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イケメン霊能者④
しおりを挟む「そのディレクターの言い分はこうです。インタビューをするはずだった、ホスト常連客と連絡がとれなくなった、オンエア日は間近だ、やむを得ず急場しのぎに代理を立てることにした、と」
「その代理が聞き分けの悪くて生意気なド素人だったんだな」
イケメン霊能者は、クックックッと笑う。
ムカつくけど、無視して説明を続けよう。
「『モザイクをかけて代理の人間でコメント撮り、こんなこと業界じゃ常識なんだ』確かにそう言ってましたよ」「コメントに嘘はない? 試しに視聴者にたずねてみたらいい! 口をそろえて、おかしいって言いますって」
「ふむ、一般的な感覚ではヤラセだろうな。業界と視聴者の常識の間には、深くて大きな川が流れている。昨年、某番組のデータ捏造事件で大騒ぎがあったばかりなのに、テレビマンは少しも危険性を感じていないわけだ」
桐生さんは、心なしか表情をやわらげて、こう付け加える。
「君は業界の中にいながら、一視聴者の視点を失っていない。しかも、テレビが日常的に吐き出している嘘を嫌っている。それはきっと、業界では稀有なことなんだろうな」
ケウって単語は知らないけど、私、ひょっとして褒められた?
「そういう人間は、個人的には信用できるかな」
桐生さんの強い視線が、バチッと私を射抜く。
これは、ひょっとして、ひょっとするかも……。
「あの、もしかして、番組に協力してもらえるんですか?」
桐生さんはクスリと笑う。
「いや、俺はテレビには出ない」
あっさり期待を裏切る霊能者。ったく、腰がくだけるよ
「君の言葉に嘘はない。人として信頼できる。だが、君は会社では浮いた存在じゃないのかな。思い切って転職するか、考え方を業界色に染めることを勧めるよ」
ちょっと待った。
これまでの話、どこからお悩み相談になった!
「俺にははっきりを見える。今の仕事を続けていると、君、ストレスで胃に穴が開くぞ。自分と合わない仕事ほど身体に悪いものはない。かくゆう俺もテレビと相性が悪い。したがって、君の依頼は断るしかないわけだ。わかったかな」
わかりました。ええ、充分に理解できましたとも。
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