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31 勇者の偽候補
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ランスロは士官学校の3年生になった。
ちょうどその頃から、ゴード王国内に重大な問題が発生し始めた。
それは、魔族の出現率が少しずつ高くなってきたことである。
真の魔王が誕生し本格的な侵攻を開始するかなり前から、魔界は人間の弱点を調査していた。
王都イステンから遙はるか遠い地方で、広大な領地を統治しているチャールズ辺境伯がいた。
チャールズ辺境伯は国王ヘンリーの弟だった。
ある日のこと、辺境伯の城門の前に黒い衣装で顔を隠した老婆がじっと立っていた。
城門を守っていた兵が問いかけた。
「ここは辺境伯様の城。あなたのような者が来る所ではない。この城に用がないのであれば、早く立ち去りなさい。」
「見かけだけで私を判断するとはおろかな者だ。私は、最高位の魔女サバトの使者として、チャールズ辺境伯様にお会いするためにはるばるやって来たのだ。取り次いでもらいたい。」
「あなたはほんとうに魔女サバト様の使者なのか。何か証拠を見せてもらいたい。」
「直感で真実を見抜くこともできないのか、おろかな人間よ。」
老婆は足下に落ちていた石を拾い始めた
そして、数十個の石を持っていた布で包み城兵に無理矢理渡した。
「これを辺境伯さまに渡しなさい。」
城兵は激怒した。
「なんの価値もない石ころを、辺境伯様に渡すことができるわけないじゃないか。おばあさん、正気を無くしているのか。」
「いたって正常だよ。見てみなさい。」
城兵が布に包まれた石を見ると、そこにあるのは石ではなく金貨だった。
「あっ! 誠に申し訳ありません。このような魔法を使えるのは、確かに最高位の魔女サバト様の使者であるに違いありません。今、急いで取り次いで参ります。」
応接室で、老婆とチャールズ辺境伯は対面していた。
「辺境伯様。お会いいただきありがとうございます。私は、最高位の魔女サバトの秘書をしておりますマリと申します。今日は御子息のアルフレッド様のことで御相談があります。」
「マリ殿、アルフレッドのことで何か。」
「アルフレッド様はヘンリー国王のおい、王位継承権をおもちでございます。しかし、今は士官学校に入学しないで、この城の中に引きこもり苦悩の毎日を過ごされていると聞いています。」
「そのとおり。アルフレッドは士官学校の入学試験として行われた剣術大会で、平民出身の女の子に完敗し、多くの聴衆の前で意識を失ってしまった。あの子が受けた大きな屈辱はこれから一生あの子を苦しめるだろう。」
「さぞおつらいことだと思います。しかし、その屈辱の記憶を完全に消滅させることができる手段がございます。」
「高度な魔法で記憶を消滅させるだけでは、少しも彼のためにはならない。多くの国民が、彼がぶざまに負けたことをずっと覚えている。王位継承権をもつ者にとって、それは致命的な問題だ。」
「私が今日もって参りました案は、アルフレッド様に対する国民の見方を完全に変えてしまい、かえって讃たたえるようになる方法です。」
「そんな都合のいい方法があるのだろうか。父親としてはわらをもつかみたい気持ちであるが。」
「勇者の候補になるのです。このごろゴード王国の中では、魔族の出現率が少しずつ高くなっていて、国民は大きな不安を感じています。魔王と対峙し、魔族と戦う勇者の候補が現れれば、国民は喜んで受け入れるでしょう。」
「それは無理だな。私は名前を知らないが、既に勇者の候補と思われる者が現れている。士官学校の学生で、魔界からキラーマンティスの襲撃があった時、たった1人でその前に立ちふさがり全て壊滅させてしまったそうだ。」
「私も知っておりますよ。その者の名前はランスロといいます。しかし、辺境伯様は重要なことをお忘れです。勇者は『勇者の剣』である聖剣『希望』を持って魔王と戦うとされています。ランスロはまだ聖剣『希望』を手に入れていません。」
「まさか! 既に聖剣『希望』がある場所がわかっているのか。もし、アルフレッドが『希望』を自分の物にして現れたとしたら、確かに息子は勇者の候補だろう。」
「聖剣『希望』は、我が主、最高位の魔女サバトが捜査魔法で既に発見して手に入れております。辺境伯様とアルフレッド様の御同意をいただければ、『希望』を差し上げます。もしアルフレッド様がほんとうの勇者の候補であるのであれば、『希望』を手にとることができるでしょう。」
「マリ殿、ほんとうにありがたいお話だ。息子にとって汚名挽回し、自分のプライドを取り戻す絶好のチャンスだ。ただ心配なのが、息子がほんとの勇者の候補でなければどうなるのか。」
「『希望』は偽の勇者候補の手に取られることを、最大限の高温になって拒否するでしょう。でも、御心配なされることは全くありません。我が主、最高位の魔女サバトが既に鑑定し、御子息アルフレッド様がほんとうの勇者の候補であることがわかっています。」
「ありがたいことだ。ところで、なぜ最高位の魔女サバト様はそのように息子のためになることをしていただけるのだろうか。」
「辺境伯様。あくまでここだけのお話にしてください。士官学校の入学試験でアルフレッド様を打ちのめしてしまった女の子、ザラ様はサバト様の御息女なのです。これは罪滅ぼしなのです。」
「わかった。全て承知した。」
ちょうどその頃から、ゴード王国内に重大な問題が発生し始めた。
それは、魔族の出現率が少しずつ高くなってきたことである。
真の魔王が誕生し本格的な侵攻を開始するかなり前から、魔界は人間の弱点を調査していた。
王都イステンから遙はるか遠い地方で、広大な領地を統治しているチャールズ辺境伯がいた。
チャールズ辺境伯は国王ヘンリーの弟だった。
ある日のこと、辺境伯の城門の前に黒い衣装で顔を隠した老婆がじっと立っていた。
城門を守っていた兵が問いかけた。
「ここは辺境伯様の城。あなたのような者が来る所ではない。この城に用がないのであれば、早く立ち去りなさい。」
「見かけだけで私を判断するとはおろかな者だ。私は、最高位の魔女サバトの使者として、チャールズ辺境伯様にお会いするためにはるばるやって来たのだ。取り次いでもらいたい。」
「あなたはほんとうに魔女サバト様の使者なのか。何か証拠を見せてもらいたい。」
「直感で真実を見抜くこともできないのか、おろかな人間よ。」
老婆は足下に落ちていた石を拾い始めた
そして、数十個の石を持っていた布で包み城兵に無理矢理渡した。
「これを辺境伯さまに渡しなさい。」
城兵は激怒した。
「なんの価値もない石ころを、辺境伯様に渡すことができるわけないじゃないか。おばあさん、正気を無くしているのか。」
「いたって正常だよ。見てみなさい。」
城兵が布に包まれた石を見ると、そこにあるのは石ではなく金貨だった。
「あっ! 誠に申し訳ありません。このような魔法を使えるのは、確かに最高位の魔女サバト様の使者であるに違いありません。今、急いで取り次いで参ります。」
応接室で、老婆とチャールズ辺境伯は対面していた。
「辺境伯様。お会いいただきありがとうございます。私は、最高位の魔女サバトの秘書をしておりますマリと申します。今日は御子息のアルフレッド様のことで御相談があります。」
「マリ殿、アルフレッドのことで何か。」
「アルフレッド様はヘンリー国王のおい、王位継承権をおもちでございます。しかし、今は士官学校に入学しないで、この城の中に引きこもり苦悩の毎日を過ごされていると聞いています。」
「そのとおり。アルフレッドは士官学校の入学試験として行われた剣術大会で、平民出身の女の子に完敗し、多くの聴衆の前で意識を失ってしまった。あの子が受けた大きな屈辱はこれから一生あの子を苦しめるだろう。」
「さぞおつらいことだと思います。しかし、その屈辱の記憶を完全に消滅させることができる手段がございます。」
「高度な魔法で記憶を消滅させるだけでは、少しも彼のためにはならない。多くの国民が、彼がぶざまに負けたことをずっと覚えている。王位継承権をもつ者にとって、それは致命的な問題だ。」
「私が今日もって参りました案は、アルフレッド様に対する国民の見方を完全に変えてしまい、かえって讃たたえるようになる方法です。」
「そんな都合のいい方法があるのだろうか。父親としてはわらをもつかみたい気持ちであるが。」
「勇者の候補になるのです。このごろゴード王国の中では、魔族の出現率が少しずつ高くなっていて、国民は大きな不安を感じています。魔王と対峙し、魔族と戦う勇者の候補が現れれば、国民は喜んで受け入れるでしょう。」
「それは無理だな。私は名前を知らないが、既に勇者の候補と思われる者が現れている。士官学校の学生で、魔界からキラーマンティスの襲撃があった時、たった1人でその前に立ちふさがり全て壊滅させてしまったそうだ。」
「私も知っておりますよ。その者の名前はランスロといいます。しかし、辺境伯様は重要なことをお忘れです。勇者は『勇者の剣』である聖剣『希望』を持って魔王と戦うとされています。ランスロはまだ聖剣『希望』を手に入れていません。」
「まさか! 既に聖剣『希望』がある場所がわかっているのか。もし、アルフレッドが『希望』を自分の物にして現れたとしたら、確かに息子は勇者の候補だろう。」
「聖剣『希望』は、我が主、最高位の魔女サバトが捜査魔法で既に発見して手に入れております。辺境伯様とアルフレッド様の御同意をいただければ、『希望』を差し上げます。もしアルフレッド様がほんとうの勇者の候補であるのであれば、『希望』を手にとることができるでしょう。」
「マリ殿、ほんとうにありがたいお話だ。息子にとって汚名挽回し、自分のプライドを取り戻す絶好のチャンスだ。ただ心配なのが、息子がほんとの勇者の候補でなければどうなるのか。」
「『希望』は偽の勇者候補の手に取られることを、最大限の高温になって拒否するでしょう。でも、御心配なされることは全くありません。我が主、最高位の魔女サバトが既に鑑定し、御子息アルフレッド様がほんとうの勇者の候補であることがわかっています。」
「ありがたいことだ。ところで、なぜ最高位の魔女サバト様はそのように息子のためになることをしていただけるのだろうか。」
「辺境伯様。あくまでここだけのお話にしてください。士官学校の入学試験でアルフレッド様を打ちのめしてしまった女の子、ザラ様はサバト様の御息女なのです。これは罪滅ぼしなのです。」
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