月の都の花嫁

城咲美月

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もう一人の花嫁候補

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さて、龍王と逢った翌日。

龍の玉、月藜龍と繋ぐモノとりあえず
「大事なモノ入れ」のイベントリにしまう。


早速リーデルさんがやってきて
朝の移動を訊ねた。


「おはようございます、奏さん。
今日はどちらに向かわれますか?」

「今日は、そうですね
図書室に行きたいと思います」

「分かりました。護衛の方が一定の距離でついてきますが
どうぞお気になさらず。
それから、閲覧室の鍵とこちらブックカバーです
ご利用くださいませね」

そう微笑むリーデルさん。

うん、安定の美人ね。

「では、行ってきます」
「はい。行ってらっしゃいませ」




部屋から出ると護衛の人がもう居た。

二人一組の行動は、基本だから二人居る。



.....本当だ。リーデルさんが言った通り一定の距離を空けてくれている。


てっきり連れ去られた宇宙人みたいになるのかと思ったんだけど、この分なら大丈夫そうね。


わずかながらホッとする。



ようやく図書室に着いたと思ったら。



「奇遇ね。櫻井さん」



もう一人の花嫁候補。

朝陽さん。スラリと伸びた手足にショートボブがお似合いの才色兼備。


「朝陽さん、おはよう
朝陽さんもお勉強かしら?」

「ええ...一通りの事は」


花嫁候補の二人が揃った事による視線。

それはお約束の好奇心という名の視線8割りと我関せずの1割。



図書室前という事もあり
不躾な視線は余りないものの、好奇心が現れている視線が複数。

我関せず、は言わずもかな。
二人の護衛たち。

一瞬、ピリッとした空気になりそうな気配があったが

お互い図書室に早く入りたい気持ちが重なったのか
とくにバチバチがあるわけでもない様子に

おのずと好奇心の視線は消えていく。


そりゃ注目の的になるって分かっていても

いざ自分がこの立場になった時の疲労感。

野次馬だけはあんまりしないようにしよう。

殿下に頼んでいて良かった。
花嫁候補二人が揃っただけでも、コレ(視線の多さ)なんだから私が龍の姫と知られた日には

自分で想像して背中に冷や汗をかく。


思わず、腕をさする。


ヤダヤダ。気を取り直して。と



図書室に足を踏み入れると
あまりの広さにびっくりした。


書室の人から「奏様ですね、お待ちしておりました。
早速ですが、私、アン.ドナーが説明しますのでどうぞよろしくお願いします。
奏様は初めてでいらっしゃいますね。
早速ですが案内させていただく前に
閲覧室の鍵を拝見してもよろしいですか」

話かけられ

「はい」

そう言って閲覧室の鍵を渡すと、何かの機械でピッと音が鳴った。

「それは....?」

「これは、入室のサインです。
閲覧室の鍵に、いつ入室しいつ退室したか時間の記載が記すように出来ています。
そちらのブックカバーには何を借りられたのかと、借りた本を納める棚のナンバーを刻みます。」

そうなんだ、便利ー。

所謂、図書カードなのね。
今は通帳型らしいけど。


「早速ですが、奏様。」

「あのぅ私に"様"は付けなくていいですよ」
「はい。大変嬉しいですけれどもいくら奏様の申し出でも私の一存では....花嫁候補の方に馴れ馴れしく出来ないので申し訳ありません」

少ししょんぼりしながら言われるが

「ごめんなさい、少し考えなしでした。命令じゃ仕方ないけど、それでも様付けはこそばゆいというかなんというかそんな感じです。」

私はなんとか苦笑いをした。

「まぁ。奏様は面白い方なのですね」

そうクスクス笑うアンさんの様子は、どこかツボにハマったか分からないけれど

「私ったら。ごめんなさい。....こほん。奏様、奏様の読みたい本はありますか?」


頬を赤らめ焦りながらのアン。

冷静になったのか、

その手には
タブレットのようなものを持っている。

多分、そのタブレットのような、というかタブレットでしょ!ってツッコミは置いといて。

それで操作するのだろうと、安易に想像はできた。

その映像が半透明の画面で浮かび上がるまでは、覗きこむのだろうと思ったから。












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