W転生してあなたを必ず助けます!悲劇のヒロインには絶対なりません!~私のハートは重いのです~

ゆきちゃん

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84 糸使いの女王4

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 北川風香が、ルル女王と戦うと決めた日が訪れた。
 その前日の夜から、王都イスタンは非常に濃い霧に包まれていたが、次の日の朝、王都中の住民から驚きの声が上がり大騒ぎになった。

「体の自由がきくぞ。」
「もう、女王に縛られることはない。」
「みんな立ち上がれ。我々を苦しめた女王を妥当するのだ。」

 宮殿の寝室で起床したルル女王も、自分の糸魔術が少しもきいていないことに驚いた。ベランダに出てみて、女王には原因が何かわかった。
「この霧ね。成分は聖水、糸が聖水を吸って魔術の効果がきかなくなったのね。」

 糸で操ることなく仕事をさせていた内務大臣が、急いで報告に来た。
「女王様、王都イスタン中の住民が宮殿の回りを取り囲み、女王様の退任を求めています。」
「内務大臣としてなんとか対処してください。それがあなたの仕事ですから。」

 そのうちに、住民達は宮殿の回りにさらに集まり、大きな歓声が宮殿の中にも聞こえてくるようになった。女王もできる限り宮殿を密閉させ聖水の霧が入り込めないようにして、自分の糸が使える空間を確保して対抗した。
 ルル女王は考えていた。

(聖水の霧を使うなんて、一体誰が考えたのでしょう。………そうだ、辺境伯の副官で宮廷魔法師だったイワンに違いないわ。彼ぐらいの力であれば、このような霧を発生させることができる。でも、永遠に霧を出すわけにはいけない。強い風が吹いてくればすぐ晴れてしまうわ。それまで私は、この宮殿に閉じこもればいい。)

 ………

 しばらくして、風が吹き始めたこともあり霧がだんだん消えかかり、最後には全く晴れて晴天になった。
「さあ、今から女王に不遜な態度を示した王都イスタンの住民達に糸を放ちましょう。前よりもしっかり糸を枯れめて、少しぐらいの聖水の霧が発生しても、逃げることはできないようにしましょう。」

 しかし、よく観察すると、さきほどまで宮殿を取り囲んでいた住民達は、全くいなくなってしまった。それどころか、女王が魔術で探知すると王都イスタンの中には誰もいなかった。

 唯一、宮殿の正門前にとても強い魔力をもった人間が感じられた。

 ルル女王は、とても警戒した。
(これは、神を上回るレベルの魔力。いったい何者かしら。)
 女王は多くの護衛を引き連れて、正門前に出て行った。

 すると、宮殿の中では何も操作していないのに、宮殿を囲む防壁に作られている正門が上げられて開いた。
 そこには、1人の女性がひざまづいていた。
 女王は警戒して言った。

「お前は誰だ。顔を上げよ。」
 その女性は顔を上げて答えた。

「お久しぶりでございます。ルル王女様、いやルル女王様ですね。」

「フーカ!!!」
 女王は大変驚いたが、やがて憎悪の心が燃え上がった。

「私が最も憎むお前自らが、目の前までのこのこ来てくれたとは、これも神からのギフトかしら。」
 その言った後、両手を彼女の方に振って数多くの糸を出し、いきなり攻撃した。

 数多くの糸がものすごい勢いで彼女に向かって進んできた。
 彼女はそれらの糸をちらっと見ると、彼女の前に見えない壁があるかのようにぴたりととまった。

「3億本ですか。」
 彼女がそう言いまばたきすると、糸は全て姿を消した。

「おのれ、フーカ。」
 女王は続けて第2段の糸を出した。
 しかし、それも彼女の前で止められた。

「2億本。少し数が少なくなりましたね。女王様、魔力が少ないですね。」

「おのれ、おのれ、おのれ。」

 それからは同じことの繰り返しで、女王が出す糸の本数はだんだん少なくなった。

「1本。魔力が完全に切れましたね。」
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