですから。」
管理人は彼に手紙を渡した。
それは、ゴード王国の誰もが知っているロスチャイルド家の封印がされていた。
彼は大変なことになったと思い、窓のそばに近づき誰にも見られないように手紙を開けた。
「ランスロさん。あなたが私にした尊い行為に対して父親が大変感激して、士官学校に入ってから必要な物全てをあなたに送ることになりました。甲冑や剣もあります。どうぞお使いください。士官学校に入ってから、あなたと学校生活を送るのを大変楽しみにしています――ザラ」
彼が自分の部屋に戻るとフリップが聞いた。
「ランスロ。何かわかったかい? 」
「はい。ある大金持ちが僕に贈ってくれたものでした。」
「ロスチャイルド家じゃない。」
「えっ。どうしてわかったのですか。」
「なんで! ほとんどの人がわかるんじゃない。」
ランスロが無事に士官学校に入学できたことで、グネビア王女の大きな心配が一つ消えた。
(これで、ランスロは我が国を守ることになるみんなと一緒に成長するから、魔族や魔王と戦う時にひとりだけで戦うということはなくなったわ。)
しかし、反対に別の大きな心配ができた。
(あのザラという女の子はいったい何者なの? 魔王ザラが人間になって小さくなったみたい。それにあんなにランスロと親しくなってしまって――キスなんかして! )
国王と王女が出席して、士官学校の入学式が開催された。
その中で特に出席者の注目を集めたのは、王女の祝辞しゅくじだった。
「みなさん歴史と伝統ある我がゴード王国の士官学校へのご入学おめでとうございます。みなさんは今後努力に努力を重ね、我が国、国民を守る強い騎士、優れた将軍になってください。今この国は何も驚異にさらされていませんが、やがて最大の脅威は必ずやってきます。――
――その脅威は、たぶん皆さんの創造をはるかに超えた巨大最強のものでしょう。驚異に対抗するための希望の光は必ずあります。しかし、みなさん全てがその光を消さないよう精一杯努力しなければ、どんなに強い希望の光であっても消えてしまうでしょう。みなさんに心からお願いします。」
王女は少し涙ぐんでいたが、そのほんとうの意味を知る者は誰もいなかった。
問題となったのは、士官学校は2人部屋の寄宿制であったため、寄宿舎でランスロと相部屋にするのは誰かということだった。
ところが、その問題は簡単に解決していた。
新入生は入学式の1週間前までには寄宿舎に入る必要があり、ランスロは指示された部屋に自分のわずかな荷物とともに初めて入ろうとした。
すると、先に誰かが中にいた。
「新入生のランスロです。入ります。」
ランスロはノックした。
「どうぞ。」
ドアを開けて入ると、部屋の中で椅子に座っていたのはグロスター公爵家の息子フィリップだった。
「あなたは確か。」
「そうだよ、1回戦で君に負けたフィリップさ。これからよろしくお願いします。」
「あなたのような最上級の貴族が、僕なんかと一緒でいいのですか。」
「全く問題ないよ。僕はむしろ君と一緒の部屋になりたくて、強く希望したんだ。」
「どうしてですか。僕は貧困層の平民だし、ましてや剣術大会で君に勝ってしまった……」
「君の身分や僕に勝ったことは問題ではない。むしろ僕は君を尊敬しているんだ。その年であれほどの剣の技を身につけるなんて、常人では絶対にできない。たぶん、もともとの素質もあったのだろうけど、血のにじむような努力をしてきたんじゃないか? 」
「毎日できる限り、がんばってきたんだけど、そんなにつらくなるような努力ではなかったです。」
「我が師、名高き剣士ザガンが言っていたよ――君は必ずそう答えるって。やはり、君は人並み外れた人物だ。だから是非是非、一生の友達になってほしい。」
「もちろんです。よろしくお願いします。」
その後、フリップはランスロが持っていたわずかな荷物をじっと見始めた。
「これですか! 公爵家の物と違ってとてもみずぼらしいから、あまり見ないでください。」
「いやいや、そういう意味じゃなくて。君の荷物はもう運び込まれているよ。しかも、ものすごく豪華な物ばかりだ。」
そういわれて、ランスロが部屋の片隅を見ると、確かに豪華そうな荷物が摘まれていた。
中には最上級の甲冑もあった。
「これらは僕の物ではありません。誰か別の方の荷物が間違って運び込まれたのではないでしょうか。今、寄宿舎の管理人さんに確かめてきます。」
ランスロは急いで部屋を出て、管理人室に行きたずねた。
「新入生のランスロですが。僕が寄宿する部屋に既に荷物が運び込まれています。あんなに豪華な荷物は僕の物ではありませんが。」
彼のその言葉を聞くと、管理人は満面の笑顔で事情を話した。
「ランスロさん。あの荷物はあなたの物ですよ。昨日、大金持ちのロスチャイルド家から届きました。手紙も預かっています。そうそう、あのお嬢さんの美しい顔を傷つけないようにしたあなたは、国中の女性の尊敬を集めているのですから。」
管理人は彼に手紙を渡した。
それは、ゴード王国の誰もが知っているロスチャイルド家の封印がされていた。
彼は大変なことになったと思い、窓のそばに近づき誰にも見られないように手紙を開けた。
「ランスロさん。あなたが私にした尊い行為に対して父親が大変感激して、士官学校に入ってから必要な物全てをあなたに送ることになりました。甲冑や剣もあります。どうぞお使いください。士官学校に入ってから、あなたと学校生活を送るのを大変楽しみにしています――ザラ」
彼が自分の部屋に戻るとフリップが聞いた。
「ランスロ。何かわかったかい? 」
「はい。ある大金持ちが僕に贈ってくれたものでした。」
「ロスチャイルド家じゃない。」
「えっ。どうしてわかったのですか。」
「なんで! ほとんどの人がわかるんじゃない。」
ランスロが無事に士官学校に入学できたことで、グネビア王女の大きな心配が一つ消えた。
(これで、ランスロは我が国を守ることになるみんなと一緒に成長するから、魔族や魔王と戦う時にひとりだけで戦うということはなくなったわ。)
しかし、反対に別の大きな心配ができた。
(あのザラという女の子はいったい何者なの? 魔王ザラが人間になって小さくなったみたい。それにあんなにランスロと親しくなってしまって――キスなんかして! )
国王と王女が出席して、士官学校の入学式が開催された。
その中で特に出席者の注目を集めたのは、王女の祝辞しゅくじだった。
「みなさん歴史と伝統ある我がゴード王国の士官学校へのご入学おめでとうございます。みなさんは今後努力に努力を重ね、我が国、国民を守る強い騎士、優れた将軍になってください。今この国は何も驚異にさらされていませんが、やがて最大の脅威は必ずやってきます。――
――その脅威は、たぶん皆さんの創造をはるかに超えた巨大最強のものでしょう。驚異に対抗するための希望の光は必ずあります。しかし、みなさん全てがその光を消さないよう精一杯努力しなければ、どんなに強い希望の光であっても消えてしまうでしょう。みなさんに心からお願いします。」
王女は少し涙ぐんでいたが、そのほんとうの意味を知る者は誰もいなかった。
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