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ゆきちゃん

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53 ナイトメア(悪夢)2

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 グネビア王女が、ゴード王国の公式行事に出席しなくなった。

 いつの間にか、それは国中の話題となりたくさんの国民が心配していた。

 その中で最も心配していたのは、トランスファー城の騎士ランスロだった。



 地域の巡視から城に帰り、馬から降りて歩いていた彼の顔色はとても悪かった。

「あぶない! ランスロ!! 」

 考え事をして前をよく見ていなかったので、他の騎士が駆けていた馬にぶつかりそうになった。



 城の中に入って巡視終了の報告をすると、係官から知らせがあった。

「ホーク司令官がお呼びです。城にお戻り次第、司令官室に来るようにとのことです。」

「わかりました。」



 彼は司令官室の扉をノックした。

「騎士ランスロ入ります。」

 中に入ると、司令官は机に座ったままでにっこりとしながら彼を見た。

 

「来たな。少し聞きたいことがあるんだ。」

「はい。なんでしょうか。」

「体の調子はどうなんだ。何か特別に悪い所があるのか。」



「いえ。別に。」

「そうかな、私は子供の頃からランスロを見ているからよくわかる。――ここが悪いだろう。」

 司令官は自分の心臓の場所を手でさわって聞いた。



「マスターでもある司令官には、正直に言わなければいけませんね。特に心臓が悪いとは思いませんが、正直言って、この頃、急に締め付けられるようになることがあります。考え事をしている時間が多くて、その悩みが大きいのです。」



「なるほど。弟子が悩んでいる時には、マスターは手助けをしなければならないな。それでは騎士ランスロ、司令官命令だ。私の報告書を王宮の軍務大臣に届けてくれ。加えて、トランスファー地域総司令官ホークの代理として、グネビア王女様のお見舞いに行ってくれ。」



 その命令を聞いた途端、とても悪かったランスロの顔色が良くなり明るくなった。

「マスター。ありがとうございます。それではすぐに出発の準備をします。」

 彼は急いで部屋をでて行った。



 その姿を見た司令官の口から、ひとり言が出た。

「少しかっこつけてしまったな。ほんとは、陛下から王女様の元へすぐにランスロをよこすよう、手紙が届いていたのだけど。」







 ランスロは出発の準備をすぐに終わらせた。

 そして次の日の朝早く出発しようとして、早めに休もうとした。

 彼はこの頃よく眠れなかった。



 寝る前のいつものルーティーンで窓を開けて、城の高層の部屋から月や星を映し、美しくきらめく川の流れを見下ろした。



(グネビア王女様、ほんとうに御病気なんだろうか。お見舞いに行って元気づけて差し上げなければ。きっと、ゴード王国や国民のことをほんとうに心配なさって、心や体を痛めてしまわれたに違いない。勇者の候補として、僕がもっとがんばらなけれいけない。)



 ――その時、騎士ランスロは全く気がつかなかったが、寝室の窓のそば、空中に小さな黒い穴が開いていた。

 ほんのわずか、砂粒よりもさらに小さい深い暗闇がそこにあった。



「今はとても良い気持ち。今日はよく眠れそうだ。よかった。」

 彼は窓を締め就寝した。







 翌日、朝早くからランスロは馬を走らせ王都イスタンに向かった。

 順調に行程は進み、午後には王都に通じる大街道に出ることができた。

「後はこの街道をひたすら前に進むだけ、休まず行こう。」



 彼はしばらく馬を進めて王都まであとわずかな距離まで進んだ時、反対側からかなりの速さで走ってくる早馬があった。

(人にぶつかるとあぶないなあ。なぜ、そんなに急ぐのだろう。)



 その早馬はだんだん彼との距離が近づくと、なぜか馬の速さをゆるめ始めた。

 馬の乗り手がランスロを見て、とても驚いて大きな声をあげた。

「ランスロ!!! 」



 彼も同じだった。

「フリップ!!! 」

 

 士官学校の同級生で、ずっと寄宿舎の同室で暮らした貴族序列第1位のコンラート公爵家の次期当主フィリップだった。

 フィリップは今、王宮直属の近衛騎士団の騎士になっていた。



 とても懐かしい再会だったが、なぜかフィリップはとても険しい表情だった。

 大街道の途中でランスロに出会ったことに、非常に驚いているようだった。

「どうしてそんなに急いでいるんですか。」



「トランスファー城に行こうとしていたんだ。大切なことを知らせるために、馬を走らせてきたんだ。ずっと君のことを考えながら――――」



「僕のことを………………まさか! 」



「グネビア王女様が今朝亡くなられた。不治の病にかかってしまわれたんだ! 」



「えっ!!! 」

 ランスロの目の前が突然暗くなった。

 彼は落馬して意識を失った。







 ランスロは馬を走らせ王都イスタンに向かっていた。

 順調に行程は進み、午後には王都に通じる大街道に出ることができた。

「後はこの街道をひたすら前に進むだけ、休まず行こう。」



 彼はしばらく馬を進めて王都まであとわずかな距離まで進んだ時、反対側からかなりの速さで走ってくる早馬があった。

(人にぶつかるとあぶないなあ。なぜ、そんなに急ぐのだろう。)



 その早馬はだんだん彼との距離が近づくと、なぜか馬の速さをゆるめ始めた。

 馬の乗り手がランスロを見て、とても驚いて大きな声をあげた。

「ランスロ!!! 」



 彼は違和感に気がついた。

「フィリップ!!! また………………」
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