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54 ナイトメア(悪夢)3
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魔界にいるナイトメアゼロは、魔術鏡で2人の人間の夢を観察していた。
ナイトメアゼロの姿は立ち上る煙に似ていた。
そして、煙のような魔族は満足した声で言った。
「騎士ランスロとグネビア王女の両方が、私の悪夢の中で無限ループに陥おちいった。何回も悲しい場面を繰り返しているな。もう少しで心を折ることができる。最初に、ループを10回繰り返したグネビア王女だろう。悪夢の中で心が折れた人間は心を無くし、死んだと同じ状態になる。」
グネビア王女はもう10回も悲惨な同じ場面を繰り返した。
この場面の最後の瞬間になると王女はかならず、その場で意識を失い倒れてしまった。
それほど心を切り裂かれるような事態だった。
しかし、王女の心は強かった。
少しずつ少しずつ防壁を厚くして、自分が悪夢の中にいることを理解した。
そして11回目が開始された時には、反撃に出た。
翌朝、グネビア王女はあわてた侍女の声で起された。
「王女様。大変でございます。たった今、トランスファー城から国王様の元へ早馬の知らせがありました。魔族の大侵攻が開始されたそうです。」
「そうですか。でも私は魔族の侵攻はまだ起こるはずがないと思います。誤報ですね。」
自信をもって言った王女の反応に、幼い頃から仕えている侍女は戸惑った顔をした。
「……それが、魔族の大侵攻の先頭に立っているのは魔王ザラ、背がすらっと高く完璧に美しい顔をしている魔族です。そして魔王は冷たく微笑みながら、多くの人間を殺戮し続けている。トランスファー城から国軍が翌撃に出ていますが、全く意味をなさず押しまくられているそうです。」
「トランスファー城の中には勇者の候補、騎士ランスロがいます。必ず彼がなんとかしてくれるはずです。」
もう10回経験した展開だが、王女は聞いた。
「父様はどうなされていますか。」
「大広間に関係する家臣を全て集めて、対策会議を開いていらっしゃいます。」
「私も今参ります。」
グネビア王女が大広間に行くと、多くの家臣達があわただしく動き回り、魔族との戦況が大変厳しいことがよくわかった。
王女が王座に近づくと、そのことに気がついたヘンリー国王が極めて深刻な顔で彼女を見た。
「グネビア! ここはもう戦場と直接つながっている場所だ。奥に控えていればよいぞ。」
「いいえ、父様。今こそがゴード王国最大の危機。私も王女としてこの場に加わり、少しでも皆様の助けになりたいのです。」
王女がそう言ったとほぼ同時に、大広場の扉が乱暴に開かれ、体中傷だらけの騎士が王座に駆けよってきて、悔しそうに報告した。
「報告致します。トランスファー城は魔族の大群の前に落城してしまいました。」
国王も含めてその場にいた全員が、非常に驚いた顔になった。
「トランスファー城は魔族の侵攻を防ぐために、難攻不落になるようさまざまなことを考えて築城されたのだ。しかも司令官はあの最強の騎士と言われたホークだぞ。」
国王に説明しようとした傷だらけの騎士が、そばにグネビア王女がいることに気がつき説明を止めようとした。
それを見たヘンリー国王が心を鬼にして騎士に指示した。
「よい。説明するのだ。」
「魔王ザラに勇者の候補、騎士ランスロが寝返ったのです。そして、魔王ザラは魔王の地位をランスロに譲りました。今は魔王ランスロ、魔皇后ザラと名乗っています。」
(うそだ!!! )
王女は心の中で完全に否定した。
そして、国王の横の席で立ち上がった。
「騎士ランスロのことを私はよく知っています。彼は自分が愛するゴード王国の国民のことを第一に考え、命ある限り国民を殺戮しようとする敵と戦い抜きます。勇者となって、たとえノーチャンスであっても、自分の運命が散々な運命であっても義務を果たす人です。」
大広間にいた全ての人々が驚いた顔をした。
国王が大変怒って、王女をたしなめた。
「グネビア! この大変な時になにを言うのだ! 下がれ! 」
「いいえ。下がりません。たとえ今私がいるのは悪夢であろうとも。この悪夢を誰が見せていようとも、勇者に対するこのような無礼を絶対に許しません!!! 」
そして、グネビア王女は心の底から、出しうる限りの最大の声で叫んだ。
「私は悪夢を否定します!!!!! 」
突然、回りにいたヘンリー国王や家臣達すべての姿が変わった。
立ち上る煙のような姿になった。
(魔族――)
それは、グネビア王女の夢の中に侵入していた上級魔族ナイトメアの分身達であった。
分身達は、王女に攻撃しようとする仕草を見せた。
すると、美しい娘達がたくさん現れてナイトメアの分身達を一瞬に剣で切り消滅させた。
分身達が全て消滅させた後、娘達はそろって王女の前にひざまずいた。
先頭にひざますいていた美しい娘が顔を上げて言った。
「グネビア王女様、大変遅くなり申し訳ありません。」
「あなたは、マリさん。歌劇団のみなさんですね。」
王宮のそばに劇場を開いている植物系魔族の歌劇団のメンバーだった。
「守護する役目を仰せつかったのに、ナイトメアが作った悪夢の檻おりを破壊するのに時間が大変かかってしまいました。誠に申し訳ありません。」
「問題ありません。よく助けに来てくださいました。」
「グネビア王女様は大変お強い方です。実は御自身で悪夢のほとんどを壊していらっしゃいました。」
「そうでしょうか。でもまだ危なかったです。よく駆けつけてくださいました。」
「まだお目覚めになるまでには時間があります。それまでは、私達の風景を見てお休みください。」
その後グネビア王女の回りに美しい花々が咲き乱れる草原が広がり、暖かなそよ風が吹き始めた。
「まあ――なんてきれいなんでしょう………………」
王女は目を閉じて、その場で横になり眠ってしまった。
ナイトメアゼロの姿は立ち上る煙に似ていた。
そして、煙のような魔族は満足した声で言った。
「騎士ランスロとグネビア王女の両方が、私の悪夢の中で無限ループに陥おちいった。何回も悲しい場面を繰り返しているな。もう少しで心を折ることができる。最初に、ループを10回繰り返したグネビア王女だろう。悪夢の中で心が折れた人間は心を無くし、死んだと同じ状態になる。」
グネビア王女はもう10回も悲惨な同じ場面を繰り返した。
この場面の最後の瞬間になると王女はかならず、その場で意識を失い倒れてしまった。
それほど心を切り裂かれるような事態だった。
しかし、王女の心は強かった。
少しずつ少しずつ防壁を厚くして、自分が悪夢の中にいることを理解した。
そして11回目が開始された時には、反撃に出た。
翌朝、グネビア王女はあわてた侍女の声で起された。
「王女様。大変でございます。たった今、トランスファー城から国王様の元へ早馬の知らせがありました。魔族の大侵攻が開始されたそうです。」
「そうですか。でも私は魔族の侵攻はまだ起こるはずがないと思います。誤報ですね。」
自信をもって言った王女の反応に、幼い頃から仕えている侍女は戸惑った顔をした。
「……それが、魔族の大侵攻の先頭に立っているのは魔王ザラ、背がすらっと高く完璧に美しい顔をしている魔族です。そして魔王は冷たく微笑みながら、多くの人間を殺戮し続けている。トランスファー城から国軍が翌撃に出ていますが、全く意味をなさず押しまくられているそうです。」
「トランスファー城の中には勇者の候補、騎士ランスロがいます。必ず彼がなんとかしてくれるはずです。」
もう10回経験した展開だが、王女は聞いた。
「父様はどうなされていますか。」
「大広間に関係する家臣を全て集めて、対策会議を開いていらっしゃいます。」
「私も今参ります。」
グネビア王女が大広間に行くと、多くの家臣達があわただしく動き回り、魔族との戦況が大変厳しいことがよくわかった。
王女が王座に近づくと、そのことに気がついたヘンリー国王が極めて深刻な顔で彼女を見た。
「グネビア! ここはもう戦場と直接つながっている場所だ。奥に控えていればよいぞ。」
「いいえ、父様。今こそがゴード王国最大の危機。私も王女としてこの場に加わり、少しでも皆様の助けになりたいのです。」
王女がそう言ったとほぼ同時に、大広場の扉が乱暴に開かれ、体中傷だらけの騎士が王座に駆けよってきて、悔しそうに報告した。
「報告致します。トランスファー城は魔族の大群の前に落城してしまいました。」
国王も含めてその場にいた全員が、非常に驚いた顔になった。
「トランスファー城は魔族の侵攻を防ぐために、難攻不落になるようさまざまなことを考えて築城されたのだ。しかも司令官はあの最強の騎士と言われたホークだぞ。」
国王に説明しようとした傷だらけの騎士が、そばにグネビア王女がいることに気がつき説明を止めようとした。
それを見たヘンリー国王が心を鬼にして騎士に指示した。
「よい。説明するのだ。」
「魔王ザラに勇者の候補、騎士ランスロが寝返ったのです。そして、魔王ザラは魔王の地位をランスロに譲りました。今は魔王ランスロ、魔皇后ザラと名乗っています。」
(うそだ!!! )
王女は心の中で完全に否定した。
そして、国王の横の席で立ち上がった。
「騎士ランスロのことを私はよく知っています。彼は自分が愛するゴード王国の国民のことを第一に考え、命ある限り国民を殺戮しようとする敵と戦い抜きます。勇者となって、たとえノーチャンスであっても、自分の運命が散々な運命であっても義務を果たす人です。」
大広間にいた全ての人々が驚いた顔をした。
国王が大変怒って、王女をたしなめた。
「グネビア! この大変な時になにを言うのだ! 下がれ! 」
「いいえ。下がりません。たとえ今私がいるのは悪夢であろうとも。この悪夢を誰が見せていようとも、勇者に対するこのような無礼を絶対に許しません!!! 」
そして、グネビア王女は心の底から、出しうる限りの最大の声で叫んだ。
「私は悪夢を否定します!!!!! 」
突然、回りにいたヘンリー国王や家臣達すべての姿が変わった。
立ち上る煙のような姿になった。
(魔族――)
それは、グネビア王女の夢の中に侵入していた上級魔族ナイトメアの分身達であった。
分身達は、王女に攻撃しようとする仕草を見せた。
すると、美しい娘達がたくさん現れてナイトメアの分身達を一瞬に剣で切り消滅させた。
分身達が全て消滅させた後、娘達はそろって王女の前にひざまずいた。
先頭にひざますいていた美しい娘が顔を上げて言った。
「グネビア王女様、大変遅くなり申し訳ありません。」
「あなたは、マリさん。歌劇団のみなさんですね。」
王宮のそばに劇場を開いている植物系魔族の歌劇団のメンバーだった。
「守護する役目を仰せつかったのに、ナイトメアが作った悪夢の檻おりを破壊するのに時間が大変かかってしまいました。誠に申し訳ありません。」
「問題ありません。よく助けに来てくださいました。」
「グネビア王女様は大変お強い方です。実は御自身で悪夢のほとんどを壊していらっしゃいました。」
「そうでしょうか。でもまだ危なかったです。よく駆けつけてくださいました。」
「まだお目覚めになるまでには時間があります。それまでは、私達の風景を見てお休みください。」
その後グネビア王女の回りに美しい花々が咲き乱れる草原が広がり、暖かなそよ風が吹き始めた。
「まあ――なんてきれいなんでしょう………………」
王女は目を閉じて、その場で横になり眠ってしまった。
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