月の都の花嫁

城咲美月

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読み進めていく内に休憩して顔を上げると

クインツさんがまた紅茶を差し出してきた。

「熱心に読んでいたようですね。
少し休憩しては」

すっかり冷めてしまった紅茶が、と思ったけど
もう一度淹れ直した温かい紅茶が目の前にある。

「ありがとうございます、いただきます」

お礼を言ってカップを持つ。


「クス、大丈夫ですよ毒は入ってませんから」と

やや呆れた口調で言われた。

そうか。
毒が入っていると思ったから口付けなかったと思ったのか。


「慎重になる事は良いことです」

まぁそう思われておこう。

一口飲んでみると、スッと口辺りがよくなった。

「これ、カモミールですか?」

「おや、ご存じでしたか。
ご明察の通りこれはカモミールです
頭をスッキリさせてくれるし、心を落ちさせてくれる作用がある」

そう優雅に飲む姿は、様になる。


「そうですね、この色も綺麗ですし
私もスッキリした味わいは好きです」


あ、このシーンは
ふと思い出した。

謀らずとも「クインツと紅茶を楽しむ。」という

後期になると起こすイベントのひとつで
図書室に通いつめてもなかなかイベントが起きないから、とクインツ攻略の難しさ。



親密度や好感度が低いとクインツが図書室にいない
現象がある。

通いつめても、訪れる時間がズレていれば逢えないというシビアさがあったから、かしらね。


そんなつもりはなかったのだけど、まぁいいか。

クインツさんと逢った事は良かったかも知れない。


「紅茶ありがとうごさいました
美味しかったです」

「いいえ、私もこうして一緒に飲む事出来て良かったですよ」


とクインツさんが微笑む。



私も釣られて微笑むと


「ではそろそろおいとましますね」


「そうですか。ではごきげんよう」




私は、読みかけの本を持ち出しクインツさんと別れて図書室を退室する。


帰る前にアンさんに声かけると


「あら、貴女も帰り?奇遇ね」と朝陽さんと

帰りもバッタリ逢ってしまう。


朝と違って、お昼頃の時間帯だからだろう
好奇心の視線は減っていた。


アンさんから

「はい。貸し出しは大丈夫です。
お気を付けてお帰りくださいね」と
声かけられ今度こそ退室する。





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