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15 仮想戦場3
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剣筋は最短距離を瞬時に通った。
オーガは消滅し、美しく青く光る魔石が空間から落ちた。
その瞬間、仮想戦場の様子が変わり、全ての軍の人間と魔族がその場から消えた。
教授や学生達が急いで魔法結界から飛び出し、急いでランスロのそばに走ってきた。
彼はとても疲れていたが、最後まで逃げずにやりとげたという大きな満足感に包まれていた。
「カンシン教授。戦場での僕の指揮はどうでしたか、前進と後退もうまくできたと思うのですが。」
常に冷静な教授が彼を最大限にたたえ、最高の評価をつけた。
「将軍としての指揮は満点だった。巨大なオーガが現れた時も、正解とは違うのだけれど、1人で立ち向かい見事に討ち取った。」
「教授、正解はどのような判断をすればよかったのですか。」
「楯になった副官や伝令にその場を任せ、本体に合流するという判断だ。」
「犠牲にして、見殺しでもいいと――」
「そうだ。非情かもしれないが、巨大なオーガに人間3人では勝てない。しかし、今回は違う。たった1人で勝てる可能性がある人間がいたのだ。確率はどのくらいだったのか知らないが。」
興味をもったザラがランスロに聞いた。
「どのくらいの確率だったんだ。」
「確率は考えませんでした。ただ、勝てるチャンスが一瞬あることだけがわかりました。」
カンシン教授が困惑した表情になった。
「おかしいことがあるんだ。今日は新入生への戦術試験だから、人間が戦う仮想戦場が選ばれたはずだったのに、魔族と戦う仮想戦場になってしまった。そして魔族と戦う仮想戦場では、最後に巨大なオーガが現れるハプニングなんて織り込まれていないと思うのだが……」
同行していた軍の魔法師の1人が言った。
「確かにおかしいです。我々は人間が戦う仮想戦場にみなさんを導き入れました。それに、巨大オーガが現れるハプニングなど思念魔法で作っていません。」
「先生。これなんですか? 」
ある生徒が、そこに転がっていた美しく青く光る魔石を見つけた。
「これは、間違いなく魔族の魔石だ。ということは、さきほど大剣で切られて消滅したのは、思念魔法で作られたのではなく、現実の巨大オーガだったのか……」
ランスロが教授に聞いた。
「僕は、仮想戦場の中で丘の上に突き刺してあった大剣を引き抜き、そして戦いました。今は消えてしまいましたが、剣は自分のためにそこにある剣だと思いました。あの剣は? 」
「もちらん思念魔法で作られた大剣だが、モデルは伝説の『勇者の剣』だ。名前を希望という。そうすると、思念魔法で作られた『勇者の剣』が現実のオーガを切って消滅させたのか、不思議だ……」
仮想戦場を詳しく調査しなければ危険なので、残りのザラの試験は中止され、後日に行われることになった。
士官学校の門の前に、ザラの帰宅を待っている馬車が止っていた。
その中で、執事のアスタロトが誰かと話していた。
「だんな様、見られましたか。」
「うん。確かに見た。ランスロ君は将軍としても、すばらしい才能を示したな。わずかな時間で多くの情勢を把握し、正確な判断ができる。しかも人並みはずれた勇気をもっている。」
話していた相手はザラの父親のダースだった
「ところで、ランスロ君が巨大オーガと対峙した時、思念魔法で作られた大剣が助けたが。あれはどういうことだろうか。」
「はい。あの大剣は『勇者の剣』希望に似せて、思念魔法で作られた幻の剣ですが、ランスロ様が大剣を振られた一瞬、幻の剣が現実化しました。仮想戦場のあの場面で、ランスロ様は両手で確かに『勇者の剣』希望を持って巨大オーガに向けて振っていました。」
「そのようなことが起きるのか? 」
「あり得ます。ただし、理由は1つしかありません。それは、ランスロ様が勇者に成り得る運命をもっているということです。」
「ザラと一緒なのか。――正反対の運命だが。」
「そうでございます。ただし、ザラ様とは大きな違いあります。」
「大きな違い? 」
「私の魔眼が鑑定しました。ランスロ様はワンチャンスしかおもちではありません。」
「えっ! 勇者になるためにワンチャンスしかないのか! 」
「もっとひどいです。勇者になるだけではなく、全ての運命がワンチャンスしかありません。」
「はははははは! おもしろい! 私は彼がもっともっと好きになったよ――」
寄宿舎への帰り道、同室のフィリップがランスロに近づいて来た。
2人は並んで歩き始めた
「ランスロ。君はほんとうにたいしたやつだ。戦場で恐くなかったの。」
「恐かったです。仮想戦場とはいっても、そこにはほんとうの生きている人間がいるみたいなんです。戦いは、きれいなものではありませんでした。相手に隙ができるように、だましたり嘘をつくことも必要なのです。それにケガしたゴブリンやオーガも血だらけでした。」
「相手は魔族だよ。殺さなければ、人間の方が何倍も殺される。」
「はい。そうですが――」
「おい! 不敗の将軍で最強の騎士ランスロ! 今日は素敵だったぞ! 」
道の横で木の影に隠れていたザラが、勢いよく飛び出しランスロの背中から抱きついた。
しかし、横にフィリップがいることに気がつくとすぐに止めた。
「通称、おじゃま虫はいるのだな。」
「じゃあ、僕は先に部屋に帰るよ。後で――」
フィリップはあわてて走り出した。
「あれはランスロの友達なのか。」
「はい。そうです。同室のフィリップです。」
「同室なのか! 2人で同じ部屋に寝るのか! 」
ザラは驚いて大きな声をだした。
オーガは消滅し、美しく青く光る魔石が空間から落ちた。
その瞬間、仮想戦場の様子が変わり、全ての軍の人間と魔族がその場から消えた。
教授や学生達が急いで魔法結界から飛び出し、急いでランスロのそばに走ってきた。
彼はとても疲れていたが、最後まで逃げずにやりとげたという大きな満足感に包まれていた。
「カンシン教授。戦場での僕の指揮はどうでしたか、前進と後退もうまくできたと思うのですが。」
常に冷静な教授が彼を最大限にたたえ、最高の評価をつけた。
「将軍としての指揮は満点だった。巨大なオーガが現れた時も、正解とは違うのだけれど、1人で立ち向かい見事に討ち取った。」
「教授、正解はどのような判断をすればよかったのですか。」
「楯になった副官や伝令にその場を任せ、本体に合流するという判断だ。」
「犠牲にして、見殺しでもいいと――」
「そうだ。非情かもしれないが、巨大なオーガに人間3人では勝てない。しかし、今回は違う。たった1人で勝てる可能性がある人間がいたのだ。確率はどのくらいだったのか知らないが。」
興味をもったザラがランスロに聞いた。
「どのくらいの確率だったんだ。」
「確率は考えませんでした。ただ、勝てるチャンスが一瞬あることだけがわかりました。」
カンシン教授が困惑した表情になった。
「おかしいことがあるんだ。今日は新入生への戦術試験だから、人間が戦う仮想戦場が選ばれたはずだったのに、魔族と戦う仮想戦場になってしまった。そして魔族と戦う仮想戦場では、最後に巨大なオーガが現れるハプニングなんて織り込まれていないと思うのだが……」
同行していた軍の魔法師の1人が言った。
「確かにおかしいです。我々は人間が戦う仮想戦場にみなさんを導き入れました。それに、巨大オーガが現れるハプニングなど思念魔法で作っていません。」
「先生。これなんですか? 」
ある生徒が、そこに転がっていた美しく青く光る魔石を見つけた。
「これは、間違いなく魔族の魔石だ。ということは、さきほど大剣で切られて消滅したのは、思念魔法で作られたのではなく、現実の巨大オーガだったのか……」
ランスロが教授に聞いた。
「僕は、仮想戦場の中で丘の上に突き刺してあった大剣を引き抜き、そして戦いました。今は消えてしまいましたが、剣は自分のためにそこにある剣だと思いました。あの剣は? 」
「もちらん思念魔法で作られた大剣だが、モデルは伝説の『勇者の剣』だ。名前を希望という。そうすると、思念魔法で作られた『勇者の剣』が現実のオーガを切って消滅させたのか、不思議だ……」
仮想戦場を詳しく調査しなければ危険なので、残りのザラの試験は中止され、後日に行われることになった。
士官学校の門の前に、ザラの帰宅を待っている馬車が止っていた。
その中で、執事のアスタロトが誰かと話していた。
「だんな様、見られましたか。」
「うん。確かに見た。ランスロ君は将軍としても、すばらしい才能を示したな。わずかな時間で多くの情勢を把握し、正確な判断ができる。しかも人並みはずれた勇気をもっている。」
話していた相手はザラの父親のダースだった
「ところで、ランスロ君が巨大オーガと対峙した時、思念魔法で作られた大剣が助けたが。あれはどういうことだろうか。」
「はい。あの大剣は『勇者の剣』希望に似せて、思念魔法で作られた幻の剣ですが、ランスロ様が大剣を振られた一瞬、幻の剣が現実化しました。仮想戦場のあの場面で、ランスロ様は両手で確かに『勇者の剣』希望を持って巨大オーガに向けて振っていました。」
「そのようなことが起きるのか? 」
「あり得ます。ただし、理由は1つしかありません。それは、ランスロ様が勇者に成り得る運命をもっているということです。」
「ザラと一緒なのか。――正反対の運命だが。」
「そうでございます。ただし、ザラ様とは大きな違いあります。」
「大きな違い? 」
「私の魔眼が鑑定しました。ランスロ様はワンチャンスしかおもちではありません。」
「えっ! 勇者になるためにワンチャンスしかないのか! 」
「もっとひどいです。勇者になるだけではなく、全ての運命がワンチャンスしかありません。」
「はははははは! おもしろい! 私は彼がもっともっと好きになったよ――」
寄宿舎への帰り道、同室のフィリップがランスロに近づいて来た。
2人は並んで歩き始めた
「ランスロ。君はほんとうにたいしたやつだ。戦場で恐くなかったの。」
「恐かったです。仮想戦場とはいっても、そこにはほんとうの生きている人間がいるみたいなんです。戦いは、きれいなものではありませんでした。相手に隙ができるように、だましたり嘘をつくことも必要なのです。それにケガしたゴブリンやオーガも血だらけでした。」
「相手は魔族だよ。殺さなければ、人間の方が何倍も殺される。」
「はい。そうですが――」
「おい! 不敗の将軍で最強の騎士ランスロ! 今日は素敵だったぞ! 」
道の横で木の影に隠れていたザラが、勢いよく飛び出しランスロの背中から抱きついた。
しかし、横にフィリップがいることに気がつくとすぐに止めた。
「通称、おじゃま虫はいるのだな。」
「じゃあ、僕は先に部屋に帰るよ。後で――」
フィリップはあわてて走り出した。
「あれはランスロの友達なのか。」
「はい。そうです。同室のフィリップです。」
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ザラは驚いて大きな声をだした。
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