クリスマス・デス ~25歳で死ぬ病~

坂本 光陽

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三つのルール①

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 液晶パネルには「西尾」という名前が出ているが、恭介にはまったく心当たりがない。いつもならスルーをするところだが、何となく引っかかるものがある。警察署にいる間にも、スマホが一度鳴った。あれも、この「西尾」だったのではないか。

「もしもし……」恭介が電話に出ると、
「ああ、尾白くん、無事だったんだね。船木くんと堀部くんが殺されたネットニュースを見て、君も襲われたんじゃないかと心配していたんだ。とにかく、無事でよかったよ」

 声を聞いてわかった。西尾とは、バイト仲間の〈風船オタク〉である。

「二人が殺されたのは、
〈風船オタク〉は一気にまくしたてた。

「西尾くんが何を言っているのか、全然わからない」
「だって、ほら、真壁さんから言われたじゃないか」
「真壁さん? それって、真壁マキナさんのこと?」
「当然だろ。会議室で一緒に説明を受けたじゃない」

「えっ、ちょっと待って。ということは、船木さんと堀部さんが殺されたのって、例のバイトがらみなの? まさか、冗談だよね?」
「冗談ならいいんだけど、これは本当のことだよ。僕たちはルールを破れば殺されるんだ。あのバイトはそういうものらしい」

「……嘘だろ」
 どうして、嘘っぱちを真面目に話しているんだ。そんなことは絶対にありえない。

「だって、“ルールは必ず守って下さい”って、真壁さんから言われたじゃないか」

 西尾には確信があるらしい。バカげている、と思いながらも、恭介の脳裏を思い浮かぶものがあった。説明会を受けている際に、誰かがもらした呟きである。

「ルール厳守よ。死にたくなければね」あれは、やはり真壁さんだったのか?

 西尾がまだ何か言っていたが、少しも頭に入らない。やはり、怪しげな第一印象が正しくて、やばいバイトに関わってしまったのか?

 恭介はいてもたってもいられなくなった。今すぐ行うべきなのは事実確認である。恭介は電話を終えると、リバーサイドビルに向かうことにした。もちろん、真壁マキナに会うためである。

 タクシーを飛ばして到着した時には、すっかり暗くなっていた。墓石を思わせるビルが、暗闇に浮かび上がり、一層不気味に見える。

 そういえば、バラバラ死体の見つかった河川敷は、ここから目と鼻の先だ。西尾の言葉を信じたくはないが、船木と堀部が殺されたのは、やはりバイトがらみなのか。

 薄暗い階段を注意深く上る。ビル内は閑散としていた。誰にも出会わぬまま、恭介は4階フロアまで来た。廊下の照明は消えていたが、一番奥の部屋から明かりがもれている。恭介たちが説明会を受けた会議室だ。

「尾白恭介くん、何の御用かしら?」

 突然、背後から声をかけられ、心臓が止まりそうになった。振り向くと、真壁マキナが立っていた。

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