月の都の花嫁

城咲美月

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本編

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「ちょっ.....と待ちなさいよ.....」

語尾が尻窄みになっていく。


思わず2度も同じ失敗する所だった。


空を掴みそこなった手を引っ込み、思い出したとたん私はトイレに駆け込んだ。



セーーーーーーーーーーーーフ。


そしていいタイミングで、予礼が鳴った。




「櫻井君」
「は、はい?」


後ろから声をかけられたから、振り返れば先程の教師が女性と一緒にいた。


「君はこちらに着いてきたまえ」

「は、はい」

えーと.....私何かしてしまったんでしょうか....。


この教師と女性の後ろを着いていく事20分



だ、だから広すぎよ。

着いていくのだけで、精一杯になる。

そっちの足の長さと、違うんだから!

教師は
コンコンとノックし、入室の許可を求め中に入る。




「失礼します」

「櫻井君を連れてきました」

一緒に中に入ると、ニコニコと笑顔のふくよかなまるで安〇先生のような人と、もう一人の女子生徒がいた。



「どうぞ、おかけなさい」

そう促されて
「はい、失礼します」そう言ってもう一人の女子生徒の隣に座った。

目の前には、安〇先生のような校長先生が座っていて
右側のソファーに教師と女性も一緒に座る。


そっか......これ.....。


視線だけ動かすと、革の座り心地よいソファーと調度品にトロフィーや歴代の校長先生の写真。

そして、私の横に座っている女の子は.....。


「揃った所で、話しましょう。
単刀直入に言いましょう。
君達二人は、゙月の都の花嫁゙候補に選ばれました」



やっぱり.....オープニング。
そしてこの後言われる言葉が想像つく。

「校長、お言葉ですが
成績優秀の朝陽君は分かるのですが゙平凡゙の櫻井君はどうなのですかね?」


゙平凡゙って強調したなぁ~!

はぁ....でも仕方ない。実際私は今初期アバターで、(本来なら、けどこれ私だけどね)初期の制服で魅力もスタート値だもの。

言われるのはわかってたけど、実際言われると凹むわ。


「ふむ。私には平凡な生徒には見えませんな
ふぉほっほっほ」

顎に手をおきながら笑う姿はまさしく.....!

「ふぉほっほ、じゃないですよ全く」


「それに、あちら側から正式な招待状がきちんと送られてきています。
疑いがないように本物ですよ。
それとも君がこれさえも嘘だと言って疑いになるとは、私には思えないですね。ほっほっほ」

「ぐっ......」


教師は、自分の手を握りしめ口を閉じぐっと堪えている。

安〇先生~!、いや校長先生は
教師から視線を外し、こちら、私達に向き直る。

「さて、君達にもわかったように
我が校から二人も選ばれた事を嬉しく思っています。
君達二人は、どうしますか?」

スッと私の隣の女の子が手をあげ

校長先生が「どうぞ」と言うと女の子は手を下げ

その反対の手を自分の胸の上に持っていき

「大変光栄に思っています。お話お受けします」

「そちらの君は?櫻井君、と言ったかね?」

「はい、私もお受けします」

「よろしい」

ニコッと穏やかに笑う校長先生。


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