夢みる乙女の5K仕事  ~ミルコのテレビ日記~

坂本 光陽

文字の大きさ
10 / 36

イケメン霊能者①

しおりを挟む

 私は桐生氏の事務所に電話して、マネージャーの女性に事情を説明した。
 イケメン霊能者さんは今までテレビには出たことはないけれど、取り上げ方によっては、出演、取材協力について検討の余地あり。

 ありがたいことにトントン拍子に事は運び、明日午前10時に、事務所を訪れて桐生さんからお話をうかがうことになった。
 最後に一つ、「桐生は時間にうるさいので、遅刻は厳禁ですよ」と、マネージャー女史に釘を刺された。

 ああ、それなのに、翌朝、思い切り寝坊してしまいました。
 東京メトロの恵比寿駅を下りた時点で、既に30分の遅刻。
 地図を読み間違えて反対方向に向かうという失敗を重ねて、桐生さんの事務所に到着した時には、11時を回っていました。

 遅刻厳禁と言われていたのに遅れてしまった。1時間以上も。
 はい、私は最低です。言われたことを守れない、大バカです。
 流れる汗をぬぐう間も惜しんで、事務所のチャイムを鳴らす。
 出迎えてくれたのは、昨日、電話で話したマネージャー女史。

 私は深々と頭を下げて、
「すいませんでした。時間に遅れないように、と言われていたのに、本当に、申し訳ありません」
「いえいえ、どうぞお入りになって。桐生が待っておりますので」
「……すいません」

 通されたのは、薄暗い応接間だった。かすかにお香の匂いが漂っている。
 ゆったりした応接セット。備え付けの棚には、エキゾチックな壺や絵皿が飾られている。これらは中東風なのかインド風なのか。私には、よくわからない。

 冷えた麦茶を御馳走になり、すっかり汗が引いた頃、桐生さんが現れた。
 黒ずくめの着衣。180は超えているだろう長身。写真より彫りが深く、眉間に皺が寄っている。その表情の原因を作ったのは、間違いなく私だ。

「本当に申し訳ございません。こんなにお待たせしてしまって」

 頭を下げている私に、桐生さんの言葉が降ってきた。
「テレビ業界って、時間にルーズな人が多いから、苦手なんだ。去年の取材なんか、スタッフが大幅に遅刻したくせに、『時間がないから急いで下さい』なんて、平気な顔して言うんだから。一体なに様だよ。君たちって別に、特権階級じゃないでしょ? これって、俺の認識違い? ただの偏見かな?」

 一気にまくしたてられた。これじゃ頭を上げられないよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...