月の都の花嫁

城咲美月

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一難?

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図書室を出た後、私はお昼ご飯にと
庭園に来ていた。

庭園には、花嫁選出中、花嫁候補が退屈しないようにと
週に一度のお昼時にこうして城下町のご飯屋からお菓子にお花、ちょっとしたアクセサリーと決められたお店を出店を許されている。

もちろん、ここで出店が出来るお店は事前に検査されている。

逆に言えばここで出店を許されれば
知名度が高くなり、一気に人気店となる。

だが、一度でも不正や何かしらの粗相があれば二度と出入りは難しい。

王宮の中であって下町の気楽さというより

貴族も出入りする為に少しばかり豪華さがある。


相変わらず、護衛が後ろから付いてくるけれど

少しだけ、鬱陶しく感じる。
まぁ、気にしないようにってリーデルさんも言っていたし

何かあるかな~と、入り口から見て回る事にする。

マカロン、クレープ、ケーキ
サンドイッチに紅茶にコーヒー、

なるほど、女性が好む一口サイズで食べやすいモノばかり。

それと、火が必要のないモノ。

とりあえず、サンドイッチと紅茶とマカロン

「あら、いらっしゃい。どれにする?」

「あれ、貴女はじめてね?」


「はいえーと....」


「私、ジュネレルの店員でナナリーよ
よろしく」


「私、奏です、よろしく」



「えーと、サンドイッチと紅茶とマカロンをお願いいたします」

元気な様子の女性からにこやかに対応される。


ぐうぅぅぅ。
思わずお腹の虫がなった。


用意している女性と目が合い、お互い笑ってしまった。

「や、やだ/////」
「クス、大丈夫よ何も聞かなかった事にしてあげる」とウィンクされた。


「さ、出来たわよ、召し上がれ」
「ありがとうございます」


少し恥をかきながらも、テーブルを探していると良さげな場所をゲット。

ラッキーと思って「いただきます」と早速食べる。


そこへ


「まぁ、見慣れない方がいると思っていたけど
貴女もまさか花嫁候補でいらっしゃるの?」

急に話かけられて、ごほごほと咳込む。

「まぁ、お作法もなってないなんて
早く花嫁候補を降りてはいかがしら?」

クスクスクスクスと後ろから笑い声がする。

ナフキンで口を整えながら、後ろを振り返る。


ゲ。

もろお嬢様貴族様と言った感じの縦ロールのリボン付き。とみつあみとソバカスのとりまき二人

ちょっとやめてよ。
どうしてここだけ時代錯誤なのかしら。


吹き出しちゃう。



「貴女、口も聞けないかしら?」
「きっと怖くて口も聞けないのですわ」
「そうですわ」

縦ロールが何か言うたびにみつあみとソバカスが賛同する。




ぷっ、ふふ。


ダメよ、おかしくて笑っちゃう。


周りは、見ない振りなのか気にしないのか
こちらを見ないようにしている。

護衛も近くにはいるがそれ以上は、手を出さないのだろう。


端から見れば、私との3人の間には距離があり見たところ武器もなくただ話かけられただけだから。



にこりと微笑んで

「失礼しました。
初対面ですし名前を存じあげませんのでこちらから話かけてもいいのかと
その貴族様は
少しばかり疎いものですので」

「ま、まぁ!私を知らないと言うの?
よくそれで花嫁候補になれましたこと!」

「そうですわ!失礼ですわよ!」
「そうよ!」

まぁまぁギャーギャーと。

「そうですか。では私は櫻井奏ともうします
お見知りおきを」

「私は、ミリー.ブリリアン男爵令嬢ですわ
こちらは、ルネス.マッケンジー男爵令嬢と
ダナン.マグネット男爵令嬢ですわ」

「まぁ、ご丁寧にありがとうございます」

男爵三姉妹ね。

「ミリー様!」

みつあみ、もといルネスがたしなめる。

「はっ!よよよ、よくって!今度は覚えておきなさい!」

「そーよそーよ、全く無礼だわ!」

縦ロールは顔を真っ赤にしながら
二人はそんな縦ロールを支えながら

三姉妹は一緒に仲良く去っていきました。


さあ、ご飯の続き

あぁ、美味しー



私がご飯の続きを食べると何事もなかったように
またなごやかな雰囲気に戻る。




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