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57 魔界の宝石レッドハート5
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北川風香は、天使達を厳しい視線で見つめた。
「私の名前は『魔界の宝石レッドハート』、人間に神の教えを説き素敵な人生になるよう手助けする天使が、そのざまですか。あなた達の攻撃は全く恐くありません。私1人でにせ天使、ペテン師を消滅させ、正しい天使が人間の前に現われるよう神に強く求めましょう。」
2人目の天使が言った。
「神のご威光に背き、たった1つの異世界を救っただけで、かなりの自信をお持ちですね。あなたが救った1兆ほどの生命は、私達3人の天使ならば指を鳴らすだけで、瞬く間に消したり創造することができるのです。」
「それが、何か。」
3人目の天使が言った。
「人間、魔族、動物など生命の違いは、私達高位の天使の気分や体の調子で生まれるのですよ。生命創造の時に全くやる気がなかった場合は、アメーバかスライムを創造してしまう。なんてね。」
「それが、何か。」
最初の天使が言った。
「神に背いたこの人間は、神がおっしゃるとおり、この世に決して存在してはならない粗大ゴミだ。さっさと片付けて天に帰ろうじゃないか。3人の強大な光と炎の衝撃波を浴びせて分解させよう。」
3人の天使が同時に、光と炎の衝撃波を彼女に向かって撃とうした瞬間、彼女は魔族の言葉で詠唱した。
「偉大なる力をもつ我が剣、平行世界の境界を越え我が手に戻れ。」
次の瞬間、彼女の手がつかんでいたものは、あの月の剣だった。
光と炎の衝撃波が3人の天使から撃たれ、大きな1つのビームとなって彼女に襲いかかった。彼女は冷静にそれを見て、月の剣で振り払った。
「ムーンソード」
衝撃波は威力を倍増させ、完璧に跳ね返された。それは3人の天使を飲み込んで、すぐに細かい粒子に分解した。
彼女は後ろに下がっていた護衛役の魔族達に言った。
「私が来るまでよく持ちこたえてくれました。みなさんは勇敢な強い戦士ですね。」
………
その夜、北川風香は自分の部屋に帰ると、影ながら彼女の護衛役に徹していた夜見に呼び掛けた。
「夜見さん、いらっしゃったら私の前に姿を見せてください。」
「姫様。今、御前に。」
すぐに彼女の目の前に夜見が現われた。
「今日、私を襲ってきた3人の天使は高位な天使でしょうか。」
「はい、そうです。ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル、人間の世界では最強の4大天使と呼ばれています。ただし、4人の内、現在ミカエルは行方不明になって欠けていますが。」
「自分達の衝撃波を受けて、分解されたように見えたのですが。再び襲ってはきませんね。」
「姫様の月の剣で倍増され跳ね返された衝撃波を受けて、今は、完全に消滅しています。」
「『今は』とは?」
「神は全てを創造することができます。そして、1回創造したものを再び創造することも可能です。神のやっかいな能力の一つですが。」
「しばらくすれば、また3人の天使が襲ってくるのですか。どうすれば、神の攻撃をあきらめさせることができると思いますか?」
「1つだけ言えることがあります。それは、姫様の強大な力を神に見せつけることです。姫様に手出しすると、自分の存在さえ危ぶまれるような反撃を受けることを、神に認識させなければなりません。気まぐれな神ですから、あっさりとあきらめるのではないでしょうか。」
「次の攻撃は、やはり佐藤さんですか。」
「はい。かなりの確率でそうなるでしょう。けれど、堕天使ディフェルが佐藤様を24時間護衛していますから、まずは安心です。」
「私の名前は『魔界の宝石レッドハート』、人間に神の教えを説き素敵な人生になるよう手助けする天使が、そのざまですか。あなた達の攻撃は全く恐くありません。私1人でにせ天使、ペテン師を消滅させ、正しい天使が人間の前に現われるよう神に強く求めましょう。」
2人目の天使が言った。
「神のご威光に背き、たった1つの異世界を救っただけで、かなりの自信をお持ちですね。あなたが救った1兆ほどの生命は、私達3人の天使ならば指を鳴らすだけで、瞬く間に消したり創造することができるのです。」
「それが、何か。」
3人目の天使が言った。
「人間、魔族、動物など生命の違いは、私達高位の天使の気分や体の調子で生まれるのですよ。生命創造の時に全くやる気がなかった場合は、アメーバかスライムを創造してしまう。なんてね。」
「それが、何か。」
最初の天使が言った。
「神に背いたこの人間は、神がおっしゃるとおり、この世に決して存在してはならない粗大ゴミだ。さっさと片付けて天に帰ろうじゃないか。3人の強大な光と炎の衝撃波を浴びせて分解させよう。」
3人の天使が同時に、光と炎の衝撃波を彼女に向かって撃とうした瞬間、彼女は魔族の言葉で詠唱した。
「偉大なる力をもつ我が剣、平行世界の境界を越え我が手に戻れ。」
次の瞬間、彼女の手がつかんでいたものは、あの月の剣だった。
光と炎の衝撃波が3人の天使から撃たれ、大きな1つのビームとなって彼女に襲いかかった。彼女は冷静にそれを見て、月の剣で振り払った。
「ムーンソード」
衝撃波は威力を倍増させ、完璧に跳ね返された。それは3人の天使を飲み込んで、すぐに細かい粒子に分解した。
彼女は後ろに下がっていた護衛役の魔族達に言った。
「私が来るまでよく持ちこたえてくれました。みなさんは勇敢な強い戦士ですね。」
………
その夜、北川風香は自分の部屋に帰ると、影ながら彼女の護衛役に徹していた夜見に呼び掛けた。
「夜見さん、いらっしゃったら私の前に姿を見せてください。」
「姫様。今、御前に。」
すぐに彼女の目の前に夜見が現われた。
「今日、私を襲ってきた3人の天使は高位な天使でしょうか。」
「はい、そうです。ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル、人間の世界では最強の4大天使と呼ばれています。ただし、4人の内、現在ミカエルは行方不明になって欠けていますが。」
「自分達の衝撃波を受けて、分解されたように見えたのですが。再び襲ってはきませんね。」
「姫様の月の剣で倍増され跳ね返された衝撃波を受けて、今は、完全に消滅しています。」
「『今は』とは?」
「神は全てを創造することができます。そして、1回創造したものを再び創造することも可能です。神のやっかいな能力の一つですが。」
「しばらくすれば、また3人の天使が襲ってくるのですか。どうすれば、神の攻撃をあきらめさせることができると思いますか?」
「1つだけ言えることがあります。それは、姫様の強大な力を神に見せつけることです。姫様に手出しすると、自分の存在さえ危ぶまれるような反撃を受けることを、神に認識させなければなりません。気まぐれな神ですから、あっさりとあきらめるのではないでしょうか。」
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