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34 偽の勇者候補4
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防護楯の中で見ていた騎士や兵士達はびっくりした。
地面や空を覆い尽くしていた魔族が、みるみるうちに消えてしまった。
わ―――――っ
辺境伯軍全体から大歓声が上がった。
「御子息、見事でございます。魔族はあなた様を恐れてすべて逃げ去りました。」
感動した司令官がアルフレッドに言った。
「やっと、自分の実力を見せることができました。実は、僕は真の勇者候補なのです。そして、この剣は『勇者の剣』である聖剣『希望』です。」
「なるほど、それでは全軍に御子息のことを号令しましょう。」
その後、司令官は全軍に大号令をかけた。
「魔族は、真の勇者候補であるアルフレッド様を恐れて全て逃げ去った。私に続けてアルフレッド様を讃たたえるのだ。真の勇者候補。アルフレッド、万歳! 」
「真の勇者候補。アルフレッド、万歳! 真の勇者候補。アルフレッド、万歳! ………………」
辺境伯軍3万人が一斉に声を合わせてアルフレッドを讃えた。
その歓声を心地よく聞いていた彼は考えていた。
(あの娘は僕を見直してくれるだろうか…… 剣術大会で僕に勝ったザラという女の子、とても強かったけど、とても美しかったな…… 最後は優勝した平民のランスロに負けて唇にキスしたみたいだけど、僕はランスロに必ず勝って、彼女を振り向かせるぞ! )
その日から、ゴード王国全域で不思議なことが連続して起こった。
さまざまな地域で、低級魔族が数億の大群で出現したのだ。
既に辺境伯の領地での戦いは全国に知れ渡っており、その息子のアルフレッドは、聖剣『希望』を使う真の勇者ではないかとうわさが広まっていた。
各地域の領主達は、こぞって辺境伯に援軍を求めた。
合せて、アルフレッドの出陣を求めたのである。
結果は全て同じで、アルフレッドが前線に出て剣を抜くと、魔族は全て退却し消えてしまった。
城に引きこもっていた彼は、だんだん自分に自信をもった。
やがて、ほんとうに自分が真の勇者の候補であり、人々が自分を讃たたえるのは当たり前だと思うようになり、ひどく傲慢になっていった。
ある田舎の領地で魔族達を退却させた後、お礼に領主がアルフレッドに食事を振る舞った。
食事が始まってすぐ、アルフレッドがテーブルの上に並んでいた料理をすぐに乱暴に手で振り払い、料理は全て床に散乱してしまった。
領主がたずねた。
「アルフレッド殿、どうなされました。何かお気に障りましたか。」
「領主殿、その意味もわからないのですか。だから田舎の領主は困る。僕は王弟チャールズ辺境伯の息子で王位継承権をもつ者ですよ。そして、みなさんのために戦い続ける真の勇者候補なのです。その僕にこんな田舎料理など――」
彼は立ち上がり、何も言わず無礼に帰ってしまった。
それからも、このようなことが何回も続き、性格が悪い最悪な者が「真の勇者候補」になったという噂うわさが広がっていった。
士官学校の講堂の廊下をランスロとザラが歩いていた。
すると、廊下の壁に1人の男子学生が何かを持って寄りかかっていた。
ランスロとザラがその前を通り過ぎようとすると、いきなりその学生がザラの前に出て、行く手をふさいだ。
そして豪華な花束をザラに差し出した。
「マドモアゼル。これはお久し振りにお会いした記念です。」
「だれ? 」
「いやですね、剣術大会で最高の戦いをした相手です。そして今、ゴード王国の中で真の勇者候補として名高き者です。」
「だれ? 」
「王弟チャールズ辺境伯の息子で、王位継承権をもつアルフレッドです。」
「だれ? 」
「照れ隠しで僕を知らないように装っているのでしょう。それでは、今から超豪華な宮廷料理をご馳走
しますから、外に待たせている馬車にお乗りください。」
「ほんとうに王位継承権をもつのか。世の中の常識すら知らないのに、王位継承権があるとは思えない。私は今、『ランスロと長く話す』という生きるための最高の時を楽しんでいたのだ。国民の生きる楽しみを簡単に奪うとは最低だな。」
「ザラさん。そのような錯乱しているようなことをおっしゃるとは、とても信じられません。――わかりました。この横にいるランスロに脅かされているのですね。僕があなたからランスロから引き離して差し上げます。」
その後、アルフレッドはランスロの方を憎々しげに見た。
「君が偽の勇者候補だな。魔族の大群を壊滅させてアベロン市の人々を救ったことは、まあ認めるよ。でも1回だけだろ。運がよかっただけかもしれないよね。」
アルフレッドの挑発をランスロは冷静に少し微笑んで聞いていたが、隣にいたザラの顔が一瞬にして大きく変わった。
完璧に美しい顔が心の底からの怒りに包まれた。
「どこかの王位継承権をもつ方は、低級魔族を選んでいらっしゃるらしい! なぜか戦わず剣を抜いただけで低級魔族は後退していく! ランスロが戦ったのは中級魔族のキラーマンティスだ! その中級魔族と戦って全て壊滅させたのだぞ! 」
アルフレッドはなおも食い下がった。
「『勇者の剣』である聖剣『希望』を僕は持っているんだ。それに比べて、偽の勇者は得体の知れない価値の無い剣しか持っていない。」
その言葉を聞いた瞬間、ランスロの顔から微笑みが消えた。
それを察したザラがランスロの気持ちを代弁した。
「ランスロが今、腰に刺している剣は相当な力を発している。たぶん、ゴード王国最高の鍛冶屋、ゾイゼンの一族の中でも一番の名工が、心を込めて打ったものだろう。母様からもらった聖剣『希望』の何倍も価値のある剣だぞ。」
地面や空を覆い尽くしていた魔族が、みるみるうちに消えてしまった。
わ―――――っ
辺境伯軍全体から大歓声が上がった。
「御子息、見事でございます。魔族はあなた様を恐れてすべて逃げ去りました。」
感動した司令官がアルフレッドに言った。
「やっと、自分の実力を見せることができました。実は、僕は真の勇者候補なのです。そして、この剣は『勇者の剣』である聖剣『希望』です。」
「なるほど、それでは全軍に御子息のことを号令しましょう。」
その後、司令官は全軍に大号令をかけた。
「魔族は、真の勇者候補であるアルフレッド様を恐れて全て逃げ去った。私に続けてアルフレッド様を讃たたえるのだ。真の勇者候補。アルフレッド、万歳! 」
「真の勇者候補。アルフレッド、万歳! 真の勇者候補。アルフレッド、万歳! ………………」
辺境伯軍3万人が一斉に声を合わせてアルフレッドを讃えた。
その歓声を心地よく聞いていた彼は考えていた。
(あの娘は僕を見直してくれるだろうか…… 剣術大会で僕に勝ったザラという女の子、とても強かったけど、とても美しかったな…… 最後は優勝した平民のランスロに負けて唇にキスしたみたいだけど、僕はランスロに必ず勝って、彼女を振り向かせるぞ! )
その日から、ゴード王国全域で不思議なことが連続して起こった。
さまざまな地域で、低級魔族が数億の大群で出現したのだ。
既に辺境伯の領地での戦いは全国に知れ渡っており、その息子のアルフレッドは、聖剣『希望』を使う真の勇者ではないかとうわさが広まっていた。
各地域の領主達は、こぞって辺境伯に援軍を求めた。
合せて、アルフレッドの出陣を求めたのである。
結果は全て同じで、アルフレッドが前線に出て剣を抜くと、魔族は全て退却し消えてしまった。
城に引きこもっていた彼は、だんだん自分に自信をもった。
やがて、ほんとうに自分が真の勇者の候補であり、人々が自分を讃たたえるのは当たり前だと思うようになり、ひどく傲慢になっていった。
ある田舎の領地で魔族達を退却させた後、お礼に領主がアルフレッドに食事を振る舞った。
食事が始まってすぐ、アルフレッドがテーブルの上に並んでいた料理をすぐに乱暴に手で振り払い、料理は全て床に散乱してしまった。
領主がたずねた。
「アルフレッド殿、どうなされました。何かお気に障りましたか。」
「領主殿、その意味もわからないのですか。だから田舎の領主は困る。僕は王弟チャールズ辺境伯の息子で王位継承権をもつ者ですよ。そして、みなさんのために戦い続ける真の勇者候補なのです。その僕にこんな田舎料理など――」
彼は立ち上がり、何も言わず無礼に帰ってしまった。
それからも、このようなことが何回も続き、性格が悪い最悪な者が「真の勇者候補」になったという噂うわさが広がっていった。
士官学校の講堂の廊下をランスロとザラが歩いていた。
すると、廊下の壁に1人の男子学生が何かを持って寄りかかっていた。
ランスロとザラがその前を通り過ぎようとすると、いきなりその学生がザラの前に出て、行く手をふさいだ。
そして豪華な花束をザラに差し出した。
「マドモアゼル。これはお久し振りにお会いした記念です。」
「だれ? 」
「いやですね、剣術大会で最高の戦いをした相手です。そして今、ゴード王国の中で真の勇者候補として名高き者です。」
「だれ? 」
「王弟チャールズ辺境伯の息子で、王位継承権をもつアルフレッドです。」
「だれ? 」
「照れ隠しで僕を知らないように装っているのでしょう。それでは、今から超豪華な宮廷料理をご馳走
しますから、外に待たせている馬車にお乗りください。」
「ほんとうに王位継承権をもつのか。世の中の常識すら知らないのに、王位継承権があるとは思えない。私は今、『ランスロと長く話す』という生きるための最高の時を楽しんでいたのだ。国民の生きる楽しみを簡単に奪うとは最低だな。」
「ザラさん。そのような錯乱しているようなことをおっしゃるとは、とても信じられません。――わかりました。この横にいるランスロに脅かされているのですね。僕があなたからランスロから引き離して差し上げます。」
その後、アルフレッドはランスロの方を憎々しげに見た。
「君が偽の勇者候補だな。魔族の大群を壊滅させてアベロン市の人々を救ったことは、まあ認めるよ。でも1回だけだろ。運がよかっただけかもしれないよね。」
アルフレッドの挑発をランスロは冷静に少し微笑んで聞いていたが、隣にいたザラの顔が一瞬にして大きく変わった。
完璧に美しい顔が心の底からの怒りに包まれた。
「どこかの王位継承権をもつ方は、低級魔族を選んでいらっしゃるらしい! なぜか戦わず剣を抜いただけで低級魔族は後退していく! ランスロが戦ったのは中級魔族のキラーマンティスだ! その中級魔族と戦って全て壊滅させたのだぞ! 」
アルフレッドはなおも食い下がった。
「『勇者の剣』である聖剣『希望』を僕は持っているんだ。それに比べて、偽の勇者は得体の知れない価値の無い剣しか持っていない。」
その言葉を聞いた瞬間、ランスロの顔から微笑みが消えた。
それを察したザラがランスロの気持ちを代弁した。
「ランスロが今、腰に刺している剣は相当な力を発している。たぶん、ゴード王国最高の鍛冶屋、ゾイゼンの一族の中でも一番の名工が、心を込めて打ったものだろう。母様からもらった聖剣『希望』の何倍も価値のある剣だぞ。」
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