月の都の花嫁

城咲美月

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「では、我々はこれで失礼する」

殿下の言葉と、「奏さんをお願いします
また訪問日をお知らせ致します」

とルノーさんがフォローをくれたおかげで

スムーズに宿舎に入る事になった。

ヤグーワイズと言う責任者が

「では、奏さん案内するのでこちらに着いてきて
決して私から離れないでください」

ペコリと頭を下げられながら、スタスタと前を歩く。
後ろで門番がドアを閉めていた。

ヤグーワイズさんの後ろを歩きながら、入り口からさほど遠くない場所から少しして止まる。


「奏さん、私は竜の宿舎の責任者でヤグーワイズと言います。よろしくお願いいたします。
まず大事な注意点があります。覚えておいて欲しい事です」

しっかりと話するよく通る声。

「はい」


うん、とヤグーワイズさんが頷いてから

「まず、私から離れない事。
これは最初皆さんに教えている事で、簡単なようで
難しい事です。

これが守れない者は残念ですが、2度とこちらに来る事は叶いません」

私も頷く。大事な事だから。

「興味持っていただけるのは大変嬉しいのです
が、時々こちらの注意を聞かず暴走してしまう方がやはり中にはいらっしゃります。
だからどうか、この注意点だけは守っていただきたい」

「はい」

ちょっと反省。

「と、言ってもそんなに堅くならなくて大丈夫ですよ
人間の緊張は伝わるモノだから
なるべく穏やかにしていてください。
だからまずはこの場所に馴れていきましょう。」

「はい」

何となく、言う言葉が分かる。
場所に馴れる。
動物の匂いの事なんだろうな。

私が頷いていた様子に、ニコッと笑うヤグーワイズさん。

「では、私の後に着いてきてくださいね」


硬そうな扉の横のドアをヤグーワイズさんが開けると私は、素早く入る。
ヤグーワイズさんもドアを閉めて鍵を確認する。


ここまでは、人の手が入った建物と言う感じから
一気に草原が見えてる。



生のサファリパーク!


これだけの草原は始めてだ。

動物園しか縁のなかった私は感動していた。

「まだ入り口ですよ」とクスッと笑うヤグーワイズさん。


「さあ、こちらに乗って移動しましょうか」

そう言うとヤグーワイズさんはトランシーバーで
車を呼ぶ。

やってきたのは、ジェラシックに出てくるような車。
「広いですからね」


少しほっとした。


この草原を歩くのかと思ったから。



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