夢みる乙女の5K仕事  ~ミルコのテレビ日記~

坂本 光陽

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幸運と無理難題③

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「ミルコにさがして欲しいのは、おばちゃんたちの目をひきつける霊能者だ。お祓いと除霊の説得力、信憑性はもちろんだが、最も重要なのはタレント性だ。一流のパフォーマンスと喋りができて、おまけにサービス精神旺盛なら言うことねぇな」

 はいはい、いつも通りの無茶ぶりですね。
 要するに、イケメン霊能者ってことですか。
 ルックスと喋りは、最低タレントレベルってことらしいです。

「番組は、ゴールデン枠の2H(2時間)だ。数字目標は12%だが、最低でも二桁だな」
 つまり、10%以上の視聴率が欲しいってこと。
「要は、新鮮味が欲しいんだよ。おまえは最高にフレッシュな霊能者を発掘してくるんだ」
 思わず、頭を抱えたくなった。

「いいか、ミルコ、考えてもみろ。あの売れっ子イケメン霊能者を見つけて最初にテレビに引っ張り出したのは私なのよ、って自慢できるんだ。やり甲斐のある仕事だろうが」

 毒島さん、やり甲斐のことまで考えてくれるんだ。ありがたくて涙が出るよ。
 でも、どうやってさがし出せばいいの、そんな人。

 私、街角でのイケメンウォッチングは大好きです。
 でも、自慢じゃないけど、イケメンには縁がない。
 業界に入る前は、男性アイドルたちに囲まれてウハウハ、なんて夢を見たこともあったっけ。
 大手事務所のイケメンタレントに気軽に話しかけただけで、即出入り禁止になるのが現実だけど。

 さて、どうすればいいのかなぁ。
 脳みそがフリーズしちゃって、何も思いつかないよ。
 スタッフが出払っていることをいいことに、自分のデスクで不貞寝ふてねを決め込んでいたら、

「これ、参考になるんじゃない?」
 見かねた真希さんが、一冊の本を差し出してくれた。

「『霊能者ガイド』? 嘘、信じられない。こんな本があるんだ」
 パラパラとページをめくると、霊能者の顔写真まで掲載されている。
 これはいい。ただ、残念なのは、ほとんどがジイ様バア様たちだったことだ。もう20年若けりゃよかったのに。
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