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イケメン霊能者①
しおりを挟む私は桐生氏の事務所に電話して、マネージャーの女性に事情を説明した。
イケメン霊能者さんは今までテレビには出たことはないけれど、取り上げ方によっては、出演、取材協力について検討の余地あり。
ありがたいことにトントン拍子に事は運び、明日午前10時に、事務所を訪れて桐生さんからお話をうかがうことになった。
最後に一つ、「桐生は時間にうるさいので、遅刻は厳禁ですよ」と、マネージャー女史に釘を刺された。
ああ、それなのに、翌朝、思い切り寝坊してしまいました。
東京メトロの恵比寿駅を下りた時点で、既に30分の遅刻。
地図を読み間違えて反対方向に向かうという失敗を重ねて、桐生さんの事務所に到着した時には、11時を回っていました。
遅刻厳禁と言われていたのに遅れてしまった。1時間以上も。
はい、私は最低です。言われたことを守れない、大バカです。
流れる汗をぬぐう間も惜しんで、事務所のチャイムを鳴らす。
出迎えてくれたのは、昨日、電話で話したマネージャー女史。
私は深々と頭を下げて、
「すいませんでした。時間に遅れないように、と言われていたのに、本当に、申し訳ありません」
「いえいえ、どうぞお入りになって。桐生が待っておりますので」
「……すいません」
通されたのは、薄暗い応接間だった。かすかにお香の匂いが漂っている。
ゆったりした応接セット。備え付けの棚には、エキゾチックな壺や絵皿が飾られている。これらは中東風なのかインド風なのか。私には、よくわからない。
冷えた麦茶を御馳走になり、すっかり汗が引いた頃、桐生さんが現れた。
黒ずくめの着衣。180は超えているだろう長身。写真より彫りが深く、眉間に皺が寄っている。その表情の原因を作ったのは、間違いなく私だ。
「本当に申し訳ございません。こんなにお待たせしてしまって」
頭を下げている私に、桐生さんの言葉が降ってきた。
「テレビ業界って、時間にルーズな人が多いから、苦手なんだ。去年の取材なんか、スタッフが大幅に遅刻したくせに、『時間がないから急いで下さい』なんて、平気な顔して言うんだから。一体なに様だよ。君たちって別に、特権階級じゃないでしょ? これって、俺の認識違い? ただの偏見かな?」
一気にまくしたてられた。これじゃ頭を上げられないよ。
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